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昨日の「金融資本は何を目論んでいるのか?」(当初の記事見出しは「何を目指しているのか?」)では、ウォールストリート・ジャーナル(WSジャーナル)に掲載されたヘンテコな記事を紹介した。次に進む前に、WSジャーナルに掲載された次のグラフは大見出しが適切ではなく、正しくはどのようなグラフであるべきかを示したい。あるべきグラフがニッセイアセットマネージメントのサイトに掲載されていた(用語について依然不満は残るが、WSジャーナルよりはるかにマシ)。
WSジャーナルのグラフ
このグラフ中の青色で示された「銀行信用」というのが"Money Supply"(通貨供給量)のことであり、赤色の「現金」というのが"Monetary Base"のことである。WSジャーナルの大見出しで"Money Supply"とされていたグラフの変化が、ニッセイの「現金」の変化と一致し、ほぼ08年頃からほぼ90度で増加していることが分かる。
ところが、「銀行信用」、つまり銀行から民間への通貨供給量は、"Monetary Base"とは反対に2008年当たりから劇的に減少している。要するに、これまでのところ投入された税金は当初の目的である市場の活性化ではなく、金融機関だけのために使われたと考えていいだろう。また、「金融安定化法」は元々は"Troubled Assiets Relief Program"(不良資産救済プログラム)という枠組みの中で決まった法律であることを念頭に置くことも大切と思われる。
短期間の間にどのようにしてハゲタカ金融機関が「夢の宴再始動」と記事にされるまでになったのか。とはいえ、その記事はハゲタカ金融機関の真の姿を伝えているのか、という疑問も重要と思われる。なぜなら、金融機関が好調であるためには、健全な借り手が必要である。しかし、住宅バブル、証券化商品バブルが破裂した現在の米国の実体経済を見れば、そんな健全な借り手はおいそれとは見つからないと思われるからだ。実体経済がそんな状況の米国で、これほど多額の税金投入を行って、金融機関を助ける意味がどこにあるのだろうか。
米ウォール街 夢の宴再始動
http://www.business-i.jp/print/article/200906180029a.nwc
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