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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009041702000083.html
海保巡視船建造見送り 補正予算 対海賊派遣 当面自衛艦が役割
2009年4月17日 朝刊
アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、海上保安庁の岩崎貞二長官は十六日、二〇〇九年度補正予算で、派遣可能な新たな巡視船建造の予算要求をしないことを明らかにした。海賊対策は一義的に海保とする海賊対処法案が今国会で成立しても、海保が遠洋派遣に消極的な以上、同法案は少なくとも五年間、自衛隊の海外派遣の根拠法案と同義語となる。
海保の巡視船派遣断念で政府は三月、海上自衛隊の護衛艦を海上警備行動でソマリア沖に派遣。法案成立後は根拠法を同法に切り替える。緊急項目が対象の補正予算見送りで、遠洋派遣用巡視船の新造要求は中長期的な検討項目に格下げとなった。最短で仮に一〇年度予算に要求して認められても建造に四年以上かかるため、対海賊の遠洋派遣は当面、自衛艦の役割となる。
岩崎長官は、補正予算で遠洋派遣用の巡視船整備を要求しない理由を「現に自衛艦がいる海域に派遣するための巡視船を巨費をかけて建造するのは、現時点では適切ではないと判断した」と説明する。
交代で常駐するには三隻必要だが、海保が派遣できる巡視船は現在、プルトニウム輸送船の護衛用に一九九二年に就役した「しきしま」(六、五〇〇トン)だけ。
海部俊樹内閣当時に「海上犯罪鎮圧は一義的に海保」と自衛艦派遣論を退け、八九年度補正予算など二百億円でしきしまを新造した。橋本龍太郎蔵相が、関連の旧科学技術庁予算から不足分六十億円を充てる政治的決断で筋を通したとされる。
◆対海賊派遣海保見送り 苦渋の“業務放棄”
<解説> 海上保安庁が遠洋派遣用巡視船の新造を補正予算で要求しない背景に、巡視船の老朽化問題がある。巡視船艇三百五十五隻の四割が耐用年数を超え、その解消に毎年、数百億円かかるからだ。だが、要求見送りで自衛艦遠洋派遣が定着すれば、事実上の自衛隊海外派遣の容認と内外に受け止められる。本当に議論は尽くされたのか。
遠洋派遣できる巡視船の新造費は三百五十億円という。海保はこの新造より、老朽船解消を優先する考えだが、本来業務を自衛隊に明け渡す消極性を疑問視する声は強い。
海保は派遣断念の理由に(1)遠距離(2)海賊のロケット砲(3)各国の軍対応−を挙げる。
これに対し、海保の元幹部は「ロケット砲の有効射程は五百メートル。同五千メートルの機関砲を備え、航続能力もある『しきしま』『みずほ』『やしま』の三巡視船が交代制で、五百メートル以上離れて射撃すれば対応できる」と反論する。
ソマリア海賊は人質を殺傷しなかったが、米軍に殺された仲間の報復を宣言する海賊も現れ、「流血の海」と化し始めた。海賊とソマリアの反政府イスラム勢力が結び付き、一部過激派が各国軍を敵視すると、「韓国はアフガンやイラクで十字軍(欧米)と、イスラムとの戦争に加わっている」(犯行声明)とイエメンで先月、韓国人旅行者四人が殺された事件同様、邦人旅行者らへのテロの危険性も高まる。軍対応が最善ではないことは、海保主導で沿岸国と協力したマラッカ海賊の一掃で経験済みだ。巡視船派遣断念の理由に各国の軍対応を挙げるのは、説得力に乏しい。
海上保安官は法廷で犯罪を立証するため、犯人に致命傷を与えない武器使用を徹底して訓練される。海保の別の元幹部は「軍と警察の武器使用は全く違う。蓄積がない自衛隊は現場で苦しい判断を迫られる」と語った。 (社会部・西岡聖雄)
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