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2009年6月15日 (月)
千葉市長選民主大勝と日本郵政の巨大犯罪疑惑
6月14日に実施された千葉市長選挙で、民主党推薦の熊谷俊人候補が自公推薦の前副市長林孝二郎氏らを破って初当選した。各候補者の獲得票数は以下の通り。
当170629 熊谷 俊人=無新[民]
117560 林 孝二郎=無新[自][公]
30933 結城 房江=共新
4月の名古屋、5月のさいたまに続き、政令指定都市の市長選で民主党推薦候補が三連勝を果たした。
千葉市長選後には、7月5日に静岡県知事選、7月12日に東京都議選が予定されており、今回の千葉市長選は大型地方選5連戦の第3戦目にあたる。
ここまでの戦績は民主の3戦3勝、自公の3戦3敗になった。
7月5日の静岡県知事選では、民主系候補2名が名乗りを挙げており、候補者を一本化しなければ自民党系候補が漁夫の利を得ることになる。民主系候補の一角が候補者一本化に難色を示している背景に、自公側の工作活動が影響しているとの見方もある。
民主党としては候補者の一本化を実現する必要があるが、これまでのところ難航している。
日本郵政取締役人事では、法律の規定を覆(くつがえ)す運用が示された。民主主義国家、法治国家の基本は、国民の代表者によって構成される国会がルールに基づいて法律を制定し、その法律に従って国家や行政が運営されることにある。
内閣総理大臣は国会の議決によって指名されるために地位の正統性を確保する。内閣総理大臣によって任命された国務大臣により内閣が組織され、内閣が行政権を掌握する。
行政は法律の規定に基づいて執行されなければならないが、今回の日本郵政人事では、権限を有する総務大臣の判断に監督下の企業社長が従わず、大臣の首が斬られる事態が発生した。
総理大臣は国会答弁で総務大臣の判断に委ねるとの方針を明確に示していたが、一部勢力から「横やり」が入り、総理大臣は総務大臣を斬って、「横やり」を認めてしまった。
日本郵政の西川社長の責任が追及されたのは、日本郵政が巨大な経済犯罪に手を染めたとの有力な状況証拠が明らかにされたためである。
国民の貴重な財産であり、固定資産税評価基準額が857億円の全国79の日本郵政資産が、その8分の1にあたる109億円で、小泉改革と極めて深い関係にある宮内義彦氏が代表を務める企業グループに、競争入札の偽装を施して横流しされようとしたとの疑惑が明らかになったのだ。
犯罪として摘発されるかどうかは、今後の推移を待たねばならないが、オリックス不動産が売却先に決定される経緯が不透明極まりなく、「競争入札」と説明していた売却先決定方式が「随意契約」であったことが国会審議で明らかにされた。
日本郵政がオリックス不動産への売却を白紙に撤回したのは、一連の選考過程に「瑕疵(かし)」=(欠陥)があったことを認めたからである。
かんぽの宿79施設のうち、9施設は首都圏の社宅で、この9施設の時価評価は40億円前後とみられている。また、79施設のひとつである「ラフレさいたま」は、300億円程度の費用が投入された2000年6月に竣工したばかりの豪華宿泊施設で、時価は100億円を下らないと見られている。
この10施設だけで時価評価は140億円に達する。
79施設の109億円での売却が不正売却であることは明白だ。西川社長続投擁護派は、総務省が実施した79施設の不動産鑑定評価で250億円の金額が提示されたことを、不正売却でない根拠とするが、この不動産鑑定評価は、前提に重大な問題がある。
「かんぽの宿」79施設の「時価」は、不動産としての売却価格を積算することが必要だが、総務省の不動産鑑定評価は「事業評価」に基づくものである。「事業評価」は直近の事業収支に強く影響されるが、この「事業収支」を不動産鑑定評価の基準に用いるには不適正なのである。
また、「かんぽの宿」事業収支の数値に大きな疑惑がある。
この点についての詳細は6月13日付記事
「テレ朝報道ステーションの救いようのない欺瞞」
を参照いただきたい。
このほか、テレ朝「サンプロ」メンバーの高野孟氏の妄論
「西川更迭で日本郵政は官僚勢力の食い物に?
――鳩山邦夫“暴走”の背景」
に対する反論として記述した6月10日付記事
「西川続投で日本郵政は売国勢力の食い物に?
――サンプロ一族“暴走”の背景」
に、「かんぽの宿疑惑」の概要、日本郵政のガバナンス(統治)に関する法的規定、宮内義彦氏と郵政民営化の関係、などについて記述した。
また、その補論として6月11日付記事
「国会に出頭すべき竹中平蔵氏と郵政民営化の嘘」
に、竹中平蔵氏の主張の根本的な誤りと財政投融資改革と郵政民営化の関係についての考察を記述した。
また、日本郵政取締役から構成される「指名委員会」と、日本郵政が「かんぽの宿」疑惑を調査するために設置した「第三者委員会」の「お手盛り性質」について6月9日付記事、
「参院総務委日本郵政西川社長更迭問題集中審議」に、
「郵政民営化」の背後にある竹中平蔵氏−外資−西川善文氏の関係については、
「西川善文日本郵政社長続投論を覆う黒い霧」(5月23日)
「鳩山総務相更迭問題を逃げたテレ朝サンプロ」(6月14日)
に概要を記述した。
宮内義彦氏と小泉規制改革との関係については、
『規制緩和を利権にした男宮内義彦』(有森隆講談社)
『サラリーマン政商宮内義彦の光と影』(森功講談社)
「規制改革」を利権にした男 宮内義彦-「かんぽの宿」で露見した「政商の手口」 (講談社プラスアルファ文庫)
著者:有森 隆
販売元:講談社
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サラリーマン政商―宮内義彦の光と影
著者:森 功
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する
の著作に詳しいので、参照いただきたい。
「かんぽの宿疑惑」は、郵政民営化の実態が「郵政私物化」、「郵政米営化」であったことを象徴的に示す「氷山の一角」である疑いが濃厚なのだ。
この問題を白日の下に晒(さら)した鳩山邦夫総務相の功績は、高く評価されなければならない。鳩山氏は、
「いずれ歴史が私の正しさを証明してくれる。歴史と言っても50年、100年先ではなく、1年以内にも証明される」
と述べたが、必ず真相を明らかにしなければならない。
時価が800億円から1200億円程度の物件を、「競争入札」を偽装して関係者に不正売却しようとしたのなら、これは天地を揺るがす巨大犯罪である。
これ以外にも、カード事業の業者選定、資金運用委託業者選定などで、日本郵政が三井住友グループ、ならびにゴールドマン・サックスやメリル・リンチに便宜供与を図ったとの疑いも浮上しているのだ。
6月1日付記事
「かんぽの宿が戦後最大疑獄事件に発展の可能性」
の表現は、決して誇張でない。
小泉純一郎氏、竹中平蔵氏、中川秀直氏、菅義偉(すがよしひで)氏、に石原伸晃氏を加えた「ペンタゴン勢力」が、「横やり」を入れたグループ中核メンバーである。
テレビ出演者関係では、田原総一郎氏、竹中平蔵氏、大谷昭宏氏、高野孟氏、財部誠一氏の「サンプロペンタゴン」が、西川氏続投支持で足並みを揃えている。
「サンプロ」以外では、田崎史郎氏、竹田圭吾氏、田勢康弘氏、古館伊知郎氏、三宅久之氏が「悪徳ペンタゴン」を編成しているように見える。
政治評論家では、時事通信解説委員長の田崎史郎氏と日経新聞コラムニストの田勢康弘氏が西川社長擁護派の双璧をなす。両者とも社命を帯びて発言していると考えられる。
6月14日のフジテレビ「サキヨミ」では、今回の麻生首相による鳩山総務相罷免についてのインターネット調査結果が紹介された。
結果は、麻生首相の行動を、
評価する 25%
評価しない 75%
だった。
これについて、司会者がインターネット調査は偏っている趣旨の発言を示した。
また、田崎史郎氏は、鳩山総務相の行動が「パファーマンス」であることを必死に印象付ける発言を繰り返した。
番組は「一刀両断」と呼ぶ視聴者調査の手法を持っているのだから、これで調べれば良い。だが、そのような調査を行わない。
3月3日に小沢民主党代表秘書が逮捕され、5月11日に小沢代表が辞意を表明するまで、メディア各社はどれほど「世論調査」を多用したことか。
民主党代表選に際してマスメディアは「鳩山代表就任は小沢院政」の大キャンペーンを展開した。私は5月11日に、
「逆風を順風に転じさせる小沢民主党代表の英断」
を掲載したが、マスメディアは民主党新代表に鳩山由紀夫氏が就任すれば民主党に対する批判が強まると喧伝(けんでん)した。フジテレビ「サキヨミ」コメンテーターの池上彰氏は、「民主党は愚かな選択をした」と断言した。
鳩山由紀夫代表が就任すると各社は早速世論調査を実施した。
ところが、代表選後に実施した世論調査では鳩山由紀夫新代表が高く評価され、民主党支持率が急騰した。本ブログでは、
「フジテレビ偏向民主攻撃を粉砕する毎日世論調査」
「逆風下で党勢急騰を示す鳩山民主党世論調査」
を掲載した。
これ以後、各社の世論調査がピタリと行なわれなくなった。五月雨式に、ポツリポツリと世論調査が実施されるが、西川社長問題が質問されない。こんなメディアは「ジャ−ナリズム」ではない。単なる御用機関である。
日本郵政株式会社が100%政府出資の完全国有会社である以上、「かんぽの宿」は紛れもない国民財産である。その国民財産の売却が不正に行なわれて良いはずがない。
しかも、郵政民営化の行く末に、300兆円の国民財産収奪、日本最大級の一等地不動産所有会社収奪のリスクが聳(そび)え立っている。
この問題こそ、メディア各社は世論調査を繰り返し実施するべきである。
本当に日本が腐り切ってしまったことを残念に思うが、この日本を腐敗から脱却させ、国民の幸福を追求する政治を樹立するには、次期総選挙で野党連合が大勝し、大連立ではない、本格政権交代を樹立するしか道はない。
明治維新が実現し、明治政府が樹立されたのちに「政官業癒着の構造」が生み出されていった。現在はこの「政官業」に「外」と「電」が加わり、「政官業外電=悪徳ペンタゴン」が形成され、利権政治が氾濫してしまっている。
日本郵政西川社長続投論のもう一つの側面に、
「財界による「日本郵政私物化」を拒む改革が必要」(5月21日)
に記述した「財界による日本郵政私物化」の問題がある。
「電」であるマスメディアは財界からの広告収入に経営を依存している。西川社長続投論を糾弾(きゅうだん)できないのだ。糾弾すればテレビCMを打ち切られてしまう。
西郷隆盛は、明治政府に対して
「政府に尋問の筋これあり」
と異を唱え、西南戦争に決起したが、力及ばずに敗れてしまった。
1877年の西南戦争から132年を経たいま、多くの国民が
「政府に尋問の筋これあり」
と感じている。
西南戦争の時代にはインターネットがなかった。真実の情報を日本全体に伝え、全国民を決起させることができなかった。インターネットの普及した現在は状況が異なる。ネットから真実の情報を津々浦々にまで伝え、平成の日本一新を成就させ、悪徳ペンタゴンを粉砕(ふんさい)しなければならない。
大型地方選5連戦に勝利し、総選挙で大勝利を果たし、日本政治から「悪」を排し、「正義」を樹立しなければならない。
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