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http://www.news.janjan.jp/living/0904/0904141564/1.php
夫の死の真相を明らかに!「動燃職員強制死事件控訴審」結審
ひらのゆきこ2009/04/15
1995年に福井県敦賀市の核リサイクル原発「もんじゅ」で起きたナトリウム漏れ事故で、原因調査チームの動燃職員の自殺原因をめぐって遺族が「虚偽の記者発表を強制されたため」と動燃を訴えていた裁判の控訴審が東京高裁で開かれ、弁護団が最終準備書面を提出して結審した。
4月14日、東京高裁で動燃職員強制死事件の控訴審口頭弁論が開かれ、結審しました。出席者は裁判官3名(原田敏章裁判長ほか)、控訴人(原告)側6名、被控訴人(被告)側5名、傍聴人約30名でした。
事件の経緯について
動力炉・核燃料事業団(動燃)の運営する核リサイクル原発「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、1995年12月8日、ナトリウム漏れ事故が起こり、動燃による情報隠しが問題となりました。
動燃は、事故直後に撮影したビデオを公表せず、それから14時間後に撮影したビデオを最初のビデオとして公表しました。しかも、このビデオは編集され、重大さを感じさせる部分がカットされていました。情報隠蔽問題が発覚し、現地「もんじゅ」の所長らが更迭されました。
事故隠蔽問題の内部調査チームが発足し、最初のビデオが本社にも事故直後に届けられていたことが明らかになり、12月25日に理事長に報告されました。しかし、理事長はその事実を発表せず、年が明けてから急きょ開かれた記者会見で、ビデオが本社にあることがわかったのは1月11日と発言しました。その後に行われた記者会見で、調査チームの西村成生さんは虚偽の発表をせざるをえなくなりました。
記者会見が行われた深夜未明、西村さんはホテルの駐車場で遺体となって発見されました。警察は自殺としましたが、西村さんの遺族は「死の真相を明らかにしたい」として、本訴訟を提起しました。一審では原告が敗訴しました。控訴審では、関係者の証人尋問が行われ、新たな事実が明らかとなりました。控訴審は今回で結審し、次回判決が言い渡されます。
控訴審が結審
今回の最終弁論では、弁護団が、動燃の安全配慮義務違反について、約20分にわたり、事実経過に即して主張しました。その主張の眼目は、西村さんが記者会見で虚偽の発表をしなければならなくなったのは、理事長が、本社に事故直後のビデオがあることが判明したのは12月25日なのに1月11日と発言したからであるということです。
記者会見に同席した理事や広報室長は、西村さんが事実に反する発言をしていたことを知っていたのに訂正しませんでした。単なる言い間違いなら訂正会見を行えば済むのにそれをせず、西村さん1人に責任を負わせ、組織として適切な対応をしなかったため、西村さんは追い詰められ、自殺をせざるを得ない状況に追い込まれことを、関係者の証言や行動などから具体的な事実を示して論証しました。
西村さんが作成した報告文書には、本社にビデオが持ち込まれたことが発覚したのは12月25日と明記されていました。これを消した人物がいました。西村さんの文書を訂正できる権限があったのは、上司にあたる理事長とその秘書と調査チームのチーフのいずれかです。
理事長らには結果回避義務があったとし、追い詰められた西村さんが自殺をすることが予見できた可能性があったのに自殺防止策をとっていなかったと断じました。発表について動燃が真剣に検討し、西村さんに伝えられていれば西村さんが1人で責任をとって自殺することはなかったとし、動燃の結果回避義務違反と西村さんの自殺の因果関係について明らかにしました。
西村さんには自殺以外に選択肢がなく、そのことを動燃は予見できる状況にあったとし、理事長ら動燃の幹部らが自らの責任で訂正の会見を開くことで真実を公表し、西村さんの精神的負担を軽くすることで自殺を回避することができたのであるから、動燃には予見可能性と結果回避可能性が存在し、安全配慮義務違反の責めを負うことは明らかであるとして、その責任を厳しく問い質しました。
弁護団の主張のあと、原田裁判長が「裁判を終結します。判決日は追って知らせます」と述べ、閉廷しました。
説明会
裁判のあと、説明会がありました。
弁護団より、最終準備書面を提出したとの報告がありました。最終準備書面は、約170ページに及ぶ、詳細な内容であるとのことでした。今日の裁判について、原田裁判長が真摯に聞いてくれた、との感想を語りました。
次に、原告の西村トシ子さんが裁判の感想について述べました。西村さんは、この事件は複雑な事件であると述べ、一連の事件の発端が、中川秀直氏が科技庁の長官になった直後の発言から始まっており、中川氏がマスコミ対策や国会対策を行っていたことなどに触れながら、この事件には政治的背景がある可能性について言及しました。
西村さんが亡くなった直後、中川氏が突然自宅を訪れ、西村さんの遺体を確認していったことが明らかになっていますが、トシ子さんは、西村さんの死をめぐる関係者の行動などから肌で感じる部分があると述べ、「私にしかわからないややこしい事件」との感想を述べました。
また、この事件は松本清張の世界であるとし、大きな事件に巻き込まれたとの印象を持っていると語りました。そのうえで、他殺であろうと自殺であろうと、段階をおっていかなければならない事件であり、動燃が安全義務を怠った結果、起こった事件であることを判決に書いてほしい、と述べ、控訴審判決に期待を寄せました。
筆者の感想
裁判が始まる前、裁判所の前で支援者の方が、ホテルの8階から飛び降り自殺をしたと警察は発表しているが、遺体には飛び降り自殺の痕跡がなかった、と訴えていました。また、「もんじゅ西村裁判を応援する会」のニュースには、西村さんの遺体負傷痕の分布状態を撮った写真を描写したイラストが載っており、皮下出血状態で争ったときに受けたと思われる傷や打撲のあとが見られたとの説明がありました。
本訴訟では、西村さんが自殺に追い込まれたのは、動燃が安全義務を怠ったからであるとして、安全配慮義務違反を争っていますが、西村さんの死によって「もんじゅ」の事故と情報隠蔽問題に対するマスコミの追及が終息したことを考えると、事件の背景に、なにか大きな、政治的なものがあったのではないか、との疑念が起こります。
西村トシ子さんは、夫の死の真相を明らかにするために、弁護士と一緒に、西村さんの遺体を発見した動燃の元理事の家を訪問し、聞き取りをするなど、孤軍奮闘しています。事件について、「私にしかわらない、ややこしい事件」と語るトシ子さんですが、不可解な部分を残しながらも、裁判は結審しました。
次回、判決が言渡されますが、西村さんの命を救うことができなかった動燃の責任に対する高裁の判断が期待されています。
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