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郷原信郎さんと熱く語った裁判員制度の問題点
裁判員制度を問う / 2009年05月01日
阿佐ヶ谷ロフトAにて『裁判員制度に異議あり!』(4月30日)
昨夜は郷原信郎さんを阿佐ヶ谷ロフトAに招いて、「西松建設事件」の概括と「裁判員制度」について語り合った。午後7時から始まったトークイベントが終了したのは10時前で、約80人の聴衆からは活発な質問も飛び出して内容の濃い催しとなった。ただ、会場を一歩外に出ると「裁判員制度推進」のサイバンインコまで復活して空虚な宣伝が続いている。メディアも、「いかに推進するか」という縛りから外れることが出来ず、根底的な議論が封印されている。
サイバンインコで裁判員制度PR 大阪地検
2009.4.30 23:57 サンケイ新聞
5月21日スタートの裁判員制度を前に大阪高検と大阪地検は、30日から大阪・南港のインテックス大阪で始まった「食博覧会・大阪」に広報用ブースを出展。PRキャラクター「サイバンインコ」との記念撮影会を行うなど、制度アピールに努めた。
食博には多数の来場客が見込まれ、開催期間が憲法週間と重なることから同高検などが出展を決めた。
ブースでは連日、法曹関係者によるトークイベントや子供向けのじゃんけんゲームなどを開催。大阪高検の竹中ゆかり検事(45)は「裁判員になりたくない人が多いが、防犯意識を高める効果があるなどメリットも大きい。制度がよく分からないことから生じるアレルギーを少しでも解消してほしい」と話した。
[引用終了]
asahi.comより
サンバンインコとジャンケンがどうして裁判員制度なのか、マジメに問うのもバカらしくなるが、5月21日以後に起訴された事件から裁判員裁判の対象になるというのだから、「死刑」か「無期懲役」を目前にして苦悩する裁判員の姿とは、かけ離れた宣伝手法に絶望的な薄っぺらさを感じる。
郷原氏は、『思考停止社会』(講談社現代新書)の中で裁判員制度にもふれて「とりあえず多くの人が裁判員裁判をやってみて、ダメならやめればいい」と流れに身を委ねていると指摘してるが、同感だ。3時間の間、議員連盟でまとめた12の論点を機軸に討論をしたが、まったく別の世界を生きてきた私たちふたりの意見は、ほぼ共通だった。
連休明けから、裁判員制度を問い直す議員連盟もフル回転する。千葉弁護士会、栃木弁護士会の皆さんの訪問を受けて、12日には院内集会も企画されている。私たちが発表した『12の論点』は、ほぼ共通の問題意識だとのことだった。
「裁判員制度を延期すると、現状でも絶望的な刑事裁判が固定化されてしまう。だから、この制度は始めてみるべきなのだ」という声も、身近かな法曹関係者から聞こえてくる。私は、違うと考えている。90年代の始めに「小選挙区制度」が導入されようとした時、「一度やってみて、ダメなら元に戻せばいい」という意見があったのを思い出す。アメリカ型の二大保守政党政治に選挙制度が誘導していくに違いないと当時は「少数意見」を出したが、奔流のような「改革の熱気」に押し流された。小選挙区制度になって、二大政党の議員間の政策の違いは見つけるのが難しいほどに接近し、国会審議は政策本位になるどころか空洞化している。80年代の法案審議に比べると、審議時間は半減どころか比較にならないぐらいに収縮してしまった。
2004年、裁判員法の審議を衆参両院でどのぐらいやったのか。議事録を取り寄せてみて、驚いた。なんという薄さなのか。全会一致でこのように「問題点」を修正したり、削除したりという作業を怠ったことが、今日の事態を生んでいる。国会議員のひとりとして、猛省しつつ今後の作業を続けたい。
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