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「脳死=人の死」の先にある問題 : 臓器移植法改正案が衆議院を通過 (日経メディカル・竹中郁夫さんのブログ)
http://www.asyura2.com/09/senkyo66/msg/261.html
投稿者 passenger 日時 2009 年 6 月 26 日 05:11:35: eZ/Nw96TErl1Y
 

「脳死=人の死」の先にある問題 : 臓器移植法改正案が衆議院を通過 (日経メディカル・竹中郁夫さんのブログ)

 


これから紹介するブログの主旨
         ↓
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今回A案はこの文言(★)を削除したため、臓器移植以外の医療行為、医療保険適用の早期打ち切りや民法上の権利関係などに影響が及ぶ可能性が大です。ただ、これからお話しするように、脳死を死としても、話はそう単純ではありません。
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  ★「『脳死した者の身体』とは、
    その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者
    であって
    脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたもの
    の身体をいう」
    という、制限的な文言
 
 

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日経メディカル ブログ:竹中郁夫の「時流を読む」
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/takenaka/200906/511274.html
ブログの紹介
医療のリスクマネジメントを考えるには、単に医療事故の原因を突き詰めるだけでは不十分。医療制度、医療経営、医学教育のほか、時代の動きもウオッチングすることが重要だ、と竹中氏は考える。そのブレインストーミングのために、双方向的な意見交換の場としてブログを書きつづる。
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2009. 6. 23
「脳死=人の死」の先にある問題―臓器移植法改正案が衆議院を通過
 
 

 臓器移植法改正案が、6月18日に衆議院を通過しました。先般ブログでこのテーマを扱った時には、4つの改正案を比較して、「衆議院の会期末も迫ってきており、麻生首相が会期延長を口にするなど、微妙な状況を迎えています。果たして今国会で、いずれかの案に決定するのでしょうか?」(2009.5.8「渡航移植制限が進む中、臓器移植法改正の行方に注目」)と締めくくりました。しかし、実は私は、A案からD案までどの案も過半数を得られずに、衆議院レベルで改正の機運が頓挫するのではないかと危惧していました。

 ところが、ふたを開けてみるとA案が衆議院を通過し、法改正の成否は参議院の審議に委ねられることになりました。もちろん、衆議院でA案が通過したといっても、参議院で修正議決される可能性もあります。民主党の輿石東参議院議員会長が18日の記者会見で、「臓器移植法案を最優先でやらなければいけないとは思ってない。一日も早く救いたい気持ちは分かるが」と述べたように、臓器移植法改正案の審議がそれほど重要とは考えない参議院議員もいますから、現時点では、A案で臓器移植法が改正される見通しがさほど高いとはいえないでしょう。

 臓器移植法案の改正案については、以前のブログでA案からD案まで簡単にご説明しました。今回は、臓器移植法の改正案がA案のまま参議院も通過したら、脳死移植だけでなく、とりわけ死の定義によって左右される諸問題について、どのような影響が生じてくるのかを考えてみたいと思います。

 現在のわが国の法体系では、死の定義は法文上明確になされていません。現行の臓器移植法が1997年に制定された際にも、死の定義が臓器移植以外に及ぶのを避けるため、第6条第2項に、「前項に規定する『脳死した者の身体』とは、その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたものの身体をいう」と制限的な文言が加えられました。

 今回A案はこの文言を削除したため、臓器移植以外の医療行為、医療保険適用の早期打ち切りや民法上の権利関係などに影響が及ぶ可能性が大です。ただ、これからお話しするように、脳死を死としても、話はそう単純ではありません。

 1年で約100万人ほど亡くなる日本人の死のほとんどは、伝統的な3兆候説、すなわち「呼吸の停止」「心拍の停止」「瞳孔反射の消失」によって判断されます。3兆候は研修医でも、僻地の無医村診療所でも、聴診器やペンライトがあれば確認が可能です。一方、脳死判定は、定められた手順に則って行わねばならず、どこでもできるわけではありません。従来の3兆候説の死と、脳死を同じ死として扱うには、非常に厳密な「みなし規定」や「調整条項」、あるいは判例の積み重ねが必要だと予測されます。

 他にも、脳死を人の死とすることで、被虐待児がドナーにされてしまい、虐待の事実が隠蔽される危険性や、本人が移植を拒んでいない場合に臓器提供が家族の意思で決まるのは、本人の自己決定権の侵害に当たるのではないかなど、諸々の問題が浮かんできます。

 また、脳死と判定された患者の医療費も問題になります。「まだ身体が温かいのに、もういろいろと抜いてしまうのですか?それをしないためには、すべて自費で家族ががんばるしかないのですか?」。診療現場でそういう会話がやり取りされることもあり得ます。

 先般、WHOは渡航移植の原則禁止、臓器の自国内提供の方針を決定しました。「国内で臓器移植が可能な体制を整えず、他国の臓器を利用するだけの国」という国外からの批判は無視できないでしょう。つい先日は、日本から心臓移植を受けるためアメリカに渡った患者が、病院から4億円を前払いするよう申し渡されたというようなニュースまで報じられました。これは、わが国の移植体制の不備の問題といえます。

 改正案は死の定義や臓器提供の根本哲学が問われるということで党議拘束を外され、麻生首相や民主党の鳩山代表が反対票を投じたり、共産党が全体で棄権するなど、一般の法案の採決とはずいぶん違っていました。国民も参議院の審議を注視するだけでなく、そろそろ、移植医療がどうあるべきかを、一人一人がわがこととして考えるべき時代になってきたといえるでしょう。


  
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【コメント(3件)】
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udo 2009/06/23 13:51

「脳死判定」の延長線上には必ず「臓器移植」があります。脳死を一律に人の死と決めることは、亡くなった人の体を、あなたも私も彼も彼女もおじいちゃんもおばあちゃんも、おしなべて臓器移植の「材料」とみなすことになります。 それって、善意の臓器提供というより、強制でしょう? 「死んだ後の自分の臓器を他人に差し出しなさい」と、国が徴用しているようで、なにか抵抗感を感じますね。そのようなことを言われなくたって本人にその気があれば、臓器を提供する道筋は今もあるのに。 善意か強制かという点でいえば、現在足りなくて困っている血液も、献血者の善意だけに頼るのではなく、国で一律に、「健康な成人男女は全員1年に3回は献血を行え」という「徴血令」でも作れば一気に解決しませんか(輸血も臓器移植の一種ですね)? ご批判覚悟で一石を投じさせていただきました。

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m.y 2009/06/23 18:09

私はA案に賛成です。 WHOによる渡航移植の原則禁止、臓器の自国内提供の方針が決定された以上、自国での解決策を見出さない限り移植を待つ患者の希望はなくなってしまいます。再生医療の発展もまだ先の話でしょう。 A案に対して、虐待の隠蔽について危惧されていますが、現段階の臓器移植法案が虐待に対して抑止力があるわけではないし(つまり法案が通っても虐待が増えるわけじゃない)、実際に隠蔽できるかというとかなり確率は低いように思う。 本人の自己決定権の問題を解決するには、意思表示の義務化を行う必要があるだろう。日本人は義務化されていないことに関してはほとんど関心を示さない傾向にあると思う。国民への影響は大きいだろうが、根本には人の命を救うという考えがあり、また、一人ひとりが生と死に向き合う切っ掛けにもなると思う。

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批判甘受 2009/06/24 06:43

生きるべきか死ぬるべきか。生かすべきか殺すべきか。それが問題だ。 人の生、人の死。不可知論。神のみぞ知る。宗教と哲学。人間観の問題。 生きるべきは生かし、死ぬるべきは死なせる=自然の摂理に回帰せよ。にもかかわらず、余計な、まことに人間臭い医学が割って入る。生かしてはいけない場合とどうしても生かさねばの場合=産科=はじまりと末期=安楽死。当然死すべき老齢者。何故余計なことをしてまで生かすのか。一旦出現した生はいつまでどこまで持続すべき? 平均寿命・高齢だけみて喜ぶな。問題はQOLだろう。テレビは元気老人 しか写さない。困り果てた本人も周囲もこれは取材されない。夢と希望で 生きたいから。誰もがとおる道。順送りの道。 言いたかったこと。命が先で、医学はアト。決して医学のための命ではないということ。博士論文のための命・患者ではない。神の手のための患者ではない。生かすことが正解なのか、死することが正解なのか。 もとにもどす。。人は他人の臓器をもってしても生きるべきか生かすべきか。生命への 飽くなき挑戦(本人・相続人と医療者の立場)と諦念・諦観。そこに臓器売買・資本の論理も潜入する。売買で儲けようとする「死の商人」。戦争と同じだ。この問題は、産科(出発点)、幼少青年期、労働期、60歳以降老年期にわけて考えよう。
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