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http://www.amakiblog.com/archives/2009/03/28/#001373
2009年03月28日
小沢政権誕生を恐れる外務官僚 ほか
2009年3月24日発行メルマガ第0114号要旨
北朝鮮ミサイル発射問題に見る日本外交の無策
―3月24日発行メルマガ第0114号要旨
私は3月14日のメルマガで北朝鮮ミサイル発射問題の深刻さについて書いた。日本が成すべき事は米国、中国と協議して、何としてでも北朝鮮に発射を思いとどまらせるべきだ、と書いた。日本の外交力がいまこそ問われている、と書いた。それから10日あまり、どうやら日本はこの最重要外交ですっかり米中に外されてしまったようだ。
北朝鮮に発射を思いとどまらすことができるかどうかは、勿論わからない。しかし少なくとも首脳レベルでの必死の外交交渉が行われなければならない。その事を一番必要としているのは日本だ。北朝鮮のミサイル発射で危険にさらされるのは日本だけだ。その日本がなす術がない。メディアもその事をまったく報道しない。
報道される事といえば、北ミサイル破壊命令を閣議を経ずして発令するとか(3月24日東京)、秋田、岩手に迎撃弾を配置する(24日朝日)とか、制裁措置を強化する国連決議をめざして奔走する、などという強硬姿勢ばかりだ。ピント外れもはなはだしい。
考えてもみるがいい。ミサイルが一端発射されてしまったらどうするつもりだ。迎撃ミサイルを撃たなければ弱腰と批判される。撃って当たれば戦争だ。撃って外れれば迎撃ミサイルが無用であるとばれる。ミサイル発射後に制裁措置を強化してみたところで後の祭りだ。
3月末に予定されていた麻生首相の訪中が中国側の都合で延期された。その一方で米中はオバマ・胡錦涛首脳会談を4月1日に行なうと発表している(3月24日毎日)。日本はと言えば斎木アジア大洋州局長レベルの会談でお茶を濁している。日本最大の外交、防衛危機に際して、外交がまったく機能していない。それどころか日米同盟が機能していない。その事に対して誰も問題にしない。メディアが指摘しない。
日本だ。
世の中の不正に異を唱え始めた官僚OBたち
―3月25日発行メルマガ第0115号要旨
サンデー毎日4月5日号の岩見隆夫の「サンデー時評」に私の目は釘付けになった。
その記事は、元最高裁判所福田博判事の新著「世襲政治家がなぜ生まれるのか? 元最高裁判事は考える」(日経BP社)を紹介しながら、福田氏が「一票の格差」問題で最高裁大法廷の多数意見に異を唱えている事を私に教えてくれた。
福田博元最高裁判事は私が仕事の上で最も深くつきあった外務官僚の先輩である。駆け出しの頃の直接の上司であり、マレーシア日本大使館公使の時は特命全権大使として文字通り直属の上司であった。
福田博氏は東大法学部を卒業して外務官僚となり、中曽根首相秘書官、条約局長、外務審議官を経て最高裁判事を10年間務めた人物である。外務次官や駐米大使にこそなれなかったが、つねに外務省の中枢のポストを歩み続けた自他共に認めるミスター外務省でであった。
その福田氏が、選挙制度の欠陥を指摘し、それを許し続ける最高裁を次のように
批判しているというのだ。
「・・・選挙区割りとか議員定数は議員立法で改正されることが多いが、改正に
かかわるのは当選した議員たちだ。そうした議員立法を最高裁判所は「国会の立法権の裁量の範囲」として認めてきた。その結果、有力議員の選挙区割りが変わる事は現実には起こらない。地盤は極めて安定し、引退する時は後継ぎとして二世、三世、四世議員がどんどん出てくる・・・世襲議員には、明らかに勉強不足、資質欠如、経験不足・・・が少なからずいます。それは、日本の進路を的確に決定できる能力のある政治家の層が薄くなっていくことに結びつく・・・」
元最高裁判事が、違憲判断を避け続けてきた最高裁を批判し、歴代の首相の殆ど
が世襲議員であるこの国の進路を憂う、これは紛れもなく驚愕の書である。日米同盟の正体を暴いた元外務官僚の孫崎享氏といい、この福田博元最高裁判事といい、官僚人生の真ん中を歩いてきた人たちが政府中枢の政策や判断を公然と批判するようになった。いままでには考えられなかった事だ。何かが変わり始めている。
ミサイル防衛は「荒唐無稽な愚挙」
―3月26日発行メルマガ第0116号要旨
私は何度でも書く。ミサイル迎撃システムという聞き慣れない言葉でも、これだけ連日に報道されるようになると、どんなに軍事に素人の国民でも、これが茶番だということに気づかされたに違いない。
「ミサイル防衛は荒唐無稽な愚挙」という表題の言葉は私の言葉ではない。月刊誌「選択」09・2月号の記事の表題である。その記事は米国の専門家や政府関係者の発言を引用しながら、ミサイル防衛システムはいまだ「実戦」には役に立たないと書いている。
そして、それを実戦に使える完全なものにする為にはさらなる開発が必要だが、費用対効果の観点からオバマ・バイデン政権は予算を優先的にまわすつもりはない、と書いている。米国に言われるままに唯々諾々とミサイル迎撃計画を進めてきた日本は、この米国の現実をよく考えろ、と書いているのだ。
その「選択」の記事の中で引用されていた専門家の一人にフィリップ・コイル三世国防情報センター上級顧問(元米国防次官補)という人物がいる。その彼が昨年3月から4月にかけて行なわれた米下院公聴会で行なった証言は驚愕的である。すなわち、国防総省ミサイル防衛局は、完成品が満たすべき要件を定めないで試行錯誤の兵器を実戦配備しているというのだ。配備しながら改良しており、日本もそのような中間品を高額で買わされながら実験につきあわされていると、次のように証言したという。
「間取り図面が絶えず変更される家を建築しているようなものである。非常に高くつく家になるし、出来上がってみると滅茶苦茶なものになっているだろう」
そのフリップ・コイル三世に産経新聞ワシントン支局長有元隆志氏がインタビューをしていた。そのインタビュー記事が3月26日の産経新聞に掲載されていた。コイル氏は言う。
「ロケットでも弾道ミサイルでも打ち上げ当初は見分けがつかない。1分後ぐらいにロケットとミサイルでは上昇角度が変わってくる・・・早期警戒衛星は発射を探知できるが、夜間や悪天候では感度は高くない。より性能の高い宇宙空間赤外線システム衛星などの配備は計画が遅れている・・・(日本のイージス艦が)迎撃するとは想像ができない。イージス艦による迎撃の問題点はミサイルの速度が遅いことだ・・・このシステムはもともとイージス艦自身やその周辺を防御するために開発されており、迎撃可能範囲は狭い・・・迎撃するには飛行するミサイルの近くにいないといけない・・・これまで14回迎撃実験を行い7回成功したが、過去6回の実験では4回は失敗だった。20回以上実験に成功しなければ、MDが効果的という事にはならない・・・発射に失敗し回転しているミサイルの一部を迎撃する実験はいまだ実現していない・・・」
要するにミサイル迎撃は役に立たないという事だ。それでも麻生首相は「破壊措置命令」を閣議決定せざるを得ない。北朝鮮がミサイルを発射したのに指をくわえて何もしないわけにはいかないからだ。ここに日本の安全保障政策の欺瞞がある。
2009年3月27日発行 第0117号
孤立する日本の対北朝鮮ミサイル外交
―3月27日発行メルマガ第0117号要旨
これを書いている今、政府は安全保障会議を開催してミサイル迎撃命令を決定している頃だろう。それが今日のニュースに仰々しく報じられることになる。
私は安全保障会議をお膳立てする内閣審議官だった(1988−90年)。その経験から、安全保障会議なるものがいかに空疎なものかを知っている。すべては官僚たちがお膳立てし、総理以下関係閣僚はそれに従って発言して終わりである。そこには何の議論も無い。
問題はそのような官僚主導のこの国の政策決定の実態だけではない。大騒ぎしているのは日本だけだという現実である。日本以外の世界のどの国も、北朝鮮が今回ミサイル実験をしたところで自国に危険が及ぶなどという事はない。だから世界は大騒ぎしないのだ。
しかし米国はそうであってもらっては困る。米国は、日本と安全保障条約を締結し、日本を守る立場にあるはずだ。日本の危機を自らの危機と受けとめて深刻に対応しなければウソである。
ところが、その米国が、言葉とは裏腹に、本気で北朝鮮のミサイル実験阻止に動こうとしていない。
ニューズウィーク日本版の3月25日号は「核の脅威」の特集号を組んでいた。そのなかで、米核戦略の専門家であるグレアム・アリソンハーバード大学教授が次のように語っている箇所があった。
「・・・ロバート・ゲーツ国防長官は最近、『テロリストが核兵器を手に入れる』ことを想像すると眠れなくなると語った・・・」
この言葉が今の米国の安全保障政策のすべてを物語っている。米国は北朝鮮の核保有を問題にしているのではない。北朝鮮の核がテロリストにわたることを問題にしているのだ。逆に言えば北朝鮮との間でテロ対策の合意ができれば、北朝鮮がどんなにならずもの国家であろうが許すのだ。リビアの例がそれを証明している。
周知のように米国の対北朝鮮核政策は猫の目のように変転してきた。クリントン政権の融和政策に懲りた米国は、6カ国協議の場を提案して共同責任で北朝鮮の核保を阻止すべく強硬姿勢をとった。北朝鮮の核保有が避けられないと見るや北朝鮮との直接交渉に変節し、北朝鮮とシリア、イランとの間の核協力を断ち切る戦略に切り替えた。
北朝鮮のミサイル危機が露呈したものは、単に日本のミサイル防衛の無力さだけではない。日本外交の無力さ、情報不足さもまた明らかにした。何よりも日米同盟関係の欺瞞を明らかにしたのである。
佐藤優が語る外務省の内幕―田中真紀子追放劇
―3月27日発行メルマガ第0118号要旨
最近の週刊誌、雑誌で、佐藤優の二つの外務省批判を見つけた。それを二回にわけて解説する。その第一回目は、発売中の週刊文春4月2月号に出ていた田中真紀子追放劇の内幕である。
田中真紀子と鈴木宗男は、外務官僚がもっとも警戒した政治家であった。使い道がなく危ない言動ばかりしていた田中真紀子外相(当時)は一日も早く排除しなければならない存在であった。田中真紀子と違って鈴木宗男は利用価値があった。人事権を振り回して恫喝したり、外交に口出しする鈴木宗男は、外務官僚にとっては恐れられる存在であったが、同時に鈴木宗男は外務省の予算獲得や権限拡充という組織防衛には役立った。鈴木宗男に取り入る不利をして出世競争に利用するという点で使い道はあった。さんざん利用した後で、邪魔になった頃に追い出せばいい。毒をもって毒を制した後に、すべての毒を排除する。これが田中真紀子追放劇の内幕であった。
週刊文春4月2日号で佐藤優が語っている以下のごとき田中真紀子追放劇は当事者である佐藤しか知らない貴重な情報である。私にとっては、ついこの間まで一緒に仕事をしていた先輩、同僚たちの卑劣な動きを思い出させてくれるドラマの再現でもある。
平成13年(2001年)5月、佐藤優は当時の事務次官である川島裕に次官室に呼ばれてこう言われたという。
「婆さん(田中真紀子)は外交には関心がない。興味があるのは、機密費問題で外務省を叩くことと、人事だけだ」
田中真紀子の事を「婆さん」と呼ぶのはいかにも川島次官らしいもの言いだ。その川島次官は同年6月に赤坂のTBS会館地下の「ざくろ」で鈴木宗男と密かに会って、「田中外相では外交ができなくなります。外務省を守ってください」と頼み込んだという。
「ざくろ」は外務省が会食でよく使う場所だ。もちろんその食事代は機密費から支払われる。
そして佐藤優は、田中外相攻撃を依頼してきた幹部がもう一人いた事を鈴木宗男から聞かされる。
「おい、佐藤さん。飯村(豊)官房長が来て、田中外相をやっつけて下さいと言うんだ・・・」
飯村官房長は私の同期の一人である。同じく私の同期である谷内正太郎や田中均と次官ポストを争った功名心の強い男である。川島次官の片腕として外務省を守る事によって自らの生き残りを図ったのだ。
田中真紀子は翌2002年1月に外相を更迭される。知りすぎた鈴木宗男が邪魔になった外務省は、今度は鈴木宗男バッシングを始める。その時の情景を佐藤は次のように再現してみせる。
「鈴木さんとの関係でキミが一番苦労しているのだから、(今度は)鈴木批判に回れ」
私にこう持ちかけてきたのは、ほかならぬ飯村氏でした・・・
いかにも飯村が言いそうな事だ。卑劣さを絵で書いたような言動だ。
佐藤優が語る外務省の内幕―小沢政権誕生を恐れる外務官僚
―3月28日発行メルマガ第0119号 全文
発売中の月刊誌「新潮45」の4月号に佐藤優でしか書けない外務官僚の困惑ぶりを見つけた。外務官僚は小沢政権の誕生に恐れおののいているという。
今年の2月末、佐藤優は全国紙(朝日新聞と思われる)の記者から次のような話を聞いた。
「自民党から民主党に政権交代があっても、外交はわれわれ専門家が行うので変化はない」
そううそぶく外務省幹部にその記者はこう言った。
「そうかな、認識がちょっと甘いんじゃないですか。鈴木宗男さんは、民主党と選挙協力をしているんですよ。民主党政権になれば、鈴木さんが外務副大臣になって戻ってくるんですよ。それが政権交代というものです」
それを聞いたとたん、その外務省幹部は震え上がったという。
この話を聞いた佐藤優は3月初旬のある夜、鈴木宗男とゆっくり話す機会があったので、鈴木宗男にその事を確かめたという。そうしたら鈴木宗男は次のように答えたというのだ。
「本気だ。3ヶ月でもいいから、俺は外務副大臣になって、徹底的に人事を行なう。無駄なカネと部局を全部カットする。俺は外務省の連中に言われるままに予算や定員をつけた。それが国益のためになると考えたからだ。しかしそれは間違いだった。その罪滅ぼしだ・・・
それよりも俺はもっと面白い事を考えている。田中真紀子先生と手を握ろうと思うんだ。そして田中先生と二人で、外務省の機密費に手をつける・・・」
佐藤優はその記事の最後にこう書いている。
「・・・機密費問題をめぐる真実や、外務省の『隠れた財布』になっている国際機関(拠出金)についての真実が表に出れば、背任や横領を構成する事案が山ほど出てくるであろう・・・」
実はその通りなのである。外務官僚がもっとも恐れている秘密なのである。外務官僚が小沢政権誕生を心底恐れるわけである。外務官僚はどんな手を使っても小沢政権誕生を阻止しようとするだろう。
おりしも小沢代表の続投をめぐって壮絶なバトルが繰り広げられている。その帰趨は、単に小沢一郎の政治生命や民主党の政権交代がかかっている問題にとどまらない。国民から隠されてきたこの国の権力犯罪が明るみにされるかどうかの瀬戸際なのである。官僚支配と国民主権の最終戦争なのである。
国際原子力機関の事務局長選挙に勝てなかった日本
ー3月28日発行メルマガ第0120号要旨
北ミサイル実験問題で大騒ぎの中で、見落とされている重大な外交失態がある。それは27日にウィーンで行なわれた国際原子力機関の事務局長選挙に日本が勝てなかった事である。
あのイラク攻撃の時、核査察を巡って重要な外交的役割を果たしたエジプトのエルバラダイ事務局長が11月に退任する。その後任を決める重要な選挙である。おりから北朝鮮やイランの核開発問題が国際政治の最大の課題として浮上してきている。このポストはますます重要な役割を担うこととなる。外務省は何としてでも手にしたかったポストである。
外務省はこの選挙に勝って権威発揚を狙うべくあらゆる方策を重ねてきたに違いない。決して有力ではない南アフリカ代表との一騎打ちとなった今回の選挙でははやくから優勢が伝えられていた。それが勝てなかったのである。これほどの失態はない。
なぜ勝てなかったのか。日本の候補者である天野之弥(ゆきや)在ウィーン日本政府代表部大使とうい外務官僚に魅力がなかったというばかりではない。日本という国が、開発途上国から先進国代表とみなされ、原子力利用をめぐる先進国と開発途上国の対立の壁を乗り越えられなかったからだ(28日読売)。
なんという情けないことだろう。唯一の被爆国として核拡散、核廃絶を訴える立場にある日本が開発途上国の支持を得られなかったのである。先進国の片棒を担いでいると警戒されたのである。
この敗北は、これまでの日本外交の正体を浮きぼりにさせた。途上国に対してはカネをばら撒いて済ませる。本気で途上国の為の外交をする気は無い。その一方で、顔は常に先進国に向いている。その中でも、最後は米国の意向を最優先する。それよりも何よりも、唯一の被爆国である日本が米国に従属するあまり、非核政策を本気になって世界に示そうとしてこなかったのである。これでは世界の信頼を得られるはずはない。
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