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2009年05月11日
小沢一郎よ、桧舞台で舞を踊れ
5月11日の朝日新聞の投書欄に、東京在住70歳の無職の男性からの、次のような投書が掲載されていた。
「政権交代で官僚支配終焉を」と題するその投書の趣旨は次のようなものだ。
「 ・・・官僚支配を終わらせることができない政権交代なら、私は民主党を中心とした野党の総選挙の勝利は望まない。
小沢代表のような剛腕でないと政権与党や官僚の手練手管に対抗できない。
民主党員は、小沢氏が代表を辞めれば選挙に勝てると思っているようだが、(たとえ)総選挙になんとか勝てても、(小沢なき民主党では)官僚支配を終わらせることまでは永遠にできなくなるだろう。
小沢民主党は、談合・天下りの根絶、特殊法人や独立行政法人の原則廃止、特別会計の原則廃止、地方分権の推進など、「官」の改革をうたっている。
政官癒着を打破し、官僚支配を終焉させられないような民主党なら、政権交代の意味がない・・・」
どうだ、小沢一郎。ここまで応援してくれる国民がいるのだ。小沢一郎はこの70歳の一市民に拝跪して感謝し、みずから語ったとおり今こそ「身の朽ちるまでその使命を達成する」覚悟を新たにすべきだ。
小沢一郎を支援する人々も、その支援理由も、様々だろう。小沢一郎の政治的庇護を得ようとする打算からの支持もあれば、反麻生、反自民の立場から小沢民主党を支持する者もいるに違いない。とにかくまず政権交代だ、と考える者も多い。
そしてこの投書の主のように、既存の支配体制を根底から変革するような政権交代でなければ、政権交代の意味はない、だから小沢一郎に任せるしかない、と考える者がいる。まさしく私もその一人だ。
この投書の主の期待に応えることは容易な事ではない。二つの大きなハードルを超えなければならないからだ。
一つはもちろん総選挙に勝つ事だ。しかし、その後にさらなる高いハードルが待っている。63年間続いた日本の権力構造を変えることだ。少なくともその口火を切ることだ。
これは実は大変な政治的挑戦なのである。今までのどの政治家もなしえなかった困難な挑戦である。
日増しに追い込まれつつあるように見える小沢一郎に果たしてそれができるのか。普通なら誰しもが困難であると考えるだろう。
しかし、ここからが私の言いたいところであるのだが、実は小沢一郎の苦境はまた小沢一郎の好機でもあるのだ。しかも千載一遇の・・・。
なぜか。もはや事態がここまでくれば、この二つの挑戦を切り離す事はできない。小沢一郎は、政権交代をした暁には日本の権力構造を変えて見せる、民主革命を起して見せる、その思いを持つものは私と一緒に闘ってくれ、と明確に宣言するほかにないのである。
小沢一郎はそれを民主党員の前に示し、同時にまたそれを国民の前で語るのだ。これこそが究極の劇場型政治である。
このような事は、さすがの小沢一郎も、普通の状況ではできないだろう。ましてやシャイで口下手の小沢である。
しかし、いまは違う。この投書の主がいみじくも書いているように、いま小沢一郎に求められている事は、その事以外にもはやないのだ。
歴史の流れは、そして閉塞した国民の心の底に閉じ込められたままのエネルギーは、それを小沢に渇望しているのだ。
小沢一郎という政治家の真価を私は知らない。天命というものがあるのかどうか私は知らない。しかし、小沢一郎にとってその真価を国民の前に示す事のできる、最大で、最後の天命が到来しているとすれば、まさに今がその時ではないのか。
政治家小沢一郎にとって男冥利につきるではないか。みずからが置かれている今の苦しい状況を、天が与えてくれた桧舞台と心得て、小沢一郎よ、舞を踊れ。国民の拍手喝さいををその耳で聞け。
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