★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK63 > 101.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
広田まゆみの「自由自在」 | 民主党はなぜ女性に支持されないか
民主党はなぜ女性に支持されないか
数年前から、ずっと言われていることです。
一部でネクタイやスーツの選び方が・・・とか
検討されている方も多いようですが、
宮本太郎(北海道大学大学院法学研究科教授)の
日本の社会保障制度に関する論文に、
社会学的な分析が紹介されていましたので
転載します。
その部分だけだともったいないので
前後も、転載いたしますが、
全文をお読みになりたい方は
北海道地方自治研究所にお問い合わせの上
お買い求めください。
http://www.hokkaido-jichiken.jp/
「北海道自治研究」は、毎月15日発行。
なかなかおもしろいです。
さて、以下、転載(抜粋)です。
:::::::::::::::::::::::
日本型生活保障をどう超えるか
−「第四の道」の可能性
宮本 太郎
「北海道自治研究471 2008年4月号」
(前段略)
3.日本人が望む社会とは
―世論調査の結果をめぐって
(略)
2007年11月に実施した世論調査
「日本の社会未来像に関する調査」
(RDD法、全国1500サンプル)の
結果についてご紹介していきたいと思います。
(1) 全体に「行政不信に満ちた福祉志向」の傾向
望ましい「日本のあるべき姿」に関する問いでは、
「北欧のような福祉を重視した社会」が6割近く
と最も多く(58.4%)、次いで
「かつての日本のような終身雇用を前提とした
社会」が3割強(31.5%)となったのに対し、
「アメリカのような競争と効率を重視した社会」は、
6.7%にすぎませんでした。
他方、この調査の趣旨の1つである
「日本型生活保障をどうしていくのか」をめぐる
調査項目でどのような回答結果が得られたと言えば、
まず「日本型生活保障のうち何を継承すべきと
考えるか」の問いに対しては三割強が「雇用の保障」
と答え、逆に「日本型生活保障のうち最も改善が必要」
なものとしては、「公的な社会保障を強化すること」が
36.7%と最も多く、
次いで「官僚の力を弱めること」が、28.6%という
結果になりました。
非常に不思議なことに、6割近い人々が北欧のような
公的福祉の強化された社会を望んでいるとしたなかで、
その半数以上が官僚の力を弱めてほしいと答えています。
見ようによっては、小さな政府によって
北欧型福祉社会をつくってほしいという無理難題を
突きつけられているような印象もありますが、
多くの日本人の重いが率直に現れ出た結果であろうとも
思います。
さらに、北欧のような社会をつくっていく上での
財源はどうするかという問題に関係して、
北欧のような社会を望んでいる者の半数近くが
行革を徹底し、国民負担を下げるべきだと答えています。
これも小さな政府によって北欧型社会をつくることを
求めていることの証左であり、常識的に考えてみれば、
明らかに矛盾した回答です。
※ 注
私広田まゆみは、矛盾はしていないと考えています。
従来の「公」の概念を変えていくことは
必要ですが・・・
(2)政党支持者別の回答傾向
「福祉の強化」と同時に「官僚の弱化」や「行革の徹底」を
も望む状況を「行政不信に満ちた福祉志向」と総括した上で、
政党支持層別の回答状況をご紹介したいと思います。
非常に印象的であったのは、自民党支持層と民主党支持層の間で
調査者が予想した以上に、回答傾向にはっきりとした違いが
現れたことです。
その違いは大きく二つの軸で見ると鮮明になります。
1つは<市場/福祉>の社会経済的対立軸、
もう1つは<伝統・権威/個の自律>の価値・文化的対立軸です。
このような形で整理すると、社会経済的対立軸では、
自民党支持層が市場重視、民主党支持層が福祉重視という傾向が見え、
価値文化的対立軸では、自民党支持層が伝統・権威重視、
民主党支持層が個の自律重視の傾向が見えました。
やや詳しく見ると、日本型制度の改善点をめぐっては、
自民党支持層は「競争原理を導入して平等の行き過ぎを正す」との
回答が多かったのに対し、
「官僚の力を弱める」と「公的な社会保障を強化する」は
民主党支持層に多いという傾向が見られました。
先ほど総括した「行政不信に満ちた福祉志向」は民主党支持層の
方に強く出ています。
また、日本型制度の敬称・復活させるべき点をめぐっては、
自民党支持層で「男女の役割が異なった伝統的な(家父長的な)
家族」が多かったのに対し、「雇用の保障」は民主党支持層に
比較的多く出ました。
民主党支持層は、福祉志向が強い反面、一見それと
矛盾するかのように、官僚の力を抑え、行革を徹底し、
家族のあり方については男女平等、個の自律という傾向を
一貫して示しています。
これに対して自民党支持層は、明らかに市場志向が強いのですが
ただし、それは小泉・安倍政権ほどではないと言えます。
他方、小泉政権は市場志向が強かったのですが、いわゆる
「骨太の方針」はフェミニストやジェンダー平等を唱える
人たちにはそれなりに高く評価されました。
それは、日本の公的な文書のなかでこれほどはっきりと
家族単位の福祉から個人単位の福祉へのシフトや
女性の就労条件を高めることを打ち出したものは
なかったからです。
その意味では、小泉政権と安倍政権の間には明確な違いが
あり、社会経済的な対立軸では市場志向が共有されている
反面、価値文化的対立軸で見れば、前者が個の自律に沿った
新自由主義の立場であるのに対し、
後者は新保守主義の立場という違いがあります。
そして、自民党支持層の平均像は両政権の中間あたりに
あることが調査結果からうかがえます。
関連して、民主党について
従前から言われてきたことの1つに、
女性の支持層が少ないということがあります。
この前、札幌でこの調査の結果をもとにした
シンポジウムを行ったのですが、そこで
武蔵野大学教授の社会学者・橋本健二さんが
指摘されていたことで興味深かったのは、
女性の回答傾向として福祉・環境への志向が
強く打ち出される一方で、意外なことに、
個の自律よりも伝統志向が強いという特徴がある、
ということでした。
こうした傾向は、本調査でもうかがえますし、
5年ごとに行われ、橋本さんも含めて多くの
社会学者が関っているSSM調査(日本の社会階層と
社会移動調査)でもはっきりしていることだそうです。
つまり、現代の日本の女性像を想像するとき、
生活クラブ生協の活動家など非常にアクティブな姿が
イメージされ、個の自律志向が強いように思ってしまい
がちですが、SSM調査など全国調査で平均的な女性像
を見ると、福祉・環境に強い関心を持ちつつも、
その解決については参加や自治を重視するよりは、
有能で経験豊富な誰かに委ねたいという傾向が見られます。
それに対して民主党の示す個の自立志向や参加志向は、
女性に多いこうした志向性とはズレが見られるという
わけです。
(3)重要性を増す「生活」の政治
「第3の道」論を唱えたイギリスの社会学者
アンソニーデギンズは、社会経済的対立軸を
人々を福祉の支援等を通して自由にしていく
「解放の政治」、価値・文化的対立軸を
「生活の政治」(ライフ・ポリティクス)として、
これからは後者がどのように取組まれるかが
政治的な帰趨を決すると述べました。
価値・文化的対立軸は、恐らくこれから段々と
重要さを増していく軸です。
アメリカ大統領選などで同性婚や妊娠中絶問題が
国政の争点に中心にせりあがってくること自体、
少し前までは日本人の目にややわかりづらいところが
ありましたが、
日本でも今やそうした海外の動きをトレース
するような動きが見え始めています。
例えば、1999年に「男女共同参画基本法」、
2001年に「配偶者からの暴力の防止及び
被害者の保護に関する法律(DV防止法)」が
制定されて以降、若干のタイムラグを置いて、
それに対する反発が各地で広がりつつあります。
最近の事例で言えば、茨城県つくばみらい市で
DV法を解説し、デートDV(未婚カップルでの
DV)の解決策を考える講演会が、一部の
グループが抗議したことで、中止に追い込まれ
ています(2008年1月20日)。
つまり、DVをなくそうということ自体が、
日本の伝統的な家族のあり方に対する
異議申し立てに見えるという動きすらあるわけです。
このような事例は行き過ぎた反発に見えますが
コミュニティが崩壊し、家族も揺らいでいる
今日の日本社会にあっては、
一方においてさまざまなしがらみから逃れて
個として自立・自律したいという流れと、
そうであるがゆえに、どこにも根付くところのない
根無し草のような状態になることに対する
強い不安感が同居していて、
それをどう解決していくかが政治の大きな
争点になっていくものと思われます。
こうした志向が新自由主義とは区別された
新保守主義の流れの基盤となっていくことが
予想されます。
この後、
「4.日本における新たな社会民主主義
としての第四の道」としての
具体的な提言に入るわけですが、
今日の転載はここまでに。
(このあと、会議に出かけなければいけませn)
後日、改めて、この続きをご紹介したいと思います。
お急ぎ、全文ご希望の方は、
北海道地方自治研究所
http://www.hokkaido-jichiken.jp/
にお問い合わせください。
http://hirotamayumi.networking-office.com/?eid=923207
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK63掲示板
フォローアップ: