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【植草一秀】の『知られざる真実』―麻生首相の優柔不断と総選挙での投票決断基準
http://www.asyura2.com/09/senkyo66/msg/675.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2009 年 7 月 02 日 13:54:54: twUjz/PjYItws
 

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-2e9c.html

2009年7月 2日 (木)
麻生首相の優柔不断と総選挙での投票決断基準


 麻生首相が内閣改造、自民党役員人事を実行しようとしながら、2名の内閣補充人事だけの実施に尻すぼみしてしまった。ものごとを実行するには「熟慮−決断−実行」のプロセスが不可欠である。


「実行力」を支える最重要の要素が「熟慮」である。


麻生首相は「毎日情勢が変わるので、状況を見極めて判断する」と述べるが、毎日目まぐるしく変わる情勢を見極めるための「熟慮」が不足しているのだと思う。


麻生首相は昨年10月10日発売の月刊誌に次のように記述した。


「私は決断した。国会の冒頭、堂々と私とわが自民党の政策を小沢代表にぶつけ、その賛否をただしたうえで国民に信を問おうと思う」


爾来、9ヵ月の月日が流れようとしている。「熟慮−決断−実行」のプロセスを持たない麻生首相は、自滅の道を歩みつつある。


麻生首相は東京都議会選までに衆議院を解散しなければ、「麻生おろし」の突風に吹き飛ばされる可能性が高い。自民党が総裁選を前倒しする場合、次期総選挙を10月に先送りすることも考えられる。新体制を整備して総選挙に臨むための時間を稼ぐためだ。


自民党は2006年9月に小泉元首相が辞任して以来、3回も総理・総裁の首をすげ替えてきた。安倍氏と福田氏は、任期1年足らずで政権を放り出した。無責任の極みだ。福田氏の政権放り出しの後を受けたのが麻生太郎首相である。


自民党は3年連続でお祭り騒ぎの総裁選を実施し、総選挙の顔として麻生太郎氏を総裁に選出した。それから8ヵ月しかたたないのに、今度は党をあげて麻生首相をひきずり降ろそうとしている。 


このような政党に国政を委ねることはできない。


議院内閣制を採用する国においては、総選挙は抜きんでて重要な行事である。総選挙の結果、多数を得た勢力が政権を樹立する。国政全般がこの政権に委ねられる。


既得権益を死守しようとする自公政権と政権に癒着する「官、業、外、電」は、総力をあげて政権交代阻止に向けての活動を展開している。民主党を攻撃する各種スキャンダル報道もその一環である。


有権者は目の前に展開される、こうした「演出」に目を奪われてしまいがちだが、ここは、沈思黙考(ちんしもこっこう)、熟慮が必要だ。


総選挙はこれからの4年間を決する重要性を有する。目先の細かな変化で投票を決めてはならないのだ。


総選挙に際して最重要の三つの事項がある。


@官僚機構が実権を持つ政治を温存するのか。


A大企業の側を向いた政治を温存するのか。


B小泉竹中政治が破壊したセーフティネットをこのまま放置するのか。


この三つのテーマに関連して、次の二つも重要な争点になる。


C次の4年間に消費税大増税を実施するのか。


D議員世襲を制限しないのか。


この五つが総選挙の最重要の争点である。有権者は、この争点を熟慮し、どの政党、どの候補者に投票するかを決定しなければならない。


これまでの政治は、官僚がすべてを仕切るものだった。政治家は官僚に政策立案を丸投げし、官僚は「天下り利権」と引き換えに、すべての政策立案を請け負ってきた。この「官僚主権構造」を今後も維持するのか。


自民党や自民党内反主流派が「天下り廃止」などと唱えるが、まったく信用できない。これらの人々の提唱する「天下り廃止」は「ざる」である。役所が「あっせん」しない、「天下り機関と天下りする本人との契約による天下り」を「天下り」でないと主張するのだ。


「資本」と「労働」の利害は基本的に対立する。


企業は労働者に対する分配をできるだけ切り詰めようとする。企業が雇用の形態をいつでも解雇しやすい非正規雇用中心に切り替えてきたのは、それが企業に有利だからだ。「資本」と「労働」の利害対立は資本主義経済の宿命でもある。


このなかで、企業献金制度は政治を国民でなく企業の側に向ける最大の原動力になっている。政治は企業の利益を増大させる政策を実行して、企業から巨額の献金を受け取る。企業の利益を増大させる政策は、当然、国民=労働者にとって不利益を与える政策になることが圧倒的に多い。


この意味で、企業献金の全面禁止は、決定的に重要な意味を持つ。企業献金を全面禁止することによって、政党は必ず国民の重視せざるを得なくなるのだ。政党は選挙で国民に投票してもらわない限り、存続できないからだ。


小泉竹中政治は企業の利益のみを追求して、国民に対するセーフティネットを破壊し尽くした。その結果、日本社会は荒(すさ)んだ相互不信の社会に変質してしまった。


すべての国民の幸福を追求する方向に政治が進路を変えれば、社会が変わる。共に生きる「共生」の思想を、政治哲学の中心に位置付ける必要があるのではないか。


これからの4年間を、日本政治、日本社会を根本的に再構築する時間に充てるべきである。消費税大増税は、巨大政治利権を温存したままで、その巨大負担を一般庶民に押し付けようとするものである。


「悪徳ペンタゴン」は消費税大増税を最重要政策課題に位置付けている。しかがって、これからの4年間、消費税大増税を封印することがどうしても必要なのだ。消費税大増税を封印しなければ、巨大利権にメスを入れることは絶対にできないと思う。


政治は国民の生活全般に影響を与える最大の要因である。その政治の場で活動する国会議員が世襲化し、商売感覚で仕事されたのでは国民はかなわない。


優秀な人材であるなら親が国会議員を務めていても問題はない。だが、現実には、何の力のないのに、ただ親が議員を務めているという一点だけで議員を務める事例が山積している。


そこで、同一選挙区からの立候補禁止、政治資金の承継禁止の提案が示されているのだ。この二点を柱とする政治家世襲制限を実行するべきだ。


有権者は目先の小事に目を奪われてはならない。総選挙はこれから4年間の国民生活を規定する、最重要の行事なのだ。2005年9月に、小泉劇場に目を奪われて投票した結果が、どのような不幸をもたらしたのかをじっくり考えなければならない。


同じ過ちを繰り返してはならない。熟慮し決断し実行することが大切だ。これまでの日本政治の構造を根本から変えなければならない。目先の小事に捉われず、本格的な政権交代を実現するための投票を実行しなければならない。

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