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2009年4月 1日 (水)
企業献金全面禁止提案が金権体質自民党を撃破
公職選挙法第235条の条文は以下の通りである。
「当選を得又は得させる目的をもつて公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者の身分、職業若しくは経歴、その者の政党その他の団体への所属、その者に係る候補者届出政党の候補者の届出、その者に係る参議院名簿届出政党等の届出又はその者に対する人若しくは政党その他の団体の推薦若しくは支持に関し虚偽の事項を公にした者は、2年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。」
千葉県知事選挙が実施された局面では、西松建設政治献金政治謀略事件などの影響もあり、有権者の間で既成政党に対する失望感が強まる空気が醸成されていた。
候補者の森田健作氏こと鈴木栄治氏が「完全無所属」を名乗り、「完全無所属」を強調したのは、「当選を得ることが目的」であったと判断して間違いないだろう。
鈴木栄治氏が「完全無所属」を名乗りながら、自民党員の党籍を選挙時に保持していたとするなら、上記公職選挙法第235条の「虚偽事項の公表罪」に該当することは間違いない。
法律は国民が条文を読み、意味を理解できなければ意味がない。上記条文を読むと、
「その者の政党その他の団体への所属、その者に係る候補者届出政党の候補者の届出」、「に関し、虚偽の事項を公にした者は、2年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。」
とある。
自民党に所属する者が、「無所属」であると公表して選挙戦を戦ったとすれば、明らかに「虚偽事項の公表」にあたると考えられる。
有権者のなかの少なからぬ人々が、森田氏が自民党籍を持たず、「完全無所属」だから投票したと考えられる。
これまで経歴を詐称して当選を無効とされた人物もいるし、学歴の記載に問題があり、議員を辞職した人もいる。
鈴木栄治氏による虚偽事項の公表罪容疑は、極めて重大であり、適正な法の運用が求められる。適正な法の運用が行われない場合には、千葉県の有権者が刑事告発することも必要だと思われる。
民主党の小沢代表秘書の逮捕は政治謀略である可能性が極めて高いが、これまでに明らかにされている事実関係からは、無罪の可能性が高いと思われる。
政治資金規正法は政治資金収支報告書に「寄付行為者」を記載することを求めていて、「資金拠出者」の記載を求めていないとのことである。この点について、大久保隆規氏の事務処理に問題は無かったのではないかと考えられる。
争点は、「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」の二つの政治団体が「まったく実体のない架空団体」であるのかどうかということになる。
実在する人物が政治団体代表者に就いており、住所があり、小規模なパーティーを何度も開催していたことが事実だとすると、「まったく実体のない架空団体」だと認定することは難しいのではないか。
森田健作氏こと鈴木栄治氏の政治団体と自民党の政党支部は同一住所にあるとのことだから、どちらか一方は「架空団体」ということにならざるを得ないのではないか。
日本国憲法が「法の下の平等」を定めているのだから、小沢氏の政治団体にだけ、他の政治団体とは別の法解釈を適用することは許されない。
テレビの討論番組などでは、与党議員などが、「小沢氏の政治団体が長期にわたり、巨額の献金を受け入れてきたことが問題である」と、政治献金の金額が多いことが「悪」であるかのような発言を示した。
献金の金額が多いことは「違法行為」ではなく、個人的な価値観を、違法性を論じる討論のなかで主張しても意味はない。
百歩譲って、献金の金額の大きさを問題にするとしても、小沢代表が集中攻撃を受ける合理的な理由は存在しない。
下記のランキングは、日本テレビ番組が3月13日に放送した番組で紹介したものである。2007年の国会議員政治資金収入金額ランキングを示している。
1中川秀直(自) 4億4955万円
2亀井静香(国) 3億7725万円
3平沼赳夫(無) 2億9512万円
4古賀 誠(自) 2億7879万円
5山田俊男(自) 2億7695万円
6松木謙公(民) 2億7695万円
7森 善朗(自) 2億7021万円
8麻生太郎(自) 2億3383万円
9鳩山邦夫(自) 2億3182万円
10鳩山由紀夫(民) 2億2194万円
となっている。
多額の政治資金を受け入れていることが「悪」だとするなら、国会議員でもっとも「悪」である議員は中川秀直議員ということになる。
また、ベストテンに入っている議員の所属政党を見ると、自民党が7名、民主党が2名、無所属が1名になる。民主党よりも自民党の方がはるかに「金権体質」が強いということになるのではないか。
上記番組が紹介したパーティー収入ランキングは以下の通り。
1中川秀直『秀政会』 3億950万円
2民主党 2億5580万円
3平沼赳夫『平沼会』 2億3599万円
パーティーでも中川秀直氏がトップに君臨している。
政党全体でみると2007年の政党本部および政党支部への献金は
自民:総額224億円
に対して
民主:総額 40億円
である。
両党の企業献金と個人献金の比率は、共同通信報道によると、
自民:個人25%、企業75%
民主:個人55%、企業45%
である。
経団連加盟企業の経団連を通じる企業献金は、
自民:29億1000万円
民主:8000万円
である。
「政治とカネ」の問題は、「企業献金」の問題と置き換えてもよいだろう。企業が巨額の献金を行うのは、企業が何らかの形で政治から見返りを求めるためである。「企業献金」には必然的に「賄賂(わいろ)性」が伴うのである。
小沢代表の政治活動が、正当な理由なく理不尽に集中攻撃を受けたが、「賄賂性」のある政治資金を一掃することを重視するのであれば、「企業献金」の廃止を検討するべきである。明確な根拠なく小沢氏だけを集中攻撃することは愚かで悪質である。
「神州の泉」主宰者の高橋博彦氏が指摘されるように、既得権益勢力はいかなる手段を講じてでも小沢代表の影響力を排除したいと考えているのだと思われる。既得権益勢力=悪徳ペンタゴンがこれほど執拗に小沢氏攻撃を展開していることを観察すれば、洞察力の鋭い国民は、本能的に小沢氏を守らなければならない理由を察知するのである。
1970年の「八幡製鉄所政治献金事件」に対する最高裁判決が政治献金を正当化する論拠とされているが、政治の主権者である国民に対して、日本国憲法は一人一票の投票権を付与しているが、企業には投票権を付与していない。
企業統治の実権は、生産の果実の配分をめぐって「労働者」と対立する立場にある「資本」が握っているのが現実である。経済力で一般国民を凌駕(りょうが)する企業に政治献金を認め、政治が巨大な資金力に誘導されるなら、国民主権の政治は成り立たない。
国民の多くが「政治とカネ」の問題を解決しようと考えるなら、「企業献金を全面禁止」することが最善の方策である。
民主党の小沢代表は不当な政治謀略に対して体を張って闘うべきであると同時に、「政治とカネ」の問題に対する国民の不信感を重視して、民主党として「政治献金全面禁止」の意思決定を誘導して、次期総選挙の最重要争点として提示するべきだと思う。
金権体質の自民党は「政治献金全面禁止」に賛成できないのではないか。
「金権体質の政治を根絶しようとしているのが与党なのか野党なのか」「企業献金の是非を問う」ことを総選挙の最重要争点のひとつに位置付けるべきだ。
次期総選挙の最重要争点をここに定めることが、卑劣な政治謀略への最も有効なリベンジにもなると思う。
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