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裁判員制度を問い直す超党派の議員連盟について(郷原信郎)
http://www.asyura2.com/09/senkyo62/msg/214.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2009 年 4 月 24 日 18:54:57: twUjz/PjYItws
 

*4月1日、議員会館において裁判員制度を問い直す超党派の議員連盟が郷原信郎氏を呼んで勉強会が行われた。

参照―裁判員制度を問い直す議員連盟が発足した
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/7540713257681ed2ed37fbca149ab158

その時に講師として参加した郷原信郎氏の書き物があります。その部分だけ転載します。

情報元は―

第57回コンプライアンス研究センター定例記者レクでの発言概要
http://www.comp-c.co.jp/mailmagazine/ma090408.html


きょうはテーマを3つ用意しました。まず1つ目は、5月21日に施行が予定されている裁判員制度を問い直す超党派の議員連盟についてです。

4月1日に議員会館で、この問題に関する勉強会が開かれました。筆者が講師となって、裁判員制度が「国際的にも特異な制度」で重大な問題があることを指摘しました。メンバーから、これまで国会での十分な議論がなされないまま、国民にも理解されないまま、制度導入が強行されようとしていることに対して、強い危惧感が示されました。国民の憲法上の権利を守るためにも、導入凍結が不可欠だとの認識の下に、議員連盟を発足させ、短期間で国会での見直し法案を成立させることめざして活動を続けていく方針が決まりました。議連のメンバーは、自民、民主、国民新党、社民、共産の有志の議員17名です。
問い直すという言葉にも表れているように、この制度そのものを見直す必要がある、この5月21日の法律の施行、制度の施行自体を見直そう、一言で言えば凍結しようということを議連の当面の目標にしていくという話でした。

なぜ、今年の5月に施行される予定の裁判員制度について、もうあと施行まで1ヶ月ちょっという段階になって制度凍結という話が出て来たのか。いろんな背景があると思います。もともとこの制度は「市民が参加する裁判で裁量的な死刑の判断をする」という国際的にも特異な制度で、制度自体に重大な問題があります。その問題については、私の新書『思考停止社会』の中でも詳しく書いています。しかし、最高裁や法務、検察サイドの誘
導もあって、その本質的な問題、根本的な問題に目が向けられることなく、とうとうここまで来てしまったというのが現状です。

しかし、今回の政治資金規正法の事件に関連して、絶対にこのまま裁判員制度を実施してはならない、絶対に導入してはならないと思える状況が発生していると言えるのではないかと思います。それは、事件報道が裁判員に与える予断の問題です。

裁判への市民参加ということになると、一般の市民が裁判に臨むにあたって、予断を排除できるのかどうかというのが非常に大きな問題になります。それについてはマスコミ事件報道のあり方が裁判員制度導入に向けて検討されてきて、マスコミ倫理協議会の場でも検討され、新聞協会のガイドラインがでたり、いろんな動きがあったわけです。ところが、それをまさにぶち壊すような事件報道が、今回の政治資金規正法違反事件について行なわれていると言えるのではないかと思います。

ガイドラインなどに書いてあるのは、どうやって表現を工夫して、断定的なものの言い方にしないように工夫するかという話なんです。それはもともと公立中正に報道しようとしているが、その表現の仕方によっては視聴者、読者は誤った予断を持ってしまうかもしれないから気をつけようというような話のはずです。ところが、この政治資金規正法違反に関して行なわれてきた報道では、そうではなくて、もともと方向が一方向に捜査機関側に有利な世論形成が行なわれるようなバイアスがかかっているとしか考えられないようなものが夥しい数あったのです。そういう報道がなされるということは、裁判員制度の公正な運用に重大な支障が生じうることを示しているわけです。このまま裁判員制度を実施すると、大変な問題が生じるのではないかと思います。

その中でもとりわけ、こういうことが行なわれたら、もう裁判員制度はとてもじゃないけどやっていけないよなと思ったのが、例の3月24日の夜の小沢代表続投会見の直後の午前零時から翌朝までのNHKニュースのトップで報じられた、「大久保秘書が嘘の記載を認めた」という報道です。要するに、「大久保秘書は、西松建設からの献金だと認識していたと、収支報告書への嘘の記載を認める供述をしていることが関係者の取材でわかりました」という内容のニュースです。

このNHKの報道などがきっかけとなって、多くの新聞、テレビが、「大久保秘書、容疑事実を大筋で認める供述」などと報じましたが、27日、大久保氏の弁護団が、「大久保隆規氏の起訴後、新聞、テレビ等において、同氏が政治資金規正法違反に係る起訴事実について、その大筋を認めている等の報道がなされているところですが、同氏の弁護人らの認識は全く異なっております。この点について、検察庁が前記の報道内容に沿った事実を公表することなどあり得ないことから、誤解に基づく報道ではないかと考えております。公判に向けて予断を排除するためにも、今後は、十分な取材に基づき、客観的かつ公正な報道を行っていただきますよう申し入れます。」というコメントを出しました。
要するに、このニュースで報じた「大久保秘書が嘘の記載を認めた」というのはまったく事実に反しており、弁護人側に裏をとれば「自白していない」ということはすぐに確認
できていたはずだということなのです。

そもそも、西松建設からの資金による献金だと認識していても、それを認識した上で政治団体名義の寄付と収支報告書に書いたとしても、それだけでは違反にはならない、違反を認めたことにはならないというのは、私がこの記者レクの場でも、そして新聞のインタビューに答えて、あるいはテレビでも再三にわたって言ってきたことです。
収支報告書には資金の拠出者の記載は義務づけられていない。だから、西松建設からのお金だと認識していたのに、政治団体の名義で書いたことが、これが虚偽になるわけではなくて、もし、虚偽記載になるとしたら、政治団体がまったく実体がなくて、寄付行為者たり得ない。だから西松建設が行為者だと認めざるを得ないのに、それを政治団体名義と書いたという場合しかあり得ない、ということを私はずっと言い続けてきたわけです。

ですから、西松建設からの献金だと認識していた、その上で記載したというのはけっして嘘の記載を認める供述ではないわけです。自白にはならないのです。それをあたかも自白をしているかのように報道するというのは、もうそれだけで視聴者にとんでもない誤解を与える報道というしかないのではないかと思います。

西松からの献金と認識していた」というのが、資金の問題だけではなく「団体の実体がないことの認識」という意味も含めて、「収支報告書に西松建設からの寄附と記載すべきだということを認識していた」という趣旨だったと理解する余地もないではありません。しかし、このニュースをそのような意味に受け取る人間がいるでしょうか。ほとんどの人は、「大久保秘書は西松建設から金が出ていることを当初否定していたが、それが嘘だったことを認めた。それによって起訴事実を認めた」という意味に受け止めたはずです。これが、視聴者に極めて重大な誤解を与える報道であったことは否定しようがないと思います。

もう一つの問題として、こういうような自白報道するのであれば、ちゃんと裏をとりなさいということも、もちろん重大な問題です。勾留中の被疑者、被告人の供述内容というのは捜査機関側か、弁護人側か、どっちかしか出ようがないわけだから、捜査機関の側から情報を得たとしたら、弁護人のほうに裏をとりなさいということです。弁護人がすぐに「自白などしていない」とコメントしたわけですから、裏をとれば、この報道が事実に反することは容易にわかっていたはずです。

しかし、その問題とは別に、そもそも、ここで言っている「嘘の記載を認める供述」というのは、内容的に嘘の記載を認める供述にならない。客観的に自白にならない供述内容が自白のように誤解されるということ自体が大問題なのではないかと思います。
この報道が行われた後、各新聞、テレビで世論調査が行われ、「小沢代表の説明に納得できるか」「小沢代表は続投すべきか」という質問に対する回答結果が、翌週の初めに次々と公表されました。NHKの報道と、それに追従した他のメディアの報道は、この世論調査の結果に極めて大きな影響を与えたと考えられます。
とにかく、なぜこういう問題が発生してしまったのか。これは今回の事件についての特殊な問題なのか。今回は検察の方から、こういうニュースを流してくれと言われたら仕方
がなかった、通常の裁判員裁判の対象事件ではこんなバカなことはやりません、ということなのであれば、裁判員裁判に与える影響はあまりないということになります。そうであればそれをはっきりさせるべきです。なぜ今回こういう、国民に誤解を与えるような報道が行なわれてしまったのかということをきちんとその原因を明らかにしないと、今後裁判員制度の対象事件においても、こういったことが起きる危険性を否定することができないと思います。

私は昨日、勉強会の中でこの点を強調しました。5月21日に迫った裁判員制度施行の直前ですが、この問題を放置したままでは裁判員制度を予定どおり施行することができない重大な問題だと思います。もちろん、もともとの裁判員制度の問題も多々あるんですけども、この問題だけでも裁判員制度は根本から問い直す必要があるのではないかと思います。

裁判員制度を問い直す議員連盟でも、この問題は極めて重大な問題だと認識されていると思います。  

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