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甘い蜜の罠、高速料金値下げ − 櫻井よしこブログ
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投稿者 児童小説 日時 2009 年 4 月 12 日 18:02:21: nh40l4DMIETCQ
 

櫻井よしこ ブログ! » 「 甘い蜜の罠、高速料金値下げ 」

全国の高速道路で早ければ今月下旬にも大幅な料金値下げが始まる。これから地方部で実施される値下げによって、休日の地方での高速道路は「1,000円で乗り放題」になると喧伝されている。値下げに必要な財源、年間5,000億円は、特別会計の財源で賄うことになる。

与党のこの政策は、民主党の高速道路無料化案に対抗する形で急遽編み出された。世論の反応は悪くはない。米国や欧州諸国と較べても、際立って高い高速道路料金の値下げは、それ自体嬉しいニュースであろう。しかし、目先だけ見れば嬉しい与党の政策も、民主党の無料化政策も、将来に禍根を残す誤った政策だと、宮川公男氏は警告する。

一橋大学名誉教授で統計研究会理事長の宮川氏は3月5日、有料道路研究センター代表の緒方弘道氏、元道路関係四公団民営化推進委員会事務局次長の片桐幸雄氏とともに「高速道路問題を考える会」を創設した。現在の政府及び野党の高速道路政策は誤りであり、根本から見直すべきだと、宮川氏は指摘する。

「なにがどう問題なのか。個別論の前に、私たちが問いたいのは、政府が一方的に料金引き下げを決定出来るような会社は、そもそも、民営会社といえるのかという点です」

旧国鉄は民営化され、いまJR各社に生まれ変わっている。たとえば東海道新幹線を運行するJR東海に、政府が突然、料金の大幅値下げを指示し、実施させることが出来るかといえば、無理であろう。

しかし、高速道路会社は、ほとんど抵抗せず、引き下げに応じている。経営の根幹に関わる料金体系の大幅変更が、時の政権の意向でこんなに簡単に決められることに疑問を抱くのは当たり前だ。宮川氏が続けた。

「経営方針を、会社が責任をもって決定出来ないとすれば、いま、会社が国民に約束している債務の返還も、守られる保証は一切ないのです。事実、採算がとれない高速道路建設の見直しは、すでに無視され、およそすべての高速道路が建設される見込みです。将来、必ず、膨大なツケが国民に回されてきます」


国民を欺いた民営化

先に進む前に、道路関係4公団は民営化でどんな会社に生まれ変わったか、ざっと振りかえる。まずは日本道路公団が3社に分割され、首都高速、阪神高速、本州四国連絡橋の各公団が株式会社となり、計6社になった。6社の上に「日本高速道路保有・債務返済機構」(以下「機構」)が置かれた。各社はパーキングエリアなど若干の資産を所有するが、肝心の高速道路は機構が保有し、6社は機構からリースして運営する。

各社のもうひとつの役割は、高速道路を建設するか否かを決定し、それに必要な資本を調達することだ。だが各社が建設する高速道路は、完成すると機構に所有権が移る。建設費用、つまり借金も、機構がすべて引き受ける。機構が全責任をとるのであるから、どれほど採算の合わない高速道路建設プロジェクトであっても、各社が独自の経営判断で建設を思いとどまることはない。

一方、機構は独立行政法人で、事実上、国の組織、つまり、道路局そのものだ。したがって金融機関は、どれほど採算がとれそうになくても、資金を出すだろう。こうして返済不能な借金を背負っても、最終責任のない会社は気楽である。また、会社は利益を出さなくてよいとされているために、企業としての経営努力など、期待すべくもない。この方式を「上下分離」と呼ぶ。

この名ばかりの株式会社各社は、機構に胡座をかくファミリー企業そのものだ。なんのことはない、民営化とは名前ばかりで、旧公団時代となにも変わらないのだ。道路改革をなし遂げたとして高い評価を受けた小泉首相も、民営化推進委員会委員の猪瀬直樹氏も、狡猾に国民世論を欺いたのである。

道路改革はその出発点においてこれほど間違っていた。そのことを直視しない限り、その延長線上にどんな政策を導入しても、間違いは増幅されるばかりだと、宮川氏は言っているのだ。

政府の料金値下げ策に関していえば、短期的に国民のためになるかのように見えても、小泉・猪瀬型道路改革の根本的欠陥である「上下分離方式」を変えない限り、よい結果にはつながらないのである。

既得権益は渡さない!

国土交通省道路局にはこれまで約6兆2,000億円の道路整備特別会計のカネが流れ込んできた。防衛省予算の4兆8,000億円、食料自給率を上げようと必死になっている農林水産省予算の2兆5,000億円をはるかに上回る巨額資金を、道路局一局が手にしてきたのである。この特別会計のお金を一般財源として、道路以外にも使うことが福田内閣の下で決定され、今年4月から施行される。

だが、道路官僚も道路族も、甘い蜜の味のするこの巨大利権は手放したくないと願い、ありとあらゆる骨抜きにかかっている。先述の料金値下げに必要な5,000億円は結局、税金、つまり、道路特別会計のお金で賄われるが、これは一体、何を意味するだろうか。道路で得た資金を他に回すかわりに、道路につぎ込むにすぎない。道路局のお金が、他所に回らず、道路に回る。一般財源化は、この分だけ、逆戻りするのだ。

片桐氏は、国民にあまねく利益をもたらすには、高速料金値下げより、ガソリンの暫定税率を下げるほうが余程、有効だと語る。

「政府案の高速料金値下げの恩恵を受けるのは、休日に、高速道路を、普通車で走り、しかもETCを使用するという4条件を満たす人に限られます。トラック輸送のコストが下がるわけでも、高速を使わない国民が恩恵を受けるわけでもありません。しかし、例えば、ガソリンの暫定税率を下げれば、ガソリンを使う人、業界、すべてが潤います。それによって国民負担は兆円単位で軽減されると見られています」

一部の人だけでなく、国民ほぼ全員が潤う暫定税率の見直しが、優先されてもおかしくないが、そうならないのは、道路官僚らが、「収入」を減らすことに断固、反対だからだ。道路局が支配するおカネの入りを減らすかわりに、自分たちの“持ち分”から5,000億円を出す。しかも、それは道路関連で出す。彼らの誰ひとりとして、痛痒を感じないはずだ。

既得権益は絶対に手放したくない道路局。彼らの思惑に沿って事を運ぶには、上下分離の下の道路会社はこの上なく好都合だ。自らの経営意思を持ち得ないために、機構、つまり、道路局の指示に盲従するからだ。

道路改革が上下分離というその第一歩から間違っていた点を踏まえなければ、いかなる政策も、道路に関してはよい結果など生まないと強調する宮川氏らの研究に、大いに期待するものだ。

http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2009/03/19/%e3%80%8c%e3%80%80%e7%94%98%e3%81%84%e8%9c%9c%e3%81%ae%e7%bd%a0%e3%80%81%e9%ab%98%e9%80%9f%e6%96%99%e9%87%91%e5%80%a4%e4%b8%8b%e3%81%92%e3%80%80%e3%80%8d/  

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