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今回は「四分社化」について、以前書いたことと重複する部分もあるが、思ったことを書いてみる。これについては私も国民の一人として不可解な思いを持つので、いくら強調してもし足りない思いである。麻生首相は、(05年9月11日の総選挙で)問うたのは郵政民営化であり、4分社化ではないと、2月9日の衆院予算委員会での答弁で語った。翌日、これについて、「多くの国民の中で四分社化を知っていた方は、ほとんどおられない」と述べたことが物議をかもした。
http://www.asahi.com/politics/update/0210/TKY200902100326.html
総理の「四分社化を知っていた方は、ほとんどおられないという」という発言に対し、多くの政治家や評論家は「当時の国民は四分社化を知っていた。国民を愚弄しているじゃないか」というワンパターンな反応を示している。ところで彼らの言うように、四分社化に関する麻生発言は国民を馬鹿にしていたのだろうか。そんなことはない。麻生氏の指摘は正しいと思う。当時は郵政事業の民営化が焦点になっており、四分社化が引き合いに出された記憶はまったくない。四分社化という言葉や図解のようなものだけが、いつの間にか出ていたが、国民はそれが登場した経過を知らなかったのは事実だ。
つまり、メディアは民営化は大々的にキャンペーンを張っていたが、四分社化については、その意味も、理由も、必然性もまったく報道に載せなかったのだ。四分社化という言葉は確かに出ていたが、民営化キャンペーンの規模に比べて、その経過や理由を説明していたという記憶はない。国民のほとんどが四分社化の詳細を知らないまま、911総選挙に突入したのだ。選挙以前の法案審議や採決も、四分社化の説明はろくすっぽなされなかった。
後で調べたら、国会では四分社化の説明は政府サイドから出ていたことはわかったが、メディアはそのことを国民レベルに周知させていなかった。四分社化が国民の目に止まった時は、すべてが決まっていて「民営化法案の策定作業をしているうちに、結果的に四分社化案」ができあがったという印象だった。おそらく国民は、この四分社形態を知った時、専門家が民営化作業の過程で、必然的に導き出した結果だろうというように、煙に包まれていた感じだったのではないだろうか。四分社形態が生まれるに至った動機や経過説明について、国民は、終始蚊帳(かや)の外に置かれていたのである。
現在でさえ、国民はこの四分社化についてその意味を把握していないと思う。たしか、2007年度の三月期決算では、日本郵政公社は2003年に発足してから四期連続して黒字を計上していた。国民はこの状態が民営化のベースだと思っていた者も多いのではないだろうか。三事業一体化のままで、「郵政公社の民営化」なら、何の違和感も生じないで自然な展開だと思ったかもしれない。しかも、郵政から財投に怪しい資金の流れが起きていて、国民の不興を買っていた構造は、2001年の財投改革ですっかり断ち切られている。黒字化と怪しい資金還流問題の解決は、公社体制のままで民営化を模索しても充分に理があった。
ところがである。2004年当時から、国民が知らない場所で、小泉純一郎元総理や竹中平蔵元郵政担当大臣、当時の諮問委員会のメンバーらが主導して、四分社構想を実現化しようと画策していたのだ。ここには郵政公社のまま民営化しようとする選択肢はまったくなかった。公社のままと言えば御幣があるから言い直すが、要するに、郵政三事業が一体のまま民営化を模索するという方向性はあったはずである。と言うか、常識で考えればそれが優先的に考えられてもいいはずだった。色々調べていくと、当時の多くの自民党議員はその方向性を考えていたのだ。
2005年9月11日総選挙の直前、政府とマスコミは協働して宣撫作戦を行い、国民を詐欺にかけた。これを主導したのが竹中氏や世耕氏であった。彼らがメディア戦略でやったことは、メディア・リテラシーのまったくない層、すなわち彼らが言うB層国民を主に籠絡することだった。その手法は、ナチの宣伝担当相ゲッベルズがやったような単純でインパクトのある言葉を執拗に繰り返すことだった。竹中・世耕宣撫工作班は、その宣伝に、小泉元総理のワンフレーズ・ポリティクスを繰り返して報道させるという手法をとった。
すなわち、「郵政民営化、是か非か?」、「民間にできることは、できるだけ民間に任せる」、「なぜ郵便局員が公務員でないといけないのか」と、まるで無意味なことを、お題目のように繰り返してテレビで流しまくった。こんな愚劣なものを公共の電波に乗せること自体、国民を愚弄しているが、彼らの宣撫工作と考えれば、見事な大衆操作だったと言うしかない。たしか、ヒトラーの書いた「我が闘争」だったと思うが、嘘も百回繰り返せば真実になるということが書かれてあった。洗脳報道だ。結果的に、国民はすっかりこの愚民化キャンペーンに乗せられてしまった感がある。
当時はこういう状況だったから、国民は四分社化の真の意味に頭を使う状況ではなかったと思う。小泉政権のペテン性にかなり憤っていた当時の私も、「四分社化」については、まったく意識になかったのである。当時、私は、小泉・竹中構造改革と彼らの主導した民営化そのものがペテンだとは思っていたが、四分社化の怪しさには気付かなかった。この当時の政府は異常だった。国民に法案の正しい全貌を周知させるどころか、知らせなければならない部分にベールをかけて徹底的に国民の目を逸らすことをやっている。
小泉政権は、郵政民営化に関し、ある重要な部分については、故意に説明責任を果たしていないのだ。それは郵政事業が民営化して株式会社となり、株式が上場された場合、莫大な郵貯資金と簡保資金が外国資本の支配権に委ねられることがあるのかないのか、あるとすれば、そういう敵対的乗っ取りに対して、どういう防御策が講じられるのかという側面である。国会審議も、メディアの報道も、この肝心な点については徹底的に神経質に議論を封じていた。
これを象徴する出来事は、2005年8月31日、テレビ朝日系列「報道ステーション」で、古舘一郎司会者の奇怪な行動に表れていた。番組内でゲストの小林興起議員が、郵政民営化はアメリカ政府の要求だと話し始めた途端に、古館氏は急に態度が激変し、その話の展開を遮った事実がある。これをご覧になった人は多いと思う。以下、「kobaちゃんの徒然なるままに」というブログから該当箇所を引用させていただく。
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事の発端は郵政民営化問題で、日本共産党の市田忠義書記局長が 「民営化で喜ぶのは日本とアメリカの銀行や保険会社だけ」と指摘。 その後、新党日本の小林興起氏が「アメリカ政府の要求だ」と話し始めた時だった。
「三百四十兆ものお金を外資に食われるような、 そんな愚の骨頂のようなことをだれがやるのか。ちょっと安倍さん」
突然強い言葉で発言をさえぎり、自民党の安倍晋三に意見を求めようとした。 古館、小林氏、安倍の声が重なり騒然となった。 市田氏が重ねて「アメリカの要求は事実」と指摘すると、再び古舘が割って入り、「アメリカに食われるために郵政を民営化するなんて… そんなに国民の目は、だまされるほどバカじゃないんで」、 「まず入り口として郵政民営化をやらなきゃいけないって考え方がある」。 最後はほとんど絶叫調だった。
これを見た視聴者から抗議の電話が殺到し、後日番組で謝罪した。私も番組中何度もTV朝日に電話をしたが繋がらず、結局メールで抗議文を送った。
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私もこれは見ていた。当時はこの番組に限らず、民放各局は郵政民営化の「アメリカ策謀論」、「外資脅威論」を徹底的に封印しているのだ。つまり、郵政民営化論議中に、誰かが外資やアメリカに言及すると、司会者が考えられないような速効でその言動を排除していたのだ。私も何度か見ている。アメリカや外資というキーワードを誰かが出した途端に、司会者がすぐにその発言を制止したのだ。一つのセンテンスを言い終える間も与えなかったように思う。ゲストを招いていながら、こういう異様な司会はそれまで見たことはなかった、
つまり、小泉政権は外資脅威論やアメリカ策謀論を徹底的に封じ込める作戦を最優先に取っていた節がある。だからこそ、郵政民営化というのは最大のペテンだと思うわけである。
これ以降は、また別記事に書くが、私は、郵政の四分社化こそが、アメリカの最大の要望だったと見ている。このことと、2007年5月の三角合併解禁を思い合わせてみればいい。四分社化形態というのは、郵政民営化の中心的要件ではない。国民利益の観点から見た場合、四分社化の必然性はないと思う。この必然性があったのは、唯一アメリカ系ファンド、つまり国際金融資本側の論理から出ているのである。
神州の泉
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2009/06/post-37f3.html
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