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「上から目線」が復活=オウンゴールへの懸念も−首相
内閣支持率が上昇傾向を示す中で、麻生太郎首相に強気が戻りつつある。2009年度予算成立後、直ちに財政支出が15兆円という空前の追加経済対策を打ち出すなど、政策面での積極性が出てきた一方、記者団とのぶら下がり取材では横柄な受け答えも目立ち始めた。「上から目線」の復活に、周辺からは「失言」を危ぐする声が上がっている。
「あんまり印象に残らない顔の人だ」。22日夜、首相は海賊対処法案をめぐる与野党協議の質問をしようとした記者の顔をのぞき込み、軽口で応じた。23日夜には、福田内閣当時に有識者懇談会がまとめた集団的自衛権に関する提言について、見解を問うた記者に「あなたは全部(提言を)熟読玩味したんだろうから…そんな顔でもないな」と、茶化したような態度で応じた。
米大リーグのイチロー選手が日本プロ野球記録を更新する安打を放った17日には、首相は自ら野球漫画「あぶさん」に言及。「あぶさんの作者は誰?」「あぶさんは(年齢)いくつ?」と逆質問を連発。記者団が間違えて答えると、「全然アウト。よく(漫画を)買って読んでね」とからかった。
自らの失言や漢字の読み間違いで、支持率低下を招いた首相。一時は「麻生節」を封印してきた節があるが、西松建設の違法献金事件が民主党を直撃し、潮目が変わった。敵失もあって報道各社の調査で内閣支持率は20%台から30%台に回復。首相の舌も滑らかになり始めた。
ただ、人を見下ろすような態度は、ひとつ間違えば世論の離反につながりかねない。自民党の加藤紘一元幹事長は24日、民放テレビ番組の収録で「ごう慢な態度。すぐに改めるべきだ」と厳しく批判。さらに記者団を前に「目線を国民と同じところに置くことが分からないといけない」と苦言を重ねた。
首相の「オウンゴール」を懸念する与党側の空気は、官邸サイドにも伝わっている。河村建夫官房長官が同日夜、首相官邸で首相と会い、「記者にぞんざいな態度を取らないでください」といさめると、首相秘書官も「長官もこうおっしゃっていますから」。だが、首相はけげんな表情を見せただけだったという。
この後、ぶら下がり取材に応じた首相は、加藤氏の批判について感想を求められても「(番記者は)わたしの息子ぐらいの世代だから、普通に気安くしゃべることに努めている」と、どこ吹く風といった様子だった。(2009/04/26-15:57)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200904/2009042600088
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