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http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090701-OYT1T00016.htm?from=any
核持ち込み 政府は密約の存在を認めよ(7月1日付・読売社説)
米軍の核持ち込み容認の密約はないとする政府見解の維持は、もはや困難だ。政府は、密約の存在を認め、国民に事実関係を説明すべき時だ。
日本は、核兵器を搭載した米軍艦船の日本への寄港や領海通過を黙認する――。そうした日米両政府の「秘密の了解」の存在を、村田良平・元外務次官が報道機関のインタビューで明らかにした。
1960年の日米安全保障条約の改定時に、米軍の核兵器の持ち込みは、両国が事前に協議する対象と定められた。
一方で、陸上の米軍基地への配備や保管と異なり、艦船・航空機の寄港・立ち寄りや通過は、事前協議の対象外とする密約の存在が以前から、指摘されていた。
日本政府は一貫して否定しているが、密約の引き継ぎに直接関与していた外務省の事務方トップがその存在を認めた事実は重い。
東西冷戦下の60年当時、日本では、政治的な保革対立に加えて、一般国民の核アレルギーも強かった。政府が、有事における安全保障の観点から密約を結んだのは、やむを得ない面もあったろう。
外交交渉に伴う機密を守るのは、相手国との信頼関係を維持するためにも、当然のことだ。
だが、半世紀近くが経過し、国内外の状況は大きく変化した。
米側では、ライシャワー元駐日大使ら関係者が密約の内容を証言した。密約を詳細に裏付ける公文書も多数公開されている。
日本でも、自民、社会両党主軸の55年体制が崩壊し、より健全な安全保障論議ができる環境が整いつつある。
これ以上無理を重ねて、密約を否定し続けることが、国益に沿うとは言えまい。むしろ、政府の外交・安保政策に対する国民の信頼を損ねるなど、マイナス面の方が大きいのではないか。
密約を見直せば、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」とする非核三原則のあり方にも踏み込まざるを得ないだろう。
核兵器の保有と製造の禁止を継続するのは妥当だとしても、「持ち込ませず」は、冷静に議論し直していい。陸上への配備や保管と、一時的な寄港や領海通過では、意味合いが相当異なる。
北朝鮮の核とミサイルの脅威が深刻化し、中国の軍備増強が急速に進むなど、日本の安全保障環境は厳しさを増している。
米国の「核の傘」による抑止力を高めるには、有事の部隊運用の柔軟性が重要だ。タブーにとらわれない核論議が求められる。
(2009年7月1日01時53分 読売新聞)
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