『辻元清美の永田町航海記83』(週刊金曜日2009.5.22号) 「苦労した人」対「充電した人」の対決やったなぁ。民主党代表選挙での鳩山由紀夫さんと岡田克也さんのスピーチや討論を聞いて、そう感じていたのだった。 鳩山さんは、小沢一郎前代表という「とてつもないパワー」の持ち主のもとで相当苦労されたのではないかしら。大連立騒動の時なんかも、かなり消耗されたご様子だった。「ご心配をおかけして申し訳ありません」という言葉をここ数年何回も鳩山さんの口から聞いた。しかしその度鳩山さんの変化も感じていた。何だか強くなられたような。 さて、一方の岡田さんは小泉郵政選挙敗北の責任を取って第一線から引かれて以来、コツコツと日本国内だけではなく海外特に途上国にも足を運び、活動されていた。私が前回の選挙で復帰した直後、予算委員会室で立ち話した時、「復帰おめでとう」と声をかけてくれた岡田さんに「どれくらい充電するの?」と問うと「三年くらいかな...」という天井を見つめながら呟いた姿を思い出した。 さて、結果は鳩山さんが代表、岡田さんが幹事長に。十九日、お二人揃って各党へのご挨拶。社民党では福島みずほ党首、重野安正幹事長をはじめ私もおむかえをする。 「野党共闘を大事にしたい」と鳩山新代表が切り出される。「申し上げたいことは...」と重野幹事長が返事しようとすると「憲法...」と鳩山さんが切り返し、一同苦笑。社民党が鳩山さんの憲法問題への対応を心配していることを自覚されている模様。 重野幹事長が「早急に幹事長会談を開きましょう」と提案、「いつがいいですか?」と岡田さんらしい対応。実務的なのでやりやすい。 小泉政権の初期、岡田さんが民主党政調会長、私が社民党政審会長時代、隔週金曜日の朝八時から野党政策調整の議論をしていた。当時自由党や共産党も含めて野党四党で予算の組み替えまで手がけた。岡田さんは「原理主義者」と言われるが、私は粘り強く政策合意にむけてお互い議論してきたので親近感があった。野党共闘での政策論議の活性化を期待したい。 「吉田茂の孫対鳩山一郎の孫」という構図には現在の日本の政治の限界を見ないではないが、鳩山さんは「ええボンボン」やと言ってきた。私のように小さな政党の議員、それも女だと露骨に見下したような態度で接する世襲議員がいる中で、鳩山さんは分け隔てがない。これってリーダーの基本のキだよね。「ボンボンやなぁ」と感じることもあるが、働く庶民の政党である社民党が野党協力でしっかり厳しい現状をインプットしていこう。 それにしても、どんな局面でも「愛だ」といい続けられるのもボンボンのなせる業かも。社民党はLOVE&PEACEなので、「愛のためには平和が大事ですよね」と福島党首が言下に「憲法九条を大事に」を匂わせてクギを刺して、初顔合わせは終わった。
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