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6月15日11時57分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090615-00000526-san-soci
民主党国会議員の口利きがあり、厚労省内で「政治案件」として扱われた障害者団体「凛の会」の証明書発行。今回の事件では、この“腫れ物”のような案件をめぐり、法案の処理などで政治家の口利きを断れないキャリア官僚と、キャリアに追い込まれるノンキャリア職員という構図も浮かび上がる。
証明書発行に絡む省内の指示は、当時の厚労省障害保健福祉部長(57)から始まった。「国会議員から電話がかかってきた。うまくやってくれ」
平成16年2月、ほぼ丸投げされた同部企画課長だった村木厚子容疑者(53)は調整係長を担当者に指名。その後、4月に同係長に着任したノンキャリア職員の上村勉容疑者(39)が前任者から引き継ぎ、最終的に偽造という不正な手段をとった。
政治案件はそれほど絶対視されていたのか。ある職員は政治家の口利きの存在を認めたうえで、「3日かかる手続きを1日で済ませたり、進展具合をこまめに報告したりと気配りを徹底するだけ。違法行為に手を染めるかどうかは別問題」と否定的だ。
だが、別の職員は「政治案件は通常、対外的な交渉を担当する別の部署から伝えられる。しかし上司から直接指示があったとすれば、部下が『個人的に関係があるのでは』と勝手に思い込み、必要以上に気を使う可能性はある」と指摘する。
上村容疑者は特捜部の調べに、「凛の会側から何度もせっつかれた」と話す一方、「仕事ができない奴だと思われたくなかった。自己保身のためにやった」とも供述した。
同僚らが「仕事一筋でまじめな性格だった」と口をそろえる上村容疑者。なぜそこまでして仕事を済ませたのか。その背景に中央省庁のキャリアシステムを挙げる職員もいる。厚労省の課長ポストはほとんどキャリアで占められ、職員の人事評価は各課長の仕事。同僚らは「案件処理のスピードは評価の大きな要素になっていた。キャリアににらまれたくない一心だったと思う」と話す。
一方、キャリアの村木容疑者はまったく違う立場にいた。当時、障害者自立支援法の準備に追われ、国会議員とも調整を重ねていた。ある職員は「法案は障害者団体から負担増になると反対の声が上がっていた。野党の議員の口利きに過剰に反応し、部下の不正を軽く流してしまったのでは」と推し量った。
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