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第35回目の質問主意書(滝実議員)の答弁書が返ってきた。笑ってしまう。景気対策をなぜ景気が回復可能な規模にしないかと聞いたら、クラウディングアウトが怖いのだそうだ。クラウディングアウトとは何かというと、政府が金を使うとその分だけ民間の資金が無くなり経済成長を阻害するという説。民間の資金が無くなるということは、お金を借りるにせよ、高い金利で借りなければならなくなる、つまり金利が上がるということ。
こんな現象は、経常収支の赤字の国で発生することがあるが、日本のように経常収支が黒字の国では、国がいくらでもお金を刷れるのだから、国と民間のお金を取り合いは起こらない。実際、国債発行残高は次のようにどんどん増えている。
出所 財務省
クラウディングアウトが起こっているなら、これに比例して金利が上がっていなければならない。次は金利のグラフを示す。
出所 日銀
金利はどんどん下がり続けていることが分かる。つまり経常収支が黒字の国ではクラウディングアウトは起こらない。国債を発行すると金利が上がるのではないかという、馬鹿な考えで景気対策が十分にできない。だからいつまでたっても景気はよくならない。もっと政府にはしっかり経済を勉強してもらいたいものだ。
経常収支が慢性的に黒字(最近一時的に僅かに赤字になったことがあったが)ということは、日本国民と日本政府が十分お金を使っていないということで、世界経済の発展を阻害しているのである。
以下に第35回の質問主意書とその答弁書を示す。
2009年5月22日
補正予算に関する政府の説明責任に関する質問主意書
平成二十一年度の補正予算は財政支出が十五・四兆円であり、国民一人当たりに直すと約十二万円にもなる巨額なものであるから、この補正予算に関して政府は国民の疑問に対して納得いくまで説明する義務があるのは当然である。しかし、「十五・四兆円で日本経済は経済危機から脱却できるのかどうかに関する質問主意書」(以下「第一回質問」という)では、その質問主意書に対する答弁書内閣衆質一七一第三二七号(以下「第一回答弁」という)と、それに対する再質問主意書(以下「第二回質問」という)に対する答弁書内閣衆質一七一第三六五号(以下「第二回答弁」という)に書かれた説明は驚くほど不誠実で無責任なものであった。政府は補正予算に関して国民に説明責任を十分果たしていないのではないかという疑問が生じたのでこれに関して質問する。
一 第一回質問では、今回の国債を財源とする財政出動により将来世代への国債負担がむしろ軽くなることを具体的に数値を示して政府の見解を聞いた。それに対して第一回答弁では「国債を財源とする財政出動によって将来世代への国債の負担が重くなることはないとは一概にいえない」ということだった。そうであるならば、「国債を財源とする財政出動によって将来世代への国債の負担が重くなるとは一概にいえない」ということを暗に認めているのだから、これまでのように「国債発行が将来世代への負担になる」と決めつけるのを止めるべきではないかというのが第二回質問であった。驚いたことに、これに対する第二回答弁は「国債を財源とする財政出動によって将来世代への国債の負担が重くなることはないとは一概にいえない」と第一回答弁と全く同じ答弁を繰り返した。これは今回の財政出動が国民総生産を引き上げられない虞が強いことを政府自らが繰り返して認めるものであり、そのような財政出動をすることは、国民及び国権の最高機関である国会を愚弄することになるのではないか。
二 政府は従来から掲げてきた二〇一一年度の基礎的財政収支黒字化が絶望的になったことを踏まえて、新たにGDPに対する債務残高比率の引き下げを新たな目標として検討していると報道されている。そうであれば、総額五十七兆円(うち国費約十五兆円)の「経済危機対策」の効果に関する内閣府試算が発表されているのだから、それに基づいて債務のGDP比が計算できるはずであり、それを公表すべきである。この景気対策により債務のGDP比は増えるのか、減るのか、それともどちらとも言えないのか。その計算結果を明らかにされたい。
三 第一回及び第二回答弁において、この度の補正予算において「景気の底割れ」を防ぐという政府の最重要課題を示しているが、この「景気の底割れ」を防ぐという定義は、具体的な定量的目標があるはずであり、それを明らかにされたい。
四 第一回答弁によると、「需要不足のすべてを財政支出で埋め合わせることについては、過度に公需依存となり、民間経済の自律的回復をむしろ遅らせる」とある。その根拠は何か。
また、自由経済体制下の先進主義諸国がいずれも政府部門(公需)、民間部門(民需)の混合経済で成り立っているなかで、政府が示す「民間経済の自律的回復」の定義とは何かを明らかにされたい。
第二回質問においては、上記の当該第一回答弁内容が必ずしも当らないことについて、データや例示を挙げて説明を試みたにも拘らず、第二回答弁ではそれに対する回答が無かったため、上記「質問一」と同様な観点から十分な説明責任を果たすことを要求する。
さらに、上記の当該第一回答弁内容は、受取り方によっては、いわゆる「クラウディングアウト効果(政府による国債の大量発行が民間の資金調達と競合を起こし、金融市場が逼迫して金利を上昇させ、民間の資金調達が阻害される現象)」のことを指しているとも考えられるが、その通りと理解していいのか。
五 内閣府が五月二十日に発表した一―三月期の実質GDPは、年率換算でマイナス十五・二%、二〇〇八年度の実質成長率はマイナス三・五%といずれも戦後最悪であり、米国(年率マイナス六・一%)やドイツ(同マイナス十四・四%)などと比べても先進国中最悪であった。対前期比マイナス四・〇%のうち、外需寄与度がマイナス一・四%、内需寄与度が二・六%と、外需寄与度に比べて内需寄与度が約倍の大幅なマイナスになっている点を踏まえると、これは政府による景気下支え策が十分ではなかったことを意味する。
したがって、昨年十月末の緊急経済政策を始め、もっと効果的に景気下支えを行っていれば、このようなことにはならず、「需要不足のすべてを財政支出で埋め合わせることについては、過度に公需依存となり、民間経済の自律的回復をむしろ遅らせる」ということにもならなかったのではないか。
右質問する。
内閣衆質一七一第四三七号
平成二十一年六月二日
内閣総理大臣 麻生太郎
衆議院議長 河野洋平殿
衆議院議員滝実君提出
補正予算に関する政府の説明責任に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員滝実君提出補正予算に関する政府の説明責任に関する質問に対する答弁書
一について
総額約五十七兆円(うち国費約十五兆円)の「経済危機対策」(平成二十一年四月十日「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議決定)の効果については、「平成二十一年度経済見通し暫定試算(内閣府試算)」(平成二十一年四月二十七日内閣府公表)において、同対策に盛り込まれた施策の裏付けとなる平成二十一年度第一次補正予算の着実な実施により、平成二十一年度の実質GDP 成長率を一・九パーセント程度押し上げる効果があると見込んでいるところである。
二について
公債等残高対G D P 比も含め、「経済危機対策」等を踏まえた中長期の経済財政の姿の試算については、現在作業を進めているところである。
三について
政府としては「実体経済の悪化が金融の一層の不安定化を招き、それが、さらなる実体経済の悪化を招くといった事態」を「景気の底割れ」と考えており、そうした事態を防ぐため、平成二十年八月以降、三次にわたる経済対策を取りまとめ、その速やかな実施に全力を挙げてきた。さら に、先般、「経済危機対策」を取りまとめたところであり、これにより、景気の底割れを防ぎつつ、国民の安心を確保し、未来の成長力強化につなげることとしている。
なお、経済政策を行うに当たっては、様々な経済指標を参考にしつつ、その時々の経済状況等を十分に踏まえて総合的に判断することが必要であると考えている。
四について
「民間経済の自律的回復」とは、企業や家計といった民間部門が、財政支出に頼らず、生産・所得・支出の好循環によって成長する状態であり、民間活動がその主体をなす我が国経済の持続的成長には不可欠の条件であると考えている。
なお、経済政策を行う に当たっては、クラウディングアウト効果についても考慮する必要があると考えている。
五について
政府としては、現下の厳しい経済金融情勢に対しては、平成二十年八月以降、三次にわたる経済対策を取りまとめ、その速やかな実施に全力を挙げてきたところであり、これらの対策は一定の景気下支え効果があったと考えている。さら に、昨年末以降、世界金融危機と世界同時不況が深刻度を増し、景気が急速に悪化したことから、こうした状況に対応して、先般、「経済危機対策」を取りまとめたところであり、これにより、「景気の底割れ」を防ぎつつ、国民の安心を確保し、未来の成長力強化につなげることとしている。
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