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(回答先: 昨秋はこんな記事もあった!−『マスコミが小沢政権樹立をお膳立て』 投稿者 仁王像 日時 2009 年 4 月 18 日 09:23:48)
小沢代表から記者クラブ開放の言質をとった記者会見での質問
上杉隆(ジャーナリスト)
【第71回】 2009年03月26日
3月24日は、日本の政治ジャーナリズムにとっては記念すべき日となった。
この夜、公設秘書の起訴を受けて、小沢一郎民主党代表が記者会見を行なった。3月3日の逮捕以来、4週連続の会見となる。
普段の小沢代表の会見はとても褒められたものではない。質問を遮り、気に食わない相手には露骨に敵意を見せる。場合によっては記者会見を開かないこともある。いやむしろ定例会見をキャンセルする方がずっと多かったように記憶している。
ところが、政治資金規正法違反による公設秘書の逮捕があった3月3日以降は、別人のような変貌を遂げた。定例の記者会見のみならず、ぶら下がりにも応じ、少なくとも説明責任を果たそうという姿勢だけは見せ続けたのである。
もちろん、追い詰められて、釈明に追われた会見であったことは否定できない。それでも、記者クラブの記者のみならず、筆者のようなフリーランス、雑誌記者、海外メディアを自由に参加させ、平等に質問の機会を与え続けたことは、画期的だった。
少なくともそれによって想定される、厳しい質問に晒されて立ち往生し、進退に発展する環境だけは提供してきたわけである。
実際、記者クラブではあまり聞かれない厳しい質問もあった。
たとえば、最初(3月4日)の記者会見、筆者の次の質問は厳しいもののひとつになったと思う。
〈(小沢事務所には)政治団体(から)の献金や金額をチェックする機能はあるのか〉
「チェックつうのはどういう意味ですか」
〈(政治団体から政治資金団体の陸山会に直接)献金を受けてますよね〉
「はい、はい」
〈(たとえば小口の個人献金者ならばまだしも、4年間で2100万円という決して小さい額でない大口献金者がいったい誰であるのかを調べるのは自然なことだと思いますが、そうした)大きな金額の背景を小沢代表事務所では調べないのか〉
「一般的にいって、私はわたくしの事務所だけでなくして、献金くれるという方について、このおカネは、どういうところから出るのかということは普通の一般常識として、個人間でもみんな同じだと思いますが、どっから持ってきたカネだとか、そういうたぐいの詮索(せんさく)はしないのがわたくしは大多数だと思っております。
従ってその意味で、献金してくださる皆さんの善意を信じてやっているというのが現状だと思います。個人で言えば全くもう、知らない人からもたくさん献金をいただいております。その意味で、先般も申し上げましたように、お金そのものが、違法であるということが、明らかに違法だと分かったときはそれは返却することにして、それでけじめを付けているつもりであります」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090304/stt0903041118010-n2.htm
[※( )内は筆者のメモから加筆したもの。そのほかは産経新聞WEBからそのまま引用した]
自画自賛するつもりはないが、実際にこの質問の直後、何人もの自民党議員や秘書から「労い」の電話やメールが届いたくらいであった。さらに、以降の新聞・テレビ等で繰り返し、このやりとりが使用されたことを考えてもそれなりに厳しい質問であったのは確かだろう。
また、翌週の筆者の質問に対しても、今度は、民主党議員や党職員から「厳しすぎるよ」という「苦情」が入ったくらいだ。
こうしたことが可能なのは、すべて民主党が記者クラブを開放しているからだ。これによって国民が本来知るべき情報が判明しているわけである。
こうした背景があり、今月4回目となる3月24日の記者会見で、筆者は事件と無関係に見える質問をぶつけた。それは、小沢民主党が困難なこの時期に記者クラブに限定せず記者会見を開き続け、進行役の奥村展三議員が、厳しい質問が来ることを予想しながらも、フリーランスの筆者に質問権を与えてくれた結果による。
告白すれば、次の質問は、筆者がニューヨークタイムズで働き始めたばかりの頃から、心に温めていたものであった。事件そのものとは直接関係のないことを知りながら、確信犯的に、この日のタイミングでぶつけたのだ。
その結果、小沢代表から、待ち望んでいた言葉が聴かされた。
〈ジャーナリストの上杉隆と申します。3月4日以来の記者会見で代表が説明責任を果たそうと私のようなフリーランス、雑誌記者、海外メディアに開放し(続け)たことについて敬意を表したい。(一方で)自民党、首相官邸、全官公庁、警察(検察)を含め私のような記者が質問する権利はない。(説明責任を果たそうとしたことは過去一度もない。そこで質問です。)政権交代が実現したら記者クラブを開放し(続け)て首相官邸に入るのか。(それともこれまでの自民党政権のように、記者クラブをクローズにしたままにするのか)〉
「私は政治も行政も経済社会も日本はもっとオープンな社会にならなくてはいけない。ディスクロージャー。横文字、カタカナを使えばそういうことですが、それが大事だと思っております。これは自民党の幹事長をしていたとき以来、どなたとでもお話をしますということを言ってきた思いもございます。そしてまた、それ以降も特に制限は全くしておりません。どなたでも会見にはおいでくださいということを申し上げております。この考えは変わりません」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090324/stt0903242350013-n1.htm
これによって、民主党は、正式に記者クラブの開放を宣言したことになる。少なくとも、小沢代表の言質は取った。民主党が2002年に記者会見を開放して7年、ようやく世間にも周知されたことだろう。
とはいえ、産経新聞のウェブ版以外は、全記者クラブメディアがこの日の筆者の質問と小沢代表の回答を黙殺している。それは想定内だが、政治ジャーナリズムに不可逆の変化が訪れたことは、間違いないのである。
では、仮に、民主党政権が誕生すれば、記者クラブはどう変わるのだろうか。それには次のようなことが考えられる。
たとえば、「週刊ダイヤモンド」などの雑誌記者が、政府専用機に乗って首脳会談の取材を行なうことができ、海外メディアの記者が、官邸で行なわれる首相の会見に自由に参加することができ、筆者のようなフリーランスが連日、官房長官会見に出席し、あらゆることを質問することができる環境が整う可能性があるのだ。
会見後に話をした海外メディアの記者や特派員からは、「ありがとう」「素晴らしい質問だった」という言葉が異口同音に届けられた。雑誌記者からも「画期的なことだ」と興奮した感想が述べられた。
だが、これは画期的なことでもなんでもない。これが世界のジャーナリズムの標準なのだ。いまようやく当然のスタートラインに立とうとしているに過ぎない。
30年以上の長きにわたって、世界中のジャーナリストたちから批判されてきた日本の「記者クラブ」は、いよいよ「崩壊」目前となった。
http://diamond.jp/series/uesugi/10071/?page=3
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