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テレ朝報道ステーションの救いようのない欺瞞(植草一秀の『知られざる真実』)
http://www.asyura2.com/09/senkyo65/msg/313.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2009 年 6 月 13 日 09:49:23: twUjz/PjYItws
 

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-6436.html

2009年6月13日 (土)
テレ朝報道ステーションの救いようのない欺瞞


麻生首相による鳩山総務相更迭を各社が報道した。


朝日、産経、日経が「郵政民営化推進」の名を借りた「郵政私物化」、「郵政米営化」勢力と結託し、西川社長続投をごり押しした。


なかでもテレビ朝日の偏向ぶりは突出している。


6月12日「報道ステーション」の偏向は救いがたいものだった。


古館伊知郎氏、田崎史郎氏、堀田力氏は「偏向トリオ」のユニットを結成するのだろうか。懸命の情報操作だった。堀田氏には作為が無いのかも知れないが、ユニットに完全に組み込まれていた。


しかし、真実を正しく知る視聴者は騙されない。また、情報操作空間にはネットの抜け穴がある。ネットの抜け穴から真実の情報が発信されるから、情報操作空間は撹乱される。


西川社長更迭問題の基本を押さえなければならない。重要なことは、日本が民主主義国家であり、法治国家であることだ。公的事項の運営、決定には、民主主義のルール、法治国家の基本に照らした「正統性」が不可欠である。


西川社長更迭問題では次の三点を踏まえることが絶対に必要である。 


第一は、日本郵政株式会社が現時点で、100%政府出資の完全国有会社であること。


第二は、日本郵政株式会社存立の根拠法規が日本郵政株式会社法であり、日本郵政株式会社の運営にあたっては、根拠法に準拠した対応が必要であること。


第三は、「郵政民営化」の実施にあたっては、郵政民営化法の規定に準拠した対応が求められること。


日本郵政株式会社は現在、株式の100%を政府が出資する完全国有会社である。したがって、「民間会社」と称することは正しくない。株式の過半を民間が保有したときに、初めて「民間会社」の呼称を用いるべきだ。


米国でGMが破綻して、政府が60%、あるいは70%の株式を取得することを「実質国有化」と表現していることを踏まえるべきだ。


日本郵政株式会社法は、日本郵政の経営に関して、総務大臣に極めて強い権限を付与している。監督権限、検査権限、取締役等選任にかかる認可権限などは総務大臣の専権事項である。


日本郵政の経営は、日本郵政の取締役に委ねられているが、取締役に経営が委ねられる「正統性」の根拠は、これらの取締役が総務大臣の認可を受けているからである。


西川善文氏をはじめとする日本郵政の現取締役の地位は、これらの取締役が選任された時点における所管大臣である総務大臣の認可によって「正統性」を保持している。


国民が国会議員を選び、国会の多数勢力によって内閣総理大臣が指名される。内閣総理大臣は内閣を組織し、行政権を司る。民意を受けた内閣であるから「正統性」を持つ。


今回、2009年6月末をもって、取締役の任期が満了になる。したがって、2009年7月以降の期間における日本郵政取締役は、現在の総務大臣の認可を得て、初めて「正統性」の根拠を得ることになる。


選挙の洗礼を受けない西川善文氏は、現職の総務大臣に認可されない限り「正統性」の根拠を持たない。


2009年7月以降の取締役は鳩山総務大臣の認可を得て、初めて「正統性」を得ることができるのだ。小泉純一郎氏、竹中平蔵氏、中川秀直氏、菅義偉(すがよしひで)氏が暴れようと叫ぼうと、まったく関係がない。


鳩山総務相が西川社長の再任を認めないとの決断を示した根拠は、西川社長の下で、日本郵政の経営が適正に行われていないことを示す事例が数多く表面化したからである。


表面化したなかでの最大の問題が「かんぽの宿」疑惑だった。


「かんぽの宿疑惑」とは、2400億円を投じた79施設が109億円でオリックス不動産に売却されかかった問題である。


79施設の固定資産税評価基準額は856億円である。つまり、資産価値の8分の1程度の低価格で貴重な国民資産が不正売却されようとした疑惑なのだ。


西川社長続投支持派は、この点で四つの反論を示す。
@日本郵政の行なった鑑定結果は250億円だった。
A「かんぽの宿」は年間40〜50億円の赤字を垂れ流している。
B3200名の従業員の雇用義務があったため、価格が低くなった。
C郵政族が2400億円もの資金を投下したことが問題だ。


これらの反論はまったく説得力を持たない。問題を解く鍵は「かんぽの宿事業」が営利事業でなかったことである。「かんぽの宿」は加入者福祉施設であり、「営利事業」の資産ではなかった。


「年間40〜50億円の赤字を垂れ流している」ことの「真相」が解明されなければならない。

国民新党の長谷川憲正議員は、日本郵政が総務省に提出した17箱の段ボール資料に関連して、メルリリンチが作成した入札参加者に提供した資料に、2007年の27億円の赤字が、2009年以降に10億円、13億円、16億円、17億円、17億円と黒字化する見通しが示されていたとの事実を指摘している。

実際、2008年3月期の日本郵政株式会社損益計算書によると、宿泊事業収支の赤字がわずか約4億円にとどまっていることが分かる。

料金体系を見直し、経営の効率化を進めれば、十分に黒字化できる施設なのである。

250億円の鑑定評価は、あくまでも「事業評価」に基づくもので、不動産の実勢価格調査をしたものでない。「事業評価」としての「資産価値鑑定」は直近の財務指標に大きく左右される。「加入者福祉事業」を「ホテル事業」として「事業評価」すれば、鑑定評価額が著しく低く算出されるのは当然だ。

79施設の不動産としての実勢価格は、固定資産税評価基準に極めて近いと考えるべきである。「事業評価」に基づく鑑定評価額は、不動産売却の実勢価格を大幅に下回ることがあり、このため、1万円の簿価物件が6000万円で転売されるのだ。

「事業資産」の「不動産鑑定評価額」は、この意味で、極めて不安定なものである。事業収支の数値を意図的に悪く置けば、低い鑑定評価額を得ることが可能になる。「不動産」としての取引事例に基づく鑑定評価と、「事業資産」としての鑑定評価との間で、巨大な格差が生まれることは当然なのだ。

「40〜50億円の赤字」が初めて提示されたのは、竹中平蔵氏の産経新聞への寄稿記事「かんぽの宿は不良債権」である。竹中氏は、


「かんぽの宿は、今でも年間約50億円の赤字を計上している。」
と記述したが、この数値をどこから入手したのか。

「かんぽの宿」の簿価に関しては、2005年3月期決算までは、減価償却に連動する小幅引き下げだけが実施されてきたが、2006年3月期から突然、激しい勢いで「減損処理」された。

「かんぽの宿」売却規定が法律に盛り込まれたのは、2005年5月頃の法律案確定直前であり、指示したのが竹中平蔵氏であることが国会答弁で明らかにされた。

「かんぽの宿」売却方針決定を受けるかのように、「かんぽの宿」の簿価が大幅に引き下げられ、2007年3月末には129億円まで引き下げられた。この簿価を承認したのが「承継財産評価委員会」であり、調査部会委員を兼ねた委員会メンバーのなかの唯一の不動産鑑定士である奥田かつ枝氏が財産評価に深く関わったと考えられる。

奥田氏は緒方不動産鑑定事務所に所属し、オリックス・キャピタルが出資する企業の社外取締役を務めている。また、竹中平蔵氏と日本不動産鑑定協会副会長である緒方事務所代表の緒方瑞穂氏との関わりを示す怪文書も出回っている。

また、雇用義務について3200人の正規・非正規従業員の雇用維持のため一括売却が必要だったと言われるが、オリックス不動産が締結した契約に盛り込まれた雇用維持義務は620名の正規労働者のなかの550名だけで、しかも、当初の処遇維持期間は1年と定められていたことが判明している。

また、不動産の転売規制についても但し書きがあって、抜け穴が用意されていた。

細かくなりすぎたが、「かんぽの宿」疑惑の核心は、

@固定資産税評価額856億円の79施設が109億円で売却されようとしていたこと。

A選考過程では不透明なプロセスでオリックス不動産が選ばれたが、この選定が「客観基準」ではなく、「人為的操作」によったのではないか。

の2点にある。西川社長続投支持派は109億円の価値しかないものに2400億円も投じたのが問題と言うが、不動産実勢価値は856億円に近いはずで、2400億円の投資物件が長い時間を経過して856億円というのは、極めて優良な投資が行なわれたことを示唆している。

この疑惑で不正が確認されれば、問題は確実に刑事問題に発展する。

6月12日の「報道ステーション」が提示した主張は、

@「かんぽの宿」建設に2400億円もの費用が投じられたことが問題にされなければならない。

A2005年9月の郵政民営化選挙の結果として日本郵政株式会社が発足したのであり、そのなかで、日本郵政の「指名委員会」、「取締役会」が西川社長続投を決めたのだから、総務大臣が介入して西川社長の続投を認めないのは、民意に反している。

というものだった。

堀田力氏が以下の点を付け加えた。

B田中角栄元首相は、政治家に資金が還流する仕組みを作る点で天才的であり、「かんぽの宿」に2400億円もの資金を流しこんだ「族議員」は、主に旧田中派の議員であって、こうした利権がらみの議員が「郵政民営化反対論」を唱えている。

結論として、鳩山氏が主張した西川氏更迭方針は、「郵政民営化に賛同した民意」に反しており、西川社長の続投は容認されるべきとの主張が強調された。

あまりにも低レベルでお話しにならない。サンプロ一族も同様の論調を示している。週末のテレビ朝日番組が注目される。

郵政民営化法第2条に定められた「郵政民営化」の「基本理念」を示す。

(基本理念)


第二条

 郵政民営化は、内外の社会経済情勢の変化に即応し、公社に代わる新たな体制の確立等により、経営の自主性、創造性及び効率性を高めるとともに公正かつ自由な競争を促進し、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上及び資金のより自由な運用を通じた経済の活性化を図るため、地域社会の健全な発展及び市場に与える影響に配慮しつつ、公社が有する機能を分割し、それぞれの機能を引き継ぐ組織を株式会社とするとともに、当該株式会社の業務と同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じ、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを基本として行われるものとする。

 「かんぽの宿」疑惑は、「国民の利便の向上」、「公正かつ自由な競争」、「地域社会の健全な発展」、「国民生活の向上及び国民経済の健全な発展」に反するものだ。

 「民意の尊重」を唱えるなら、「かんぽの宿疑惑」が郵政民営化の理念に適合するのかどうかの点検を実行するべきだ。

 鳩山総務大臣は、日本郵政株式会社法第9条の規定に則って、取締役選任に関する認可権を行使しようとした。

 中川秀直氏、竹中平蔵氏、菅義偉氏、石原伸晃氏、そして麻生太郎氏と裏に控える小泉純一郎氏が、現職の総務大臣の認可権を否定するなら、日本郵政株式会社法第9条を以下の通りに改正するべきだ。

(取締役等の選任等の決議)

第九条  会社の取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議は、小泉純一郎、中川秀直、竹中平蔵、菅義偉、石原伸晃の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 鳩山総務相は政府に対抗して決起する際に西郷隆盛が示した言葉を引いた。

「今般政府に尋問の筋これあり」

 鳩山総務相は野党陣営に合流するだろう。国民新党と連携する可能性が高いと思われる。これで、野党連合の総選挙勝利が盤石になる。

 麻生太郎氏は政権交代実現に大きく貢献したと評価されることになるだろう。


 

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