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(回答先: 政治資金問題を巡る政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会の報告書提出 投稿者 クマのプーさん 日時 2009 年 6 月 10 日 20:45:35)
政治資金問題第三者委員会が報告書を公表
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/06/post_292.html
西松建設によるダミー権献金事件を受け、民主党が設置した「政治資金問題を巡る政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会」(座長・飯尾潤政策研究大学院大教授)は10日、同党の岡田克也幹事長に最終報告書を提出した。報告書は同委員会の公式HPからダウンロードできる。
http://www.dai3syaiinkai.com/
報告書では、野党第一党の党首を辞任に追い込んだ今回の逮捕について検察に説明責任を求めるとともに、「小沢=悪」と決め付け、一方的な報道を続けたメディアを批判している。
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【報告書の主要部分の抜粋】
■第1 章 検察の捜査・処分をめぐる問題(P11より)
民主党代表であった小沢一郎氏の公設秘書の大久保氏を逮捕・起訴した政治資金規正法違反事件の捜査・処理に関しては、そもそも違反が成立するか否か、同法の罰則を適用すべき重大性・悪質性が認められるか、任意聴取開始直後にいきなり逮捕するという捜査手法が適切か、自民党議員等に対する寄附の取扱いとの間で公平を欠いているのではないか、など多くの点について疑念がある。このような捜査・起訴のために、総選挙を間近に控えた時期に野党第一党党首を党首辞任に追い込むという重大な政治的影響を生じさせたことに関して、検察は説明責任を負っている。
■第2 章 政治資金規正法のあり方について(P15より)
西松事件では政治資金規正法違反を理由として刑罰権が発動されている。政治資金規正法の所管官庁は総務省であるが、罰則が問題となる限りにおいて法務省は法令協議にかかわり、犯罪構成要件としての法令の解釈・罰則適用基準について事実上の公定解釈を示す立場にある。同法の解釈をめぐって、総務省は刑罰の問題であるとして具体的な解釈指針を示さず、他方で法務省は法律の所管官庁でないとして解釈基準を示そうとせず、両省の間で責任の押し付け合いともいえる状況が生じている。しかし、ことは刑罰の適用にかかわる問題であり、何が罪であるかについて事前に明確な定めを要求する罪刑法定主義の観点から見て、このような無責任な対応は到底容認されるものではない。西松事件についていえば、会計責任者にとってあらかじめどのように記載すればよいかが不明確なまま政治資金報告書に記載させられ、後になってその記載が法律に違反するとして処罰されるというようなことは、決して許されない。刑罰権の恣意的な発動を防止する観点から、総務省・法務省はともに適法行為と違法行為の分水嶺について明らかにする責務があり、これは憲法上の要請である。
■第3 章 検察・法務省のあり方について(P18より)
西松事件では、政治資金規正法という、もともと政治の世界における権力バランスにかかわる法律の問題であるということに加えて、検察の権限行使が野党に対して向けられた事案であるため、民主主義の観点からすると、与党議員に対する事案処理との間でバランスがとれているかどうかは国民にとって重大な関心事項である。検察当局は自らの権力行使の正当性について、主権者たる国民に向けて踏み込んだ説明をすることが求められる。
■第4 章 報道のあり方について(P20より)
今回の報道全般を通して指摘できるのは、次の点である。
第1に、検察あるいはその関係者を情報源とする報道が大きく扱われたこと。
第2 に、起訴以前、裁判開始以前で逮捕容疑の政治資金規正法違反を超えて、政治と金の問題とりわけ「巨額献金事件」といった決めつけをはじめ「有罪視報道」が展開されたこと。
第3 に、第1 章で述べたような捜査、起訴を巡る疑問が指摘されているにもかかわらず、読者・視聴者に公正な視点から権力をチェックする報道が少なく、検察の捜査のあり方についての批判が十分に行われなかったこと。
第4 に、検察批判を外部の有識者の執筆原稿やスタジオなどでの討論に依存した姿勢は、多様な言論の表出という点で評価はできるが、本来はそれぞれの取材で明らかにしなければならないにも関わらず、その努力を怠り、外部識者に委ねてしまったこと。
第5 に、地検特捜部の動きは、衆院選が取りざたされる中でのことであっただけに、通常の政治報道・事件報道以上の慎重かつ多面的な報道が求められたが、そうした姿勢が今回の報道機関全体に希薄であったということ。
■第5 章 政党の危機管理の観点からの分析(P40より)
今回の事件に対する民主党及び小沢前代表の対応は、政党の危機管理対応という観点からは問題がある。発端となった検察捜査自体に第1 章で述べたような多くの疑念があり、また、それに関するマスコミ報道にも第4 章で述べたような問題があることは確かであるが、政党としての危機管理に失敗した結果、政党支持率の低下、小沢代表(当時)の辞任を求める世論の高まりを受けて総選挙を目前に控えた時期の代表辞任という事態に至ったことは厳然たる事実であり、それは、多くの国民の支持を受け、その期待を担う政党にとって反省すべき事柄である。民主党にとっては、その危機管理の失敗を、今後、危機管理対応のみならず党運営全般に活用していくことこそが、今回の事件を乗り越えて国民の信頼を回復するための最良の手段である。
危機管理の失敗の最大の原因は、今回の事件に関して、小沢前代表の政治家個人としての当事者的立場と、政党の党首としての立場とを切り離すことができず、両者の立場が渾然一体となったまま対応したことである。そのため、検察の捜査・起訴に関する問題やマスコミ報道の問題などがあっても、それらの問題を客観的な観点から的確に指摘することができず、事態の一層の悪化につながった。
問題は、なぜ、当事者の立場と民主党の党首としての立場を切り離すことができなかったのか、ということである。危機管理の失敗の根本原因は、多くの場合、組織の日常の中にある。民主党の日常的な党活動の体制において、強烈な個性を持ったリーダーの指導力と、党としての判断や対応を客観化するシステムとの調和という面で問題がなかったのか、という観点から、今回の事件における危機管理の失敗の原因を検証してみることが必要であろう。
■第6 章 政治的観点から見た民主党の対応(P45より)
今回、民主党内から代表の対応についての批判が噴出しなかったことは、代表に対する信頼と党内の一致結束を優先した多数の所属議員の判断によるものと見られる。しかし、党内の議論を行って、その姿を示しながら党内の認識統一を図る方が、好感を持ってみられたのではないか。その点で、政治家個人の問題に関して、民主党内で弁明ないし説明する機会を設け、小沢前代表と所属議員など民主党関係者が、疑問点について直接意見を交換する姿勢を社会に示すことが求められた。また、これを踏まえ、民主党が代表の問題に関して、代表個人の判断とは別に、政党としての意思決定を適切に行いうることを示すべきであった。そうした手順を経て、代表の置かれた状況を民主党として正しく理解し、多くの所属議員が代表を支持するという形になれば、より説得力のあるかたちで民主党の立場を主張することも可能であったであろう。
いずれにせよ、党首に疑惑が提起され、批判を受けるという事態のなかで、政党がとるべきことは、党内状況の流動化を防いで、政党としての活動を正常に継続することだけではなく、対外的に積極的なアピールによって、ダメージを最小にすべく努力することである。
■おわりに(P46より)
今回の問題の教訓を活かすためには、民主党が政権交代を阻止しようとする検察の意図的な権限行使、マスコミ報道の被害者的立場にあるかのように受け止めることは適切ではない。
今回の問題で露呈した様々な問題は、政治資金制度、検察制度、メディアに関する制度などに関する構造的な問題に根ざしたものであり、今、重要なことは今回のような事件で政党政治に対する脅威が生じさせないようにするために、その構造自体を改めることである。そのためには、むしろ政治的には対立する現在の政権政党などと協力しながら、政党間の共通の課題として、超党派的な立場から取り組むのが望ましい。
民主党は、今回の一連の問題を、政権獲得をめざす政党に降りかかった災難ととらえるのではなく、民主主義国家における政治・検察・メディアの関係に関する重要な問題を顕在化させ、今後取り組むべき課題を認識する契機と受け止めるべきである。そのような前向きの取り組みを行うことができるかどう、そこに政権を担い得る責任政党としての真価が問われていると言えよう。
投稿者: ニュース・スパイラル 日時: 2009年06月10日 19:48
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