部落差別にもと づくデッチ上げ 五月二十二日、代々木公園B地区野外ステージで「冤罪・狭山事件―無実の叫び46年〜東京高裁はただちに事実調べを!狭山事件の再審を求める市民集会」が市民集会実行委員会の主催で開催された。 一九六三年五月二十三日、女子高生殺害事件(狭山事件)で、当時二十四歳の石川一雄さんが突然別件逮捕され、犯人にデッチ上げられた。石川さんは無期懲役が確定し、仮出獄中である。東京高裁に第三次再審を申請中である。狭山事件の再審を求める署名を一昨年八月から始め、二〇〇七年五月には、百万筆を突破し東京高裁に提出された。 事件からすでに四十五年が過ぎ、石川さんはすでに七十歳になっている。警察が完全に選挙違反事件をでっち上げた鹿児島・志布志事件、強かん事件の真犯人にデッチ上げられた富山県・氷見事件などえん罪事件は過去のものではない。警察での取調べの全過程を録画・録音する(取調べの可視化)、弁護側への証拠開示の保障などが必要だ。 万年筆について 新証拠を提出 組坂繁之さん(部落解放同盟中央本部委員長)が開会のあいさつを行い、民主党・細川律夫さん(衆院、党ネクスト法務大臣)、社民党福島みずほ党首、近藤正道さん(社民・参院)がそれぞれ連帯のあいさつを行った。 石川一雄さんが「部落差別によるデッチ上げ逮捕によって、四十六年間無実の罪で犯罪者にされている。私は七十歳になった。科学の力で完全無罪を勝ちとる。本当の意味で自由を勝ちとるために、不退転の決意で闘う」と迫力のある決意表明を行った。妻の早智子さんは「一雄さんは昨年国連の人権委員会で訴えた。人権委員会は日本政府に証拠の開示を勧告している。今までの狭山闘争は歴史に残る闘いだがこれからは歴史に刻み込み、動かす闘いをしたい」と訴えた。 参加した狭山弁護団がいかに証拠がデッチ上げられたものであるかを説明した。「被害者の万年筆が石川一雄さん宅の鴨居から発見されたことについて、警察が一回、二回と石川さん宅を家宅捜査したのに、万年筆など出てこなかったことについて、当時の弁護士に、「何も出てこなかった」という報告書をわざわざ提出していた。こんなことは例がない。三回目になって、万年筆が見つかったことになっているがこんな不自然なことはありえない」。弁護団は午前中に、脅迫状を訂正した万年筆についての新証拠を提出したことを報告した。 松岡徹さん(部落解放同盟中央本部書記長)が、「えん罪事件は自白の強要と証拠のねつ造によって起こる。証拠を開示させ、事実調べを行わせることが無罪判決を勝ちとる道。第三次再審はすでに丸三年になり、門野博裁判長が来年春に定年退職になる。いずれにしても重大な局面にあるので、気を引き締めてがんばろう」と基調提起した。各参加団体からの発言が行われた。一審死刑判決が出された浦和地裁から三十五キロメートルの無実を訴えるマラソンを行った埼玉の十五人が壇上に並び、無罪を勝ちとろうと訴えた。この仲間たちはなんと十年間もこの取り組みを行っている。 富山・氷見えん罪事件の柳原浩さんが連帯のあいさつに壇上に立った。「五月十四日に、国や県、捜査を担当した検察官と警察官に約一億四百万円の国家賠償を求める訴えを富山地裁に起こした。えん罪をなくすためには捜査の可視化がぜひ必要だ」と狭山闘争との連帯を熱く訴えた。 鎌田慧さんのまとめ、集会アピールの採択の後、宮下公園まで渋谷の繁華街を「高裁は事実調べを行え、石川さん無罪だ」と訴えるデモ行進を行った。 (M)
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