新たな外国人在留管理制度と外国人住民台帳制度の新設を考える
政府は、戦後60年間続けてきた外国人登録制度を廃止し、「新たな在留管理制度」と「外国人住民台帳制度」を創設しようとして、今通常国会に「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案」を上程している。
「新たな在留管理制度」は、これまで地方自治体が行っていた外国人登録制度を廃止して、在留管理を国(法務省)に一元化して管理しようとするものであるが、その対象は在留資格をもつ中長期在留者だけに限定されており、短期滞在者や特別永住者は除外されることになっている。
他方、住民サービスのために地方自治体には「外国人住民台帳」が設けられることになるが、中長期在留者や特別永住者のほか、一時庇護許可者や仮滞在許可者が対象となることになっている。
問題は、いずれの制度も、いわゆる非正規滞在者、すなわち、オーバーステイ(不法滞在者)とされる人たちは、いずれの制度の対象にもされていないという点である。
現行の外国人登録制度は、非正規滞在者であっても登録可能であり、それ故に、行政サービスを受けることができたが、新しい制度ができると、非正規滞在者は完全に制度の枠外とされてしまい、そのため、医療や教育など最低限の行政サービスから完全に排除されてしまうのではないかという点が危惧されているのである。
総務省・法務省の2008年3月の「http://www.moj.go.jp/NYUKAN/nyukan71.pdf">適法な在留外国人の台帳制度についての基本構想」は、この点を正面から肯定し、「不法滞在者は本来我が国で在留する資格を有しない者であり、市町村が一般的に行政サービスを行う対象とは位置付けられないことから、本制度は、市町村の住民であって我が国に適法に在留する外国人を対象とすることを基本とする。」と明確に述べられているのである。
「新たな在留管理制度」では、上陸許可、在留期間の更新、在留資格の変更等の許可申請時に各種事項を記録され、在留期間の途中であっても、登録事項の変更があれば十四日以内に届出をする義務が課せられる。このように、外国人の個人情報が、継続的に収集され続け、国がその情報を緻密に把握できるようになる。そのようにして収集された各種情報は「統合データ管理システム」に集中して登録されてデータベース化される。
登録された外国人は、IC化された「在留カード」の交付を受け、16歳以上の者には常時携帯義務と提示義務が課せられ、罰則によって担保される。かつての外国人登録証の常時携帯・提示義務の復活である。
このような制度が、国民にもほとんど知られないまま、国会での審議も十分に尽くされずに、与党と民主党による修正協議を受けて、今通常国会にも成立する可能性が出てきているのである。
これらの制度は、この間、不法滞在する外国人に対して「犯罪予備軍」とレッテルを貼って次々と摘発して退去強制させ、この10年程で約半減させるまでに至ったことの延長線上にあり、不法滞在者を一切の行政サービスから排除して、日本に住み続けることができないようにすることを企図している。
少し前に、フィリピン人家族であるカルデロン一家について、中学一年生の子供についてだけ在留特別許可を受け、両親はフィリピンへ退去強制になったことがあったが、今後は、不法滞在者の子供は学校で教育を受けることすら困難となるのである。
今回、外国人に関する在留管理制度に関する「改正」であり、一見すると、私たち日本人には関係ないように見える(それ故に国民の関心も低いという面がある)。
しかしながら、この制度が完成したら、その次は、日本人についても、住民登録制度を「改正」し、住民基本台帳の一元的なデータベース化とIC化された「住民カード」の常時携帯・提示義務が国民に課せられるかもしれない。
その意味では、決して無関係ではないし、そのための壮大な実験なのかもしれないのであり、国家による個人情報の徹底的な管理が着々と準備されているかもしれないのである。
私たちは、まずは外国人に向けられた個人情報の徹底した収集管理に対して、異議を述べなければならない。
(参考サイト)
http://repacp.org/aacp/QA-00.html">「2009年法改定 新たな在留管理制度についてのQ&A」(「在留カード」に異議あり! NGO実行委員会+「在留カード」に異議あり! プロジェクトチーム)を参考にさせていただいた。
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フォローアップ:- 不法滞在者の権利云々とか言ってるけど、おかしな話だ。 最大多数の最大幸福 2009/5/27 03:02:09
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