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入管法の審議が大詰めを迎えている。5月12日のブログで、衆議院法務委員会における改定入管法・入管特例法の審議を紹介し、「とてもじゃないが、すぐに採決できるような内容ではない」と書いた。この改定案は、60年以上に及ぶ外国人登録制度を全面的に改編して「外国人管理」をさらに強化しようという問題があまりにも多すぎる法案だ。国が外国籍市民の生活の細部に立ち入って監視し、あたかも外国人が犯罪の温床であるかのような偏見を生み出すきわめて問題の多い制度設計だ。 法務委員会の審議はまだわずかな時間しか行なっていない。しかし、委員会の外側で自民・公明の与党と民主党の間で修正協議が進み、一部報道にもあるように、あまりにも不十分な内容にもかかわらず合意寸前の状況にある。法務委員会でのこれまでの法案審議時間は、4月24日に法案趣旨説明と与党質疑2時間半、5月8日に野党質疑2時間半(うち私の質疑が30分)と参考人意見陳述・質疑2時間20分、5月12日に与党質疑30分と野党質疑2時間半で計10時間20分。うち野党質疑は5時間だけである。 修正協議の内容も評価出来るものではない。報道では、特別永住者に発行される「特別永住者証明書」の常時携帯義務削除で合意というプラス面だけが紹介されているが、修正合意を経ても、外国人(そしておそらく将来的には日本人も)を徹底的に管理・監視する巨大なシステムを構築するという法改正の根幹はまったく揺らいでいない。 民主党が修正協議に入ったとの報をうけて、私たち社民党も修正要求を民主党に提示したが、残念ながら与党からの回答は実質ゼロ回答だった。他の法案では、社民・民主での協議が行なわれ、与党の修正回答につながる場合が多いが、社民党の修正要求の文書を与党に渡しただけに止まっていて、与党から「野党で話し合ってくれ」と言われているという。修正協議の経過は以下のとおりである。 4月22日 民主党が修正案をまとめ、後に与党に提示。 修正協議の中身については、例えば、「在留カードを含む個人情報のデータベース化」について、民主党は在留カード番号をカードの記載事項から除外することやデータベース化の禁止規定などを設けるよう求めていたが、再交付時にはカード番号を変えるという与党回答に合意する方向にある模様だ。社民党は、個人情報保護規定を整備するとともに、「法務省令で定める」などの法務省にフリーハンドをもたせる規定を削除し、ICチップ搭載事項を法文で定めるよう求めていた。 外国人の膨大な個人情報(法案には「氏名、生年月日、性別、国籍、居住地、所属機関その他在留管理に必要な情報」とある)の「継続的把握」について、民主党は個人情報の目的外利用の制限規定を置くことを求めていたが、情報の取扱いに十分気をつけるという趣旨の訓示規定を設けるという与党回答を受け入れたようだ。社民党は、個人情報のデータマッチングを防ぐべく、情報の継続的把握に対する規定自体の削除を求めていた(「その他在留管理に必要な情報」の対象が、法令によっていくらでも拡大する懸念をぬぐえない)。所属機関による外国人情報の届出義務化の問題についても、社民党は義務規定の削除を求めたが、義務規定を努力義務規定とすることで合意に至っているようだ。これでは歯止めはかからないだろう。 また、外国籍の当事者(特にDV被害者が身を隠している場合など)にとって一番心配なのは、今までよりも簡単に在留資格が取消されてしまう可能性があるということだろうが、それについて民主党は「配偶者の身分を有する者としての活動を継続して3月以上行わない」、「上陸許可日から90日以内に住居地の届出をしない」「住居地移転の日から90日以内に新居住地の届出をしない」場合に在留資格を取消すという規定の削除を求めていたが、結局は削除ではなく、配慮規定や「正当な理由がある場合」の除外規定を設けるという与党回答に合意したようだ。社民党は、あくまでも在留資格の取消規定そのものの削除を求めていた。 社民党は、民主党修正案で取り上げられていない以下の事項についても、修正要求を行なっている。 @住民票の記載等に係わる通知を削除(自治事務<住基台帳事務>と国の事務<在留管理>を切り離す) *与党と民主党の修正協議が進行するなかで、社民党としてはあくまでも民主党の第一次修正案をベースにした修正要求にせざるをえなかったことが背景にある。 また、今回の入管法・入管特例法の改定案は、別途に現在衆議院総務委員会で審議中の住民基本台帳法改定案(外国人台帳を作成して住基ネットにつなぐというもの)とも連動しているわけだが、現在、総務委員会で行なわれている与党と民主党間の修正協議を経て、「オーバーステイ(不法滞在者)であっても、仮放免された日から3月を経過した場合には特別に在留を許可する仕組みをつくる(適法な滞在者とする)」という、いわゆるアムネスティを具体化する修正案が与党から出てきているようだ。 しかし、この提案は総務委員会(総務省)ではなく法務委員会(法務省)管轄事項なので、総務委員会(総務省)と法務委員会(法務省)の間での調整不足が露呈しているといえる。 根本的に問題がある今回の入管法・入管特例法改定案だが、私が一番問題視しているのは、個人情報の集中とデータマッチングの問題だ。現法案・修正合意のままでは、法務省は、外国籍の人びとの膨大な個人情報を、在留カード番号をキーとしてデータマッチングすることが可能になる。5月12日のブログに衆議院法務委員会での質疑録(5月8日)を掲載したが、政府の答弁は、「在留カードには記載しない」「ICチップには搭載しない」と言っているだけで、個人情報の収集・統合と一元化を行なう可能性を否定しない大変に不明瞭なものだった。「法令による場合を除いては」というお決まりの文句もその不明瞭さに拍車をかけている。事実、私が法務省から入手した資料を分析すると、現在法務省は、ある企業に発注をして、外国籍者のありとあらゆる個人情報を集積し管理するための巨大な新しいデータベースシステムの構築をすでに準備していることがはっきりと分かるのだ。そしてその作業は、今回の改定法案成立を前提として進められている。法案審議がこれからというのに、多額の費用を投入してシステム設計書の提案を企業から募っている。これも問題ではないのか。金儲けをしようとする企業の提案に乗っかる形で法案が作成されているようにすら思えてそら恐ろしくなる。 5月24日には都内で、移住労働者と連帯する全国ネットワークや外国人人権法連絡会など18団体が構成する実行委主催で、「ストップ!外国人いじめ法案― 『新たな在留管理制度』導入に抗議する5.24集会・デモ」が行なわれ、外国籍の人びと約150名を含む300人以上が結集した。残念ながら、私は集会・デモに参加できなかったのだが、連帯メッセージを届けた。少々長くなるが掲載しておく。 法案の中身はもちろんだが、当事者の声・意見をろくに聞かずに進む法案審議にも憤りの声が高まっているのだ。修正協議の過程・内容を見ても、前述の総務委員会(総務省)と法務委員会(法務省)の調整不足を見ても、またこれまで法案審議に費やされた時間の少なさからも、今回の法案審議が不十分であり慎重さを欠いていることは明らかだ。残された時間、衆議院の段階で何とか問題点をよりいっそう明らかにし、法案採決への流れをくいとめたい。
社民党・衆議院議員の保坂展人です。「ストップ!外国人いじめ法案―『新たな在留管理制度』導入に抗議する5.24集会・デモ」にご参集の皆さま、大変ご苦労さまです。 ご存知のように、去る4月24日から、「新たな在留管理制度」を導入する入管法・入管特例法改定案の審議が衆議院法務委員会で行なわれています。そして、来週にも委員会採決という見通しも出てきています。私は法務委員会に所属していますので、この間、この稀代の悪法をなんとか廃案にすべく、懸命の努力を続けています。ですから、本日のこの大切な集会・デモにもなんとか駆けつけたかったのですが、所用により参加できず、大変申し訳ありません。 さて、今回の法改正で導入が提案されている「新たな在留管理制度」は、一言で言えば、60年以上に及ぶ外国人登録制度を全面的に改編して「外国人管理」をさらに強化しようというものであり、国が外国籍市民の生活の細部に立ち入って監視し、外国人に対する社会の監視を強め、あたかも外国人が犯罪の温床であるかのような偏見を生み出すきわめて差別的かつ強権的な制度の構築であると言えるでしょう。 多くの問題があるなかで、私が一番問題視しているのは、個人情報の集中とデータマッチングの問題です。いまの法案のままでは、法務省は、外国籍の方々の膨大な個人情報を、在留カード番号をキーとしてデータマッチングすることが可能になるということです。このような個人情報の一元的管理とデータマッチングは、現時点では日本国民には許されるものではないわけですが、合理的・客観的根拠もないままに、それをまずは外国人に対して行うというところに、この国がいまだに捨てきれずにいる、外国人を管理の対象としか見ようとしない差別的体質があらわになっていると思うのです。 私は、このデータマッチングの問題について、衆議院法務委員会でも質問をしましたが、政府の答弁は、表向きにはデータマッチングは行なわないと言っているものの、よく聞くと、完全に行なわないと明言しているわけではありませんでした。事実、私が法務省から入手した資料を分析すると、現在法務省は、ある企業に発注をして、外国籍者のありとあらゆる個人情報を集積し管理するための巨大な新しいデータベースシステムの構築に着手しており、そのシステム構築は、個人情報のデータマッチングを前提とした設計になっていることがよく分かるのです。恐ろしいことに、まだ今回の入管法・入管特例法の改定案は採決されたわけではないのに、すでに法案成立を前提として、その作業は進んでいるのです。 現在、与党と民主党の間で修正協議が決着しつつあるという報道もなされていますが、「適法に在留する外国人の利便性の向上」「充実した行政サービスの実現」などという与党や法務省の詭弁にだまされてはいけないのです。国家による外国人の監視と管理のみを目的としたそのような巨大なシステムの構築に、なんとかしてストップをかけていかねばなりません。 そもそも、60年以上に及ぶ外国人登録制度を全面的に改編するというこれだけ大きな制度改編を行うのであれば、その前段として、外国人政策全般をきちんと議論する必要があるのではないでしょうか。本来であれば、多民族・多文化共生という理念を基本として、いたずらに管理を強化するのではない方向で、外国人への行政サービスとは何かを明示する、たとえば「外国人人権基本法」「外国人処遇基本法」のようなものが先にあるべきではないでしょうか。そして、それを現政権にまかせることは到底できないということは、過去の外国人政策や今回の法改正案をみれば明らかです。なんとか、来る衆議院総選挙において政権交代を成し遂げ、外国人政策の根本転換も実現していければと思っています。 本日の集会・デモに、多くの外国籍の当事者の方々や実行委員会構成団体の18団体をはじめとする多くの方々が結集されると伺って、大変に心を強くしています。どうか、この輪をもっともっと広げて、「当事者の声・意見をろくに聞かずに、まともな審議も尽くされぬままに法案が採決されるのはおかしい!」という声を国会にぶつけ続けていただきたいと思います。私も、そういった声を背中にうけて、この稀代の悪法の廃案に向け、国会内において全力でたたかい続けることをお誓いいたします。 ともに頑張りましょう。 2009年5月24日 社民党・衆議院議員 保坂展人 |
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