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(回答先: 5月12日、裁判員制度の凍結をめざす院内集会報告(保坂展人のどこどこ日記) 投稿者 クマのプーさん 日時 2009 年 5 月 15 日 10:27:54)
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20090514-01-0901.html
超党派議連が裁判員制度の延期法案
2009年5月15日 ビデオニュース・ドットコム
ニュースコメンタリー(2009年05月09日)
5月21日の裁判員制度開始を前に、09年4月1日、超党派の「裁判員を問い直す議員連盟」が作られた。今週のNコメでは、裁判員制度の無期延期を求める法案成立を目指す議連について、事務局長の社民党の保坂展人議員に電話で話を聞いた。
神保(ジャーナリスト): 国会で有志の議員達が、裁判員制度の無期延期を求める法案を作っている。無期という意味は、あらためて開始時期を決めるまで延期という条項が入っているという意味だ。制度の問題が明らかになってきたので、問題が解決するまでは延期しようという法案だ。
現在、法案を提出するために必要な20人の議員は確保できているということだ。未定だが、党議拘束を外して採決をするという話も出ているそうなので、やり方次第では可決する可能性もゼロではない。党議拘束を解いた場合、法案に誰が賛成し、誰が反対したかがはっきりわかることになる。
「裁判員制度を問い直す議員連盟」の事務局長、社民党の保坂展人議員に、今この法案がどういう状態になっているのか、電話で聞いてみようと思う。
保坂: 裁判員制度の実施手前だが、裁判員制度にはとても問題がある。ただ、もう待ったなしで始まってしまう。これを冷静に判断して組み替えていく、問題点を改善するためには、国会で止めるしかないということで、凍結・延期法案を準備した。
現在、議員連盟で勉強会に参加している議員は、衆参で約70人。衆議院議員が多い。今はまず、賛同者を増やしているという状態だ。
とはいっても、あと2週間ほどしかないので、凍結法案が間に合わないのではないかという危惧もある。何もしなくてもいいのかということではなく、明らかに手当できる問題点について手当をしようではないかという、いわば次善の策も同時に準備している。
裁判員が負う守秘義務は、裁判員としての体験を墓場まで誰にも言ってはならない。どういう評議でどういう意見をどう言ったのかということも、全部、刑事罰がかかる。これは非常に不当な制約だし、そもそも法務省や最高裁が裁判員としての体験を語って欲しいといっていることとかなり矛盾する。また、できれば死刑の全員一致も求めたい。多数決で死刑判決ということで、死刑を量産するようなフレームになっている。
この2点は、但木元検事総長がNHK日曜討論や朝日新聞のインタビューで述べていることだ。こういうふうに改善すべきだということを、彼の立場から、つまり推進してきた法務・検察の顔としての立場から、述べていることでもある。だから、実現可能性もあると思っている。
神保: 制度の開始を凍結・延期をするという法案を出しつつ、それとは別に、制度を一部修正をさせるという法案との2段構えでいっているということか。議連を見ると、自民党からも民主党からも参加している。自民党も堀内光雄議員や野田毅議員などの有力議員が入っているし、民主党も枝野幸男議員や原口一博議員など、かなり色々な方が入っており、現在(5月8日時点)議員が総勢で70名ということだが、法案の見通しはどうか。
保坂: 臓器移植の法案が、党議拘束を解いて採決を行うという話になっている。裁判員制度も、死刑判決という命を巡る問題だということで、党議拘束を解くという話になれば可能性が出てくると思う。
裁判員制度を積極的に推進するという顔は見えない。もう決まってしまったのだから、今頃言わないでよという、あまり論理的でない理由が多い。
宮台: 暫定的な措置ということで、僕が元々思っていたことを一つだけ申し上げると、裁判員制度がどの道始まってしまうのであれば、日本の裁判の現状が近代法の原則から大きく外れている部分について修正する方向で機能するようにしていただきたい。
たとえば、極刑については裁判員全体が一致しなければ死刑に処することは出来ないというふうな条件を入れていただくなどということは、私としては望ましいと思うのだが、どうだろうか。
保坂: その法案は去年の段階で作った。だからそれも出す用意はできている。問題は、裁判員裁判というのは法曹三者という賢い人が考えたのだから、お任せしましょうよという非常に無責任な国会議員の態度がある。
しかし、裁判員制度はそんなにうまく出来ていない。そもそも、裁判員になった国民の立場から見ると、無罪だと言う裁判員がいても、多数決で有罪になる可能性がある。さらにその無罪だと言った裁判員が、「死刑ですか無期懲役ですか」という量刑の議論に参加しなければならないというおかしさなどだ。さらに、被告人の選択権が与えられていないなど、様々ある。
問題は、5年かけて法曹三者の議論があって実施直前だが、国会は何にも言わずにきた。読売新聞によれば国民の76パーセントが歓迎しない、裁判員になりたくないと言っている。その声をしっかりと受け止めた議論がまったく出来ない状況にこれまであった。それに、少しでも楔を入れていきたいということで、頑張ろうと思っている。
神保: 今、議連としては民主党・自民党両党に対して、党議拘束を解いた上で、国会で採決するよう働きかけているということか。
保坂: そうだ。民主党については、12の論点をこの議連で出しているが、ほとんどは民主党が言っていることとでもある。裁判員制度については、様々な立場があるが、右とか左とか言う言い方をすれば、保守からもリベラルからも批判がある。それを総和的にまとめた論点になっている。ホームページやブログに掲載しているので、是非見ていただきたいと思う。
神保: この12の論点というのは、裁判員制度を問い直す議員連盟のホームページにあるのか。
保坂: 議連のホームページは無いが、保坂展人で検索していただくと、12の論点が出てくる。
神保: 12の論点を一部紹介すると、まず、思想信条を理由に裁判員を辞退出来ないということと、面接のときに陳述の拒否が出来ないことがあげられている。思想的に死刑に反対する人が、死刑判決を下さなければならないのが問題だということと、それを避けるためには、面接で自分の思想信条の中身を吐露しなければならないということ。そのいずれもが問題だと指摘している。
それから、守秘義務違反に対する刑罰が重すぎること、無罪だと判断した人までが、量刑を決める評議に参加しなければならないこと、全会一致ではなく多数決でも死刑が決まってしまうこと、裁判員を受けるか否かの選択権が被告人にはないこと、取り調べの可視化がまだ実現していないこと、などが問題点としてあげられている。
特に民主党は取り調べの可視化を条件に裁判員法案に賛成しているのに、まだ取り調べが可視化していないのに制度の方は5月21日に始まってしまう。
他にも、重大事件だけが裁判員裁判の対象になっているのがおかしいことも指摘している。
以前インタビューをした作家の高村薫さんが、裁判員制度は重大な刑事事件ではなく、むしろ民事訴訟こそ裁判員制度で行うべきだと言っていたが、もっともな意見だ。高村さんは、政府は国家賠償訴訟だけは絶対に裁判員にはやらせたくないから、あえて刑事事件だけを裁判員にやらせているのではないかと指摘していた。
とはいえ、このまま5月21日に裁判員制度に突入する可能性が高い。この法案を党議拘束を切って採決をした場合どうなるのか興味深いが、今になって凍結法案は、そう簡単にはいかないと思う。
なので、せめて現在の裁判員法の主要な問題点の修正だけでもやるべきだ。つまり、死刑は多数決では決められないとか、裁判員の守秘義務違反の罰則をもう少し軽くするか、もしくは守秘義務そのものをなくすといった法律の修正案が通るか通らないかというのが、今のぎりぎりのところのようだ。それができなければ、多くの問題を含んだまま、本当に21日から裁判員制度が始まってしまう。
いずれにしてももう一度、番組で裁判員問題を取り上げたいと思っている。これまでも裁判員制度について、いくつか番組をやってきたが、まだ抜けている論点があると思うので、それを議論するつもりだ。
宮台: 議連が出した12の論点は大変具体的で、誰もが問題を分かりやすく理解できるように書いてあるので、素晴らしいと思う。番組で私たちが言ってきた、近代法の原則に外れるという大原則問題というのは、それとは別にある。あるいは、ポストモダン化のもとで司法が全体的に正当性の問題に直面していて、それを民主的に決めたという事実によって補完しようとしているという大きな問題も、実はある。
それについては、これまでの番組の議論を見ていただきたいが、今回議連が出している問題は、もっと具体的な、現場で直面するであろう問題について、的確に文章化している。ぜひ熟読していただきたい。
神保: 議連が変えるといっている情報公開の部分が、最も大きな問題だと私も思う。つまり、問題のある制度が導入されても、問題があることを世の中が分からない制度になっているのが最大の問題だ。情報公開さえあれば、ひどい制度であれば、ひどいということが早晩分かってきて、変えようという話になるが、それがわからなければ、ひどいままの制度が続くことになる。
今回画期的なのは、今回、代表世話人が国民新党の亀井久興議員、事務局長が社民党の保坂展人議員という、どちらも主要政党ではない政党が音頭をとっていることだ。もし主要政党が党議拘束を外した形でついてきて、これが採決されれば、かなり画期的なできごとということになる。
ただ、この法案がどれほど報道されるかは不安だ。むしろ世の中は、一生懸命裁判員制度を広報している。法案が可決されたら大きく報道されるかもしれないが、否決されたらほとんど記事にもならないかもしれない。ビデオニュースとしては、今後もこの動静には注目していきたいと思う。
プロフィール
保坂 展人(ほさか・のぶと)
衆議院議員。1955年宮城県生まれ。73年都立新宿高校中退。教育ジャーナリストを経て、96年、社民党から衆院初当選(東京比例区)。03年に落選の後、05年再選。著書に『学校だけが人生じゃない』、共著に『共謀罪とはなにか』、『官の錬金術』など。
神保 哲生(じんぼう・てつお)
ビデオニュース・ドットコム代表/ビデオジャーナリスト。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修了。AP通信社記者を経て99年『ビデオニュース・ドットコム』を設立。著書に『ツバル-温暖化に沈む国』、『地雷リポート』など。専門は地球環境問題と国際政治。05年より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
宮台 真司(みやだい・しんじ)
首都大学東京教授/社会学者。東京大学大学院博士課程修了。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授を経て現職。専門は社会システム論。博士論文は『権力の予期理論』。著書に『制服少女たちの選択』、『14歳からの社会学』、『日本の難点』など。
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