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麻生“ばらまき焦土作戦”は民主マニフェストつぶし?
財源の「埋蔵金」使い果たす
麻生太郎首相が、続々と大型の経済対策を打ち出している。財源は赤字国債や「霞が関埋蔵金」だが、民主党は次期総選挙のマニフェスト(政権公約)の財源として埋蔵金を当て込んできたため、これをつぶされた格好となっているのだ。それだけに、野党からはバラマキ批判に加え、「まさに焦土作戦だ」などとの怒りの声が噴出。経済対策は国のためか、それとも選挙目当ての作戦なのか。
「無責任予算。後のことは知らないという焦土作戦だ」
国民新党の亀井静香代表代行は15日の記者会見でこう怒りをぶちまけ、政府・与党が15兆4000億円の財政支出を伴う追加経済対策をまとめたことを痛烈に批判した。
麻生首相の肝いりでまとめられた追加対策の財源には、赤字国債や特別会計の「埋蔵金」などが充てられる予定だが、亀井氏は「(衆院選で)政権を明け渡す前に城中の金庫を空にしちゃえという無責任な立場だ」と決め付け、「(小沢一郎代表の進退問題で)民主党が泡食っているときに、自民党は勝つために何でもやっちゃえだ」と続けた。
今回使われる予定の埋蔵金は、財政投融資特別会計(財投会計)の積立金からの約3兆4000億円。赤字国債も発行される。政府はすでに、2008年度第2次補正予算と09年度予算で、財投会計の積立金だけで約8兆4000億円を充てた。合計すると約12兆円の「埋蔵金」が溶けることになる。
埋蔵金伝説を最初に唱えた自民党の中川秀直元幹事長の試算では、埋蔵金の総額は財投会計で19兆6000億円、外為資金特別会計(外為会計)で19兆3000億円とされている。
ただ、外為会計については円高の進行で評価損がふくらみ、「活用はほぼ不可能」(財務省関係者)な状態で、「財投も全部使っていいものでは決してない」(同)というだけに、埋蔵金はほぼ底を突きかけているのだ。
これに困ったのが民主党。同党は次期総選挙のマニフェストで農家の戸別補償や子供手当新設、高速道路無料化などを掲げているが、その年間経費約20兆円のうち、約6兆5000億円を埋蔵金から調達する方針だからだ。「2年間で20兆円超」とする独自の経済対策の財源も埋蔵金を期待しているが、これではいずれも絵に描いたもちになってしまう。
民主党政調関係者はこう恨み節を漏らす。
「そもそも、自民党は積立金を『根拠のない埋蔵金伝説』と言ってきたはずなのに、埋蔵金を使いまくり、財政規律といってきたのに赤字国債で借金を増やしている。しかも定額給付金など、選挙目当てのバラマキ政策ばかりだ。麻生首相に続けさせたら、政権交代したときに、国にペンペン草も生えていなかった、ということになりかねない」
さらに、麻生首相が5月の衆院解散に触れたのも、民主党への揺さぶりとなっている。6月総選挙なら、埋蔵金を取り崩す09年度補正予算関連法案成立前で、それ以降の総選挙であれば同法案成立となる公算が大きいだけに、民主党は両にらみで財源を考えねばならないからだ。
5月解散・6月総選挙説には「民主党を選挙に走らせて、金欠に追い込む兵糧攻めの側面もある」(自民党国対幹部)とも指摘されている。
首相に近い自民党関係者は「あくまで100年に一度の危機に対する措置だし、麻生首相は選挙で勝利するつもりだけに焦土作戦ではない。結果として民主党のマニフェストつぶしにはなっているかもしれないが」と話すが、さて。
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