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2009年6月 3日 (水)
麻生首相の矜持が問われる西川社長更迭問題
日本郵政の西川善文社長更迭問題が緊迫した局面を迎えている。鳩山総務相は西川氏更迭の意向を明確に示し、麻生首相がこの意向を拒絶する場合は、総務相を辞任する意向を示唆した。
この問題について、麻生首相は「担当相の総務相がしかるべく判断する」と答弁してきた。
日本郵政株式会社法は総務相に強い監督権限を付与し、取締役等選任についても総務相の認可権を明確に定めている。
日本郵政株式会社法は本則が23条からなる、簡素な法律であるが、そのなかから、総務相の権限を定めている条文を以下に転載する。
(取締役等の選任等の決議)
第九条
会社の取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(事業計画)
第十条
会社は、毎事業年度の開始前に、総務省令で定めるところにより、その事業年度の事業計画を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(定款の変更等)
第十一条
会社の定款の変更、剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。)、合併、会社分割及び解散の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(財務諸表)
第十二条
会社は、毎事業年度終了後三月以内に、その事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書を総務大臣に提出しなければならない。
(監督)
第十四条
会社は、総務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。
2
総務大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第十五条
総務大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2
前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
これらの規定に関連して、日本郵政株式会社法は罰則規定も設けている。以下に転載する。
第四章 罰則
第十八条
会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。
2
前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第十九条
前条第一項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2
前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第二十一条
第十五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
(転載ここまで)
極めて強い監督権限が法律に定められている。
日本郵政株式会社が委員会設置会社であり、取締役等の選任を「指名委員会」が行なうこととされているが、このような日本郵政株式会社法の組織形態以前に、日本郵政株式会社法の規定が、一義的に重要な意味を持つ。
竹中平蔵氏は小泉・竹中勢力の影響力が総務相に及ぶことを前提に、総務相に極めて強い認可権を付与したのだろうが、国民にとって幸いなことに、「郵政私物化」にメスを入れる人物が総務相に就任した。
麻生政権の発足に際して鳩山邦夫氏は総務相就任を志願したことが伝えられているが、「郵政私物化」の動きを早い段階で捕捉していたのだと考えられる。
@麻生首相は総務相が「しかるべく判断する」とし、
A鳩山総務相が西川氏更迭の見解を明言し、
B日本郵政株式会社法が総務相の強力な認可権限を規定している。
この三点がそろっているのだから、結論ははっきりしている。
マスメディアが正常ならば、この三点が示された段階で、
「日本郵政西川社長更迭へ」
の見出しを打つのが当然だ。
ところが、実際には、
「鳩山総務相辞任も」
の見出しが示されている。
最後は麻生首相の決断が焦点である。
「かんぽの宿」疑惑は重大な問題である。
国民の貴重な財産が、破格の安値で、特定の利害関係者に、極めて不透明なプロセスで払い下げられようとしたのである。
現に、民主党、社民党、国民新党の国会議員12名により、西川社長は東京地検に刑事告発されているのである。
不正が明確になれば、西川社長らの刑事責任が追及されることになる。
日本郵政が設置した第三者検討委員会は、西川社長が指揮して設置した、いわゆる「お手盛り」委員会で、その人選を見ても、とても客観的な批評に堪えられるものでない。
そもそもの問題は、西川社長を起用した竹中平蔵氏の「郵政民営化」についての根本的に誤った考え方にある。竹中氏の考え方を竹中氏の著書と、新聞への投稿から改めて確認する。竹中氏は以下のように記述する。
「「辞書によると、民営化とは、「民間の経営に任せること」とある。文字通り郵政民営化とは、郵政の経営を民間に任せることであり、政府はそれが可能なように、また効率的に行われるように枠組みを作ることである。これで、西川氏に、経営のすべて、民営化のすべてが委ねられることになった。」
(『構造改革の真実』239ページ)
また、本年1月19日付産経新聞への寄稿「かんぽの宿は“不良債権”」には、竹中氏の以下の主張が示されている。
「(「かんぽの宿」売却の時期や価格の判断は)市場や経営を知らない政治家や官僚に判断できる問題ではない。経営者が判断するべき問題である。そもそも民営化とは、民間の判断に任せることであり、経営判断の問題に政治が口出しすること、しかも機会費用の概念を理解しない政治家が介入することは、根本的に誤っている。」
日本郵政の株式が市場で売却され、日本郵政の支配権が国から完全に離れたのなら、竹中氏の発言も妥当性を持つだろう。それでも、日本郵政株式会社法が残る限りは総務相に強い権限は残る。
しかし、現状では、日本郵政グループの株式は100%が政府に保有されている。日本郵政の運営形態が「株式会社」に変わっただけで、日本郵政グループは完全な国有会社なのである。
国有会社について、所管官庁の大臣が強い権限を有し、国有会社の経営に深く介入するのは、国民の利益を守るためである。
今回の一連の経緯を見る限り、正義は鳩山総務相の側にある。
2400億円の資金を投じた、固定資産税評価基準額が856億円の貴重な国民資産が、極めて不透明な手続きを経て、オリックス不動産に109億円で売却されようとしたのである。
日本郵政が早々にオリックス不動産への売却契約を白紙に戻したのは、オリックス不動産の選定に問題があったことを自ら認めたからではないのか。このような重大な不祥事が明らかになって、担当相が更迭の意向を示しているのに、その方向に事態が進まないことが異常である。
「かんぽの宿」疑惑は、「郵政民営化」の実態を示す「縮図」である。「郵政民営化」自体が壮大な「私物化」と「米営化」の疑惑に包まれている。問題が明らかになった以上、経営陣を刷新するべきことは当然だ。
新聞が「西川社長を更迭すると改革後退の印象を招く」と伝えるが、このような論評を示すことが、マスメディアの堕落を物語っている。不正が発覚して、その原因を取り除くことの、どこが「改革後退」なのか。
これを「改革後退」とするなら、「改革」など無用の長物である。
自民党内「市場原理主義者」、「売国勢力」が西川社長更迭を阻止しようと暗躍していると伝えられている。日本郵政公社時代の不動産売却を含め、「郵政私物化」に関与する勢力が少なくないことを示唆している。
菅義偉(すがよしひで)元総務相が、麻生首相に西川氏更迭の場合には補正予算関連法案等の衆議院再可決での造反を示唆し、西川氏続投を要請したとの観測記事を紹介したが、西川氏が更迭され、西川社長時代の日本郵政の悪行が白日の下に晒(さら)されることを強く警戒する勢力が存在するのだろう。
3月4日に行われた定額給付金法案の衆議院再可決では、小泉元首相が造反の旗を振ったにもかかわらず、同調したのはたったの一人だった。関連法案が衆議院で再可決されなければ、補正予算の執行に重大な支障が生じる。自民党議員に造反の選択肢は存在しない。
「総務相がしかるべく判断する」と明言した麻生首相が、鳩山総務相の判断を無視して西川社長続投を決断するなら、鳩山総務相は辞任するだろう。このとき、麻生首相は「売国勢力」に心を売った首相として、その政治生命を終えることになるだろう。
取るべき方向は明確だ。国民は麻生首相の政治家としての「矜持(きょうじ)」を注視している。
捕捉だが、6月4日に「主催者の会」が主催する緊急フォーラムが開かれることを、「どなんとぅ」様が告知して下さったので、お知らせする。企画の立案過程をまったく存じ上げないので詳細がわからないが、志ある者が連帯して政権交代実現に向けて力を結集してゆけるよう取り組んで参りたいと思う。
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