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2009年5月12日 (火)
民主党次期代表が掲げねばならない五大公約
民主党の小沢一郎代表が辞意を表明したことについて、小沢氏の続投を支持する多くの有権者から憤懣と怒りの声が上がっている。
3月3日の小沢一郎民主党代表の秘書逮捕以降の小沢氏辞任工作は政治謀略以外の何者でもない。謀略はテロと同類の卑劣な行為である。テロに屈服することはテロを容認することであり、テロを助長するものである。謀略に屈服することは謀略を容認することであり、謀略を助長するものである。
この意味で、民主党は挙党一致で政治謀略に対峙(たいじ)し、政治謀略を糾弾(きゅうだん)するべきだった。これが「正道」である。
「カナダde日本語」の美爾依さん、「どなんとぅぬ だぁ」様、「ふじふじのフィルター」様と私は気持を共有する。
民主党の腰の引けた諸氏の、ものごとの本質を見ようとしない、正義を重んじず、悪に対して敢然と立ち向かわない、己の利益だけを追求する行動が、このような結果を導いたことに対する強い怒りを共有する。
しかし、私たちは現実に生きる身である。現実に生じたことを前提に、そのなかで、可能な範囲で「最善」を選択してゆく以外に道はない。
私は自分が不条理、理不尽極まりない運命に直面し、わらわたがが煮えくり返る思いでその不当性を憤り、現状を回復したいと強く願う。しかし、現実は現実である。そのなかで、未来に向かい、最善を選択するしか道はない。その認識に立って、現在から未来に向かって、可能な方法で道を選択し、最善を尽くすしかないと考えて行動している。
理不尽、不条理に直面した小沢氏が誰よりも怒りを抱えておられると思う。その小沢氏が、個人の利益ではなく、国民にとっての利害得失を最優先して熟慮して示した辞意表明である。私はその意志を尊重したいと思う。
小沢氏は卑劣な政治謀略に屈服したわけではない。卑劣な政治謀略を用いるような現実が横行することを含めて、日本政治の現状を刷新することが、何よりも重要で、優先されるべきだと考えたのではないか。本格的な政権交代を実現すれば、不正な警察、検察当局を大粛清することが可能になる。
優先順位を再確認し、まずは政権交代実現を優先し、そのうえで問題の根源を刷新しようと考えたのだと思う。正しくはない不正が存在する現実を踏まえ、大きな戦略実現のために、断腸の思いで当面の戦術を、柔軟にそしてしなやかに変更したのだと思う。
私たち国民にとって何よりも重要なことは、「特権官僚」、「大資本」、「外国資本」と癒着する「政治屋」がその巨大利権を擁護し、「御用メディア」を総動員して一般国民を欺く「政官業外電=悪徳ペンタゴンの利権政治構造」を破壊し、国民の側に立つ、国民の幸福を追求する政府を樹立することである。
小沢氏の辞意表明を契機に、政権交代を求める有権者が内部分裂してしまっては、この大目標は永遠の彼方に消滅してしまう。そうなれば「悪徳ペンタゴン」が高笑いするだけである。
さまざまな思い、憤懣が渦巻く局面ではあるが、ここは、小沢氏の意志を尊重して、意義ある政権交代実現に向けて、心ある有権者が力を結集することが大事だと思う。
本格的な政権交代を実現し、「悪徳ペンタゴンによる利権政治構造」を破壊できる力量を有する政治家は、小沢一郎代表をおいて他にない。だからこそ、多くの有権者が、小沢氏が民主党を率いて総選挙に臨んでほしいと考えてきた。
しかし、永遠に小沢氏の力量に依存することはできない。また、小沢代表はその身に疾患を抱えながら、国民の利益を優先し、わが身に鞭を打って日々奮闘してこられた。少し長い目で考えれば、小沢氏の意志を引き継いで、真に国民の側に立つ政府を樹立する力を、民主党を中心とする野党が持たねばならないのである。
その時期が少し早まったと考えることも必要だ。
断腸の思いで決断されたと思われる小沢氏の英断を尊重し、その意志を正しく引き継ぐことが、小沢氏を支援する行動になると思う。小沢氏を熱烈氏に支援してきた人々が、ここで政権交代実現に向けての熱意を失ってしまうと、政権交代は実現しないだろう。それは、小沢代表の意志に反することになる。
小沢代表辞任を動かせないとすると、焦点は次期代表選出に移る。ここで、重視すべきことは、小沢氏が引責辞任したのではないとの事実だ。小沢氏は卑劣な政治謀略、不正、不当な検察権力行使に正面から闘う姿勢を一貫して示している。
代表辞任は引責辞任ではなく、「悪徳ペンタゴン」勢力が「御用メディア」をフル動員して小沢代表攻撃、民主党攻撃を継続する現実を踏まえ、柔軟にそしてしなやかに戦術を変更して決断されたものである。
この事実を踏まえれば、鳩山由紀夫幹事長が連帯責任を負う必要は生じない。小沢氏が引責辞任するのでなく、政権交代実現をより確かにするための「戦術変更」として辞任するなら、鳩山由紀夫幹事長が次期代表に就任することが、もっとも合理的な選択ということになる。
この事情を加味して考察するなら、次期代表は鳩山由紀夫氏を軸に選出するべきだと言える。岡田克也氏は、代表就任、総理大臣就任に強い野心を示しているが、前回の総選挙で大敗した責任を強く自覚するべきだ。また、野党共闘維持や小沢民主党が掲げた政策方針継続の面でも不安が強い。
前原誠司氏は2006年に引責辞任し、そのあとを小沢代表が就任した経緯を踏まえて、今回は代表選に立候補しない意向を表明したが、この見解表明は正当なものである。
菅直人氏は社会保険庁のミスにより代表を辞任した経緯があり、また、本格政権交代にふさわしい政策路線を明確に示すことが期待されるだけに、次期代表候補の有資格者であるが、「挙党一致体制」、「野党共闘維持」を確立できるかという点に不安を残す。
このような状況を踏まえれば、鳩山由紀夫幹事長が次期代表に選出されることが、もっとも順当であると考えられる。鳩山氏が代表に就任すれば、挙党一致体制確立、野党共闘維持にはもっとも近道であると考えられる。
問題は、その場合に、本格的政権交代の名に値する政策路線を明確に敷けるかどうかだ。
新代表は三つの政策公約を明示することが不可欠だ。
第一は、企業献金全面禁止を明示することである。西松建設事件でクローズアップされた問題は、「政治とカネ」の問題だ。この問題に対する説明責任として、「企業献金全面禁止」以上に明確なものはない。
自民党こそ、金権体質にとっぷりと浸かり切った金権体質政党である。卑劣な政治謀略である西松建設事件を粉砕し、「政治とカネ」について、クリーンな新平原を生み出すには、「企業献金全面禁止提案」を総選挙最大の争点として掲げることが不可欠だ。
第二は、「天下り根絶」を明示することだ。鳩山由紀夫氏は日銀幹部人事の最終局面で、財務省出身の渡辺博史氏の副総裁就任に同意する意向を表明した。財務省の天下り利権根絶に対する姿勢に不明確さが窺われた。
政権交代を実現する最大の意義は、「官僚主権構造」からの決別である。こ点では菅直人氏の姿勢が明確である。また、岡田克也氏は自身が通産官僚出身であり、疑念が残る。鳩山氏、岡田氏が代表に就任する場合には、この点を明確にすることが不可欠である。
第三は、自民党が掲げる2011年度消費税大増税方針に明確に反対することだ。特権官僚の天下り利権を根絶する前に、消費税論議をすることは許されない。選挙公約に「消費税大増税阻止」を明示しなければならない。
岡田氏は従来から、消費税増税に積極姿勢を示し続けてきた。この政策路線は間違っている。その持論が修正されることが不可欠である。
二点補足すれば、「日本外交の対米隷属からの決別」と、「セーフティネット強化」も小沢氏が明示した重要な政策方針であった。この点ももちろん維持されなければならない。
逆に言えば、@「企業献金」、A「天下り」、B「消費税大増税」、C「対米隷属」D「セーフティネット破壊」が温存されるなら、仮に政権交代が生じてもこれまでの自民党政治から何も変わらないことになる。
「悪徳ペンタゴン」が執拗に小沢氏を攻撃し、小沢氏失脚を最重要目標に定めた理由は、小沢氏がこの五つの基本を破壊する最大の脅威と認識したからである。
小沢氏が代表を辞任し、次の代表が自民党の五つの基本方針を擁護するなら、「悪徳ペンタゴン」は、もはや政権交代を警戒する必要がなくなる。この場合には、政権交代が実現しても、日本政治構造は何も変わらない。
この意味で、次期代表は、@「企業献金全面禁止」、A「天下り根絶」、B「消費税大増税阻止」、C「対米隷属根絶」、D「セーフティネット構築」を明確に政権公約として掲げなければならない。この五つの公約を掲げない民主党は、もはや国民政党としての意義を失う。本格的な政権交代実現は永遠の彼方に消滅する。
民主党は誰を次期代表に選出するにせよ、この五つの基本を明確に掲げなければならない。民主党がこの旗を降ろすとき、政権交代実現に向けての「大決戦」は不戦のまま終結することになる。
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