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昨年11月の投稿で、わたしはウサマ・ビン=ラーディン容疑者がもはや重要ではなくなったことを認める米CIA長官の重大な発言についての報道が世界中で正反対も含めテンデンバラバラであったことを書きました。これはその時点における米国の政策に影響する世界経済悪化の深刻度の評価が、国またはメディアによって異なっていたためと思われます。その際、どの報道が発言の真意に近いかを知る判断材料としてわたしが参照したのはVOAのウェブサイトでした。この結果、米国が日本に自衛隊のアフガン派遣を求めなかったことにつながる重要な政策転換を早期に察知する大きな手掛かりとなりました。
そのVOAをウィキペディアで調べると、「ボイス・オブ・アメリカ (The Voice of America 略称:VOA) はアメリカ合衆国政府(USIA:合衆国情報庁。CIAではない)が公式に運営する国営短波ラジオ放送局である」とあります。要するに、米政府直轄の広報機関です。「CIAではない」ともありますが、その意向を受けることはあるでしょう。
このVOAのウェブサイトで、最新ではないのですが、非常に興味深い記事を見つけました。見出しは「米国系ユダヤ人がアラブ・イスラエル紛争に対するオバマの取り扱い方を承認 American Jews Approve of Obama's Handling of Arab-Israeli Conflict」です(http://www.voanews.com/english/AmericanLife/2009-04-09-voa34.cfm)。日付は今月9日ですから、先の投稿で取り上げたように6日にはオバマがトルコ国会で演説して米国とイスラーム世界との和解を呼びかけたすぐ後というわけで、その演説が可能になった背景を説明していると言えます。なにしろこれは、そのまた前の投稿で取り上げたようにイスラエル筋は「オバマがイスラエルを裏切り始めた」「米大統領は友邦イスラエルを見限る気だ」と観測したことと表裏一体であり、きわめて意味深いテーマです。
同記事によればまず、最近行なわれた米国系ユダヤ人に対する世論調査では、中東和平における米国の役割を一層積極的にすることへの強い支持が示され、しかもそれがイスラエルに対してアラブ諸国への妥協を迫る圧力になるのを意味しても変わらないというのです。
この世論調査はハト派を自認するユダヤ系米国人の政治活動団体が実施し、これによれば昨年の大統領選挙ではユダヤ系米国人のうち78%がオバマを支持したそうです。そして72%がアラブ・イスラエル紛争に対するオバマの取り扱い方を承認しているとのことです。
さらに世論調査を分析すると、イスラエル・パレスティナ問題をオバマの主導で平和的に解決することが中東における米国の国益につながるとユダヤ系米国人は考えているという結果が出ています。
注目すべきは、米国がパレスティナのハマース政府と交渉することを支持するユダヤ系米国人が69%にも達している点です。いうまでもなく、米国とイスラエルの両政府はこれまでのところ、ハマースがテロリズムを支持するためとイスラエルの存在する権利を認めないためという理由で交渉相手としては認めていないわけですが、このことを回答者に確認したうえでの調査だったそうです。
2月の選挙で発足したイスラエルの新政権はパレスティナを国家として認めることを支持しない可能性がありますが、ユダヤ系米国人は2国の平和共存が望ましいとしています。
この世論調査は今年2月から3月始めにかけて、ユダヤ系米国人であることを自己申告した800人に対して行なわれました。記事には「ガザ攻撃」にはいっさい言及していないところが微妙です。しかし、調査を実施したユダヤ系米国人の政治活動団体は設立して1年足らずで、従来からのユダヤ系ロビイストや右翼団体への対抗軸の必要からの動きだったそうです。
米国の外交政策、特にイスラエルや中東の関連で影響力を持っていたのはこれまで極右ばかりで、ユダヤ系米国人の多数派を代表してはいなかったともあります。
以上が記事の主な部分ですが、これが米政府直轄の広報機関のサイトで公開されているものであることを思い起こしていただきたいと思います。
また、日本で今「ユダヤ」と口に出せば、陰謀論を支持するか否定するかのどちらかになりがちですが、そのどちらでも片付けられないこともこの一文でお解りいただけると思います。
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