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厚労省分割断念:また「ぶれる麻生」 族議員から強い反発
麻生太郎首相が検討を指示した厚生労働省の分割・再編は衆院選前の具体案作成を断念した形となり、定額給付金の所得制限などを巡り迷走した「ぶれる麻生」を改めて印象付けた。政府・与党内の議論では、首相が幼稚園と保育所の所管を統一する「幼保一元化」を併せて指示したことが族議員を中心に強い反発を買い、推進役を担った与謝野馨財務・金融・経済財政担当相もトーンダウン。首相指示に公然と反発した閣僚もおり、首相の指導力不足が露呈した。
厚労省の分割は、渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長兼主筆が15日の「安心社会実現会議」で唱えた。首相周辺は「渡辺さん、与謝野さんのプランに首相が乗っかった構図。幼保一元化は首相の持論でもあるが、主導したのは与謝野さんだ」と解説する。
与謝野氏は19日、「組織の分割、幼保一元化は与謝野大臣が案を出してくれと指示があった」と明言し、21日には「意外にテンポは速く進んでいる」と手応えも口にしていた。首相が29日の参院予算委員会で「厚労省だけを例に引いて直ちに分割しろという話はしていない」と「ぶれ」を否定してみせても、苦しい強弁に映った。
厚労省分割自体は具体像が不明確だったこともあって、正面から反対する声は少なかった。しかし、幼保一元化とセットで検討することには、所管する文部科学、厚労両省とその族議員が強く反発。衆院選が迫っていることで、業界団体の自民党離れを招く不安も党内に広がった。28日の衆院本会議場では文教族の代表格、森喜朗元首相や町村信孝前官房長官が河村建夫官房長官に「幼児教育についてしっかりと議論すべきだ。組織論はそれからだ」とくぎを刺す一幕もあった。
族議員を抑えられる見通しもないまま幼保一元化を持ち出したことが致命傷となり、厚労省分割は28日、河村長官が党内の厳しい雰囲気を首相に伝えて事実上の撤回が決まった。与謝野氏は29日、6月にまとめる「骨太の方針」に厚労省分割の基本的な考え方を盛り込む考えを示すことで事態の収拾を図ったが、2週間にわたった「空騒ぎ」が政権に与えたダメージは大きい。自民党幹部は「(幼保一元化は)国民的な人気があった小泉政権でさえできなかった。この政権でできるわけがない」とくさした。
民主党の岡田克也幹事長は29日、「省名まで具体的に挙げた首相の発言を『族議員との調整が付かないから』といとも簡単に撤回する。リーダーシップのかけらもない」と批判し、早期の衆院解散を求めた。【坂口裕彦、野原大輔】
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毎日新聞 2009年5月29日 21時43分(最終更新 5月30日 0時55分)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090530k0000m010088000c.html
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