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2009/4/1 No.477 週刊メールジャーナル 読者数11379(前回)
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●農林中金「巨額損失」の陰で繰り広げられた農水・金融庁の暗闘
（会員制経済情報誌『現代産業情報』３月１５日号より転載）
世界的な金融市場の混乱で、多額の運用損失が発生したことを受け、農林中央
金庫は２月末、２００８年度内に総額１兆９０００億円の増資を実施すると発
表し、巨額増資に追い込まれた責任を取って、農水省ＯＢの上野博史理事長
（７０）が辞任、４月１日付で後任に河野良雄副理事長が昇格する人事を明ら
かにした。
ほぼ９年近くにわたって理事長を務めた上野氏は、農林中金内部で「天皇」と
さえ称された大物らしく、自身の引責辞任と引き換えに、金融当局からの“独
立”を守ったと、関係者の間では語られている。
海外からも「日本を代表する機関投資家」と評価される農林中金の運用資産は、
４０兆円以上。
下部組織であるＪＡバンクなどからの資金を国内外の債券や株式、証券化商品
などで運用しているが、０７年度までの３年間は、年間３０００億円以上もの
運用実績を挙げてきたものの、リーマンショックで一変。
「昨年９月段階で既に１兆５０００億円の損害が発生し、その後も拡大の一途
を続け、現在では損害額が５兆円を上回るとの指摘もあります」（関係者）と
いう惨状だった。
ここで金融庁が動いた。関係者が明かす。
「金融庁は農林中金に対し、金融安定化法を適用して資本注入する方針を固め
ていたのです。
しかし、これを察知した農林中金側は反発し、独自に財務基盤の強化に乗り出
しました。１兆９０００億円の独自増資を計画し、ＪＡ千葉などが応じたわけ
です。
こうなると、金融庁は手を出せなくなる。なぜ農林中金側は、金融庁の施策を
嫌ったか。
公的資金を入れられれば、金融庁の行政指導対象となり、農水省ＯＢによるそ
れまでの“農水王国”に、人事を含めて金融庁の支配や干渉を受ける余地をつ
くることになるからです」
農林中金の素早い独自増資の動きに、金融庁は当然その真意を見抜き、官僚と
しての感情を害したという。
関係者によると、そのリアクションとして「上野降ろし」を官邸に焚き付けた
のだという。
「巨額損失を発生させた農林中金理事会の体質を、金融庁は官邸に問題だと喧
伝し、官邸を味方につけて主導権を取り戻そうとした。
官邸も金融庁の言うことに耳を貸し、任期切れを待って上野氏を退任させるこ
とに同意したようです」（関係者）
関係者の証言によると、上野氏の後任人事も金融庁が考案し、メガバンク出身
者の名前が取り沙汰されていた。
同時に、農林中金に高リスク運用からの撤退を打ち出させる「青写真」も、金
融庁は描いていたという。
農水省の牙城である農林中金で、その最高位である理事長ポストを外圧によっ
て民間人に、しかも大手行出身者に明け渡すなど、農水官僚にとって我慢のな
らない事態であることは、容易に想像がつく。
ここで上野氏が動いた。
６月の任期切れを待たずに、自ら身を引くことによって、金融庁のシナリオを
潰そうとしたのである。
「任期切れ前の引責辞任は、金融庁にとって想定外だったようです。見事に農
水ペースで後任人事も決まってしまった。
農水の腹は、初の生え抜き組出身理事長として河野氏を後任に据え、ほとぼり
のさめた時期に、再び農水ＯＢに理事長ポストを明け渡すルートに軌道修正す
るというもの。
その頃には、金融庁にはつけ込む名分がなくなるわけですから、上野氏は見事
に金融庁の鼻を明かしたといえるでしょう」（関係者）
５兆円以上にも上るであろう巨額損失処理も陰で繰り広げられていた、農水省
と金融庁の主導権争い。
見せ物として面白いとはいえ、上野氏の“知恵”は金融庁追い落としのための
ものであって、損失の回復のものではない。
言わずもがなではあるが、その知恵の使い方は、ベクトルが違う。単なる悪知
恵に過ぎない。
●朝鮮総連内部で爆発寸前「新たなスキャンダル」とは
（同前転載）
朝鮮総連中央本部の財政局長と総務局長という２大幹部が、昨年末に相次いで
更迭・交代されていたことが判明した。
公安当局によると、この時期の中央幹部の異動は極めて異例で、その理由は鮮
明にはなっていないものの、「刑事事件にも発展しかねないスキャンダル」と
の断片情報が漏れ伝わっている。
公安当局者が語る。
「局長級の中央幹部人事は通常、４年ごとに開かれる全体会議のタイミングで
行なわれるのが慣例です。が、この二人は何の脈絡もないこの時期に突然退任
し、今は所在がつかめない状態です。
総連は退任の理由を『鬱病のため』と説明しているようですが、われわれがつ
かんだ情報は違う。
総連首脳部は地方幹部に対し、『彼らは組織の財政運営に壊滅的な打撃を与え
たからだ』と語っているということです」
首脳部が語っているという「組織の財政運営への壊滅的な打撃」とは、何を指
しているのか。
その輪郭は曖昧模糊とはしているが、情報を総合すると、財政局長と総務局長
は資金作りのため、関西を拠点にネズミ講に似たシステムの詐欺的商法に手を
染めていたらしい――というのである。
「財政、総務局長の二人は財政難の総連を助けようと詐欺的商法に手を出した
ようですが、これが表面化しそうになったことで解任されたらしい。
何しろその商法による被害者には、総連の活動家も含まれるといい、中央本部
への批判が噴出する危機に総連首脳部は見舞われた。
その手口は刑事事件として告発されてもおかしくないもののようで、告発され
れば、警察当局から中央本部の捜索を受ける可能性がある。
これを恐れたナンバー２の許宗萬責任副議長が、表面化を防ぐために二人を解
任したと見られます」（公安当局）
ナンバー２とはいえ、徐萬述議長が寝たきりの状態となり、許副議長は北朝鮮
本国から議長就任のお墨付きを得た模様だ。
「夏の臨時幹部会で正式に推挙される見通し」（公安当局者）という。
ようやくトップの椅子を手に入れる見通しのついた許副議長にとって、財政局
長と総務局長によるスキャンダルが悪夢と映ったであろうということは、想像
に難くない。
「仮に今回のスキャンダルが刑事事件化し、中央本部が捜索を受けるような事
態になれば、朝銀信組事件の二の舞となります。
この事件では、整理回収機構（ＲＣＣ）に中央本部の明け渡しを求められる事
態を誘発し、北朝鮮本国の許副議長に対する信頼は、一時失墜しました。
それを回復し、ようやく議長ポスト手中が見えてきた許副議長としては、スキ
ャンダルの再発をどうしても防ぐ必要に迫られているのです」（公安当局者）
許副議長の命運に直結する内容だけに、財政局長、総務局長の退任の真相の全
体像は、なかなか伝わってこない。
だが一方で、被害に巻き込まれた専従活動家たちの中央批判は、軽視できる程
度のものとはいえず、不満が噴出する可能性が十分あると、公安当局はみてい
る。
当面は、総連の情勢から目が離せない状態が続きそうである。
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フォローアップ:- 要するに、農林中金は外資に一兆円以上巻き上げられたということでしょう。 taked4700 2009/4/03 18:50:54
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