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http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20090604-01-0901.html
報じられない党首討論の重要な論点
2009年6月4日 ビデオニュース・ドットコム
ニュース・コメンタリー(2009年05月30日)
5月27日、自民党麻生首相と民主党鳩山新代表が党首討論を行った。報じられなかった重要な論点について、神保哲生・宮台真司両キャスターが議論した。
神保(ジャーナリスト): 今週、久しぶりの党首討論があった。その中で、重要と思われるやり取りがあったので、まずこのやり取りを見ていただきたい
党首討論(2009年5月27日 参院第1委員会室)
(自民党・麻生首相)国民目線といわれる言葉を使うのだったら、やはり国民からして、今最大の関心事は西松の問題だと思います。
これまでいろいろな論議を積み重ねて、少なくとも後援会には、企業・団体からの寄付は禁止になったわけですから。そういった意味では、それを犯された方がそこにいらっしゃるわけで。
そういった意味では、ぜひきちんとした決着をつけねばならないのではありませんか。私どもは、きちんと、そういう疑いがあるから逮捕をされたのだという認識だと思っております。
(民主党・鳩山代表)総理。今ですね、大変聞き捨てならない発言をされました。私どもの側に政治資金規正法を犯した人がいる、決まったわけではないですよ、これは。これから裁判で決着がつく話ですよ。その話で申し上げれば、そちらにもたくさんおられたではありませんか。おかしな話ですよ。
(麻生首相)正しいことをやったのに、秘書が逮捕されたと言われたのですか。
(鳩山代表)本人としては、「政治資金規正法に則ってすべて行ったにもかかわらず」と。これは、本人が昨日保釈されました。その時の弁であります。
(麻生首相)本人が正しいと思ったというお話ですけれども、本人が正しいと思ったことであっても、少なくとも間違った場合は逮捕されるということは十分にあるわけで。それは国策捜査ということには当たらないのではないかと。私どもは基本的に、そう思っております。
神保: 党首討論で鳩山代表が気色ばむ場面があったというような話は少し報道されているようだが、実は麻生首相のこの発言には重大な問題がある。
宮台(社会学者): 簡単に言えば、刑法第38条第1項に、「罪を犯す意思のない行為は罰しない」と規定されている。ただし、過失不作為が認定されるときがある。安全運転義務違反などのカテゴリーが典型だが、注意をするべきだがしなかった、など「〜するべきであるのにしなかった」ということ。たとえば、淫行処罰規定などにも適用される。年齢を確認するべきであったのにしなかったとか、証明書を見るべきであるのにしなかったなどを過失不作為という。これは、あえて意思しないという意思があったと認定されてしまう。特別なケースだ。
それ以外のケースは基本的に、意思を持ってなす範囲のある行為を罰するのが刑法の原則だ。
神保: 麻生首相はもう一つ、小沢さんの秘書が政治資金規正法を「犯した」と、断定的に言っている。
宮台: そこも問題がある。まだ裁判で有罪の認定がされていない人間を、逮捕された段階で行政の長たるものが犯罪を犯したと断定するのか。その点も、はっきり申し上げれば、普通はありえない。
神保: 今回の小沢氏の秘書の逮捕をめぐっては、検察のあり方や、逮捕された段階で有罪同然に報道する日本のメディアのあり方が議論の焦点になった。小沢代表辞任の是非をめぐる議論も、まだ秘書の有罪が決まったわけではなく、検察のお手付きだった可能性があるにもかかわらず、代表を辞めることが良いのかが議論になった。
あれだけの論争になっているのに、麻生首相の発言を見ると、麻生さんにはその議論がまったく耳に入ってなかったということなのか。もしくは、それを十分に解った上で意図的にこういう発言をしているのか。真意がわからない。
小沢さんが代表を辞めたから、やっぱり小沢さんは悪かったというレベルだとすれば、日本の行政の長は、刑事責任と政治責任や道義的責任の区別がついていないということにもなる。
宮台: 麻生首相にそれを期待するのは無理なことだ。その報いは受けている。インターネットやラジオのリアクションを見る限りは、麻生首相のあの発言は大きな失点だった。
神保: ネット上では、今回の発言と刑法第38条との兼ね合いは方々で議論されている。しかし、マスメディアレベルではそういう報道はほとんど見られないので、マスメディア以外の情報源を持っている人とそうでない人の間で、党首討論の見え方がまったく異なっているかもしれない。
出演者プロフィール
神保 哲生(じんぼう・てつお)
ビデオニュース・ドットコム代表/ビデオジャーナリスト。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修了。AP通信社記者を経て99年『ビデオニュース・ドットコム』を設立。著書に『ツバル-温暖化に沈む国』、『地雷リポート』など。専門は地球環境問題と国際政治。05年より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
宮台 真司(みやだい・しんじ)
首都大学東京教授/社会学者。東京大学大学院博士課程修了。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授を経て現職。専門は社会システム論。博士論文は『権力の予期理論』。著書に『制服少女たちの選択』、『14歳からの社会学』、『日本の難点』など。
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。
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