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http://www.data-max.co.jp/2009/07/post_6275.html
【麻生首相に”バカヤロー解散”の気力は残っていない】7月12日の深夜、首相公邸には安倍晋三・元首相、菅義偉・選対副委員長、甘利明・行革相ら麻生首相が信頼する”お友達グループ”が集められ、進退について鳩首会談が行なわれることになるだろう。麻生氏と長く行動を伴にしてきた側近の1人は、こんな言い方をする。 「総理は解散を延ばしてきたとはいえ、この間、公約の景気対策を実施し、やるべきことはやってきた。昨年秋の総裁選では党内の6割の支持を得たのに、なぜその連中まで辞めろというのか、という思いが強い。総理のまわりでは、解散すべしという主戦論はおそらく安倍さん1人。他の側近たちは解散を8月下旬に先送りすることで党内の不満を抑え、政権延命をはかろうとするだろうが、それができる状況とは思えない。かといって、総理は党人事ができなかったことで緊張の糸が切れかかっているのがわかる。ここで破れかぶれの解散を打つ気力が残っているかは疑問だ」 最後は”退陣”を決意するのではないかという見方である。 山崎拓・元副総裁は、通常国会の延長会期が終わる「7月28日解散、8月30日か9月6日投票ではないか」と総選挙日程を予言したが、党内には、その場合も、麻生首相の手で総選挙を戦う選択肢は想定されていない。新総裁を選ぶことになる場合、「選挙の顔」としては舛添要一・厚生労働相が最有力候補と見られている。 麻生政権ができて10カ月、首相の漢字の読み違いや大臣の酩酊会見といった不祥事はあったものの、退陣しなければならない致命的な失政があったのかというと、決してそうは思えない。 それなのに安倍、福田の2人の首相は1年で自ら政権を投げ出し、麻生首相は10カ月で自民党から引きずり降ろされようとしている。「党利党略」というより、もはや所属議員が自らの生き残りしか眼中にないからだ。総理大臣を政治指導者としての資質ではなく、「選挙の顔」としか考えていない自民党議員1人1人の姿勢こそが、総選挙で問われることになる。 【自民党に問われる下野の覚悟】今回の総選挙は「政権交代」が最大の焦点といわれる。その意味するところは、単純に自民党か、民主党かの選択ではなく、昭和30年の保守合同以来、事実上50年以上にわたって政権を保ち続けた自民党政治に対して、国民の審判が下される選挙ではないか。それなのに自民党は選挙間際になって、また総理・総裁のクビをすげ替え、人気知事の歓心を買うために地方分権や世襲規制、霞ヶ関改革などをマニフェストに盛り込もうとしている。50年それをやれなかった政党が、「次はやるから選挙に勝たせてくれ」といってもまるで説得力がないし、それを「今がチャンス。オレがいればやらせる」などと選挙前の火事場泥棒的に騒いでいる東国原英夫・宮崎県知事や橋下徹・大阪府知事はピエロである。公約しても選挙が終われば元の木阿弥という政治を、国民は何度も見せられてきた。 政権交代可能な政治が必要とされているのは、「公約を実現できなければ政権を失う」という民主主義のメカニズムを確立するためなのだ。 それは、国民が選挙の結果に責任を負うことにもつながる。前回の郵政選挙で大きな議席を与えられた小泉首相は、公約通りに郵政民営化を推進し、市場原理主義的な経済政策を進め、その結果、社会のセーフティネットは切り捨てられた。国民は痛みを強いられた。政権交代可能な二大政党制が確立すれば、前の選挙の選択が果たして国民の利益になったのかを、次の選挙で判断することができる。 ならば、自民党はこの期に及んでジタバタせずに正面からこれまで政策の成否を問い、負ければ下野して政策を磨き、出直す覚悟を持つべきだろう。 少なくとも民主党は、政策的実行能力は未知数ながら、責任ある立場の議員は政権が近づいてきたことを単純に喜んではいない。政治にこれまでとは違う大きな変化が起きることを感じ取っている。 「いったん政権交代の政治が始まれば、政権を取ってマニフェストを実行しないと次はない。万年野党のように口あたりのいい政策だけをいうわけにはいかなくなった」(ネクスト大臣の1人)という覚悟を持たざるを得なくなっているのだ。もちろん、世界的不況のなか、政権交代による政策の転換が国民にとって、「バラ色の未来」をもたらすなどありえない。むしろ民主党がマニフェストを実行に移せば、経済や社会に大きな混乱が生じるのは間違いない。倒産する企業も出てくるだろう。 それでも、長期政権の維持だけを考え、政権交代という新しい政治システムへの覚悟がないまま混迷する自民党は、もはや政権担当能力を失っているとしか思えない。 「政権交代」は近い。総選挙後の社会で起きる変革と混乱に、国民も覚悟と備えをしておく必要がある。 〜了〜 【政治ジャーナリスト・武冨 薫】 |
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