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http://www.news.janjan.jp/government/0903/0903159406/1.php
門真市でも「政治資金規正法」悪用し市議逮捕
さとうしゅういち2009/03/16
小沢民主党代表秘書の逮捕で、政治資金規正法が「国策捜査」の道具に使われているとして注目されています。大阪府門真市で、まさにこの法律を「拡大適用」して権力に不都合な議員を狙い撃ちした事件が起きていました。当局はこの規正法をどう乱用したのか、逮捕され有罪とされた門真市の無所属市議から直接お話を聴きました。
小沢一郎・民主党代表の秘書の逮捕により、政治資金規正法が注目されています。普通は逮捕に至らない形式犯で逮捕される異常さを指摘する声も識者から上がっています。
実は、この政治資金規正法違反を権力が拡大解釈し、権力に都合の悪い議員を逮捕してつぶそうとしたのではないか、という事件が大阪府門真市で起きています。
筆者はその逮捕された市議・戸田ひさよしさんにインタビューしました。戸田さんは「鮮烈左翼」を名乗り、「男性市議としてはHPアクセス断然日本一。HPでの選挙活動の自由を断固として主張し実践している(投票よびかけ、選挙演説!)唯一の議員」だそうです。
・戸田ひさよしの自由自在ホームページ
戸田さんのHP。地元では共産党以外で唯一の野党で、注目度NO1の議員。
■逮捕に関わらず、連続トップ当選
戸田さんは2005年12月8日、大阪府警に政治資金規正法違反の容疑で逮捕されました。
1、全日本建設運輸連帯労組関西生コン支部(連帯ユニオン関生=かんなま=支部)の有志から90万円のカンパを受け取ったこと
2、同労組近畿本部委員長として、同労組から報酬として毎月20万円を3年分、計720万円を受け取ったうち毎月10万円分、計360万円を政治献金として受け取っていたこと
この2点が、禁止されている「企業・団体から政治家への直接献金」に当たるというのです。この程度の容疑事実で、3ヶ月もの長期にわたって接見禁止のまま拘留され、06年3月にようやく保釈されました。
06年8月、大阪地裁で罰金110万円、追徴金計450万円、公民権停止2年の有罪判決を受けました。控訴審の大阪高裁は公判を1回開いたきりで、翌07年4月に地裁判決を基本的に踏襲する判決を出しました。
そして、この3月9日、最高裁も戸田さんの上告を棄却しました。本人が事務所に不在のため通知書がまだ届いていませんが、届いて効力を発すれば、公民権停止2年により戸田さんは議員を失職します。
戸田さんは地裁での有罪判決にも関わらず、07年の市議選でもトップ当選するなど、地元に根強い支持があります。
■自分の所属組合からの給料で逮捕?!
さて、容疑事実について検討します。まず、第1の90万円のカンパです。OBを民主党や社民党の地方議員として送り込んでいる労働組合は全国にごまんとあります。組合の現職幹部がカンパ帳を組合員に回してまとめ、それを議員サイドに(個人献金の合計として)渡しているわけです。それが違法として立件されたという事例は聞きません。戸田さんだけが狙い撃ちにされたわけです。
第2の、戸田さんに対する組合役員としての報酬についてはどうか? 検察側は「近畿地方本部委員長としての報酬は10万円で十分。月20万円ももらっていたうちの10万円分は政治献金だ」と決め付けました。しかし、本来、報酬は組合内部で決める話です。組合幹部として20万円が高すぎる報酬とも思えません。
会社員や会社経営者と兼務している市議など他にもたくさんいます。これらの人たちも、それぞれが属している企業から献金を受け取っていることになるのでしょうか。検察の平衡感覚はどうなっているのか? 理解に苦しみます。
しかも検察側は、報酬のうち3年分に対してしか起訴をしていません。その後も、戸田さんは市議を続けながら組合から毎月20万円の報酬を受けています。それに対して検察は再逮捕などしていません。戸田さんを(1度でよいから)つぶしたい、そのための立件だったと見られても仕方ありません。
■なぜ、戸田さんが狙い撃ちされたのか?
戸田さんだけ、言いがかりにも近い容疑で警察に狙われた原因として、市議の活動以外にも、所属する連帯ユニオン関生支部がターゲットとされたためと考えられます。
生コン労働者の組合である関生支部は、労働界でも先駆的な取り組みをしていました。生コン業界は、セメント業界(麻生首相の「株式会社麻生」など)とゼネコンという、大手企業の狭間にあって、セメント会社には高くセメントを売りつけられ、ゼネコンには買い叩かれる、という実態がありました。
労働者の境遇は、まさにタコ部屋状態でした。過当競争から、水で生コンを薄めるという手抜きも横行していました。これを改善したのが関生支部でした。すなわち、生コン業者を協同組合に組織させました。分断されずに大手企業に対する交渉力を引き上げたのです。それにより、労働者の権利も向上しました。「対大手企業」ということで、労働者と生コン事業主とが協調したのです。
これは、実はヨーロッパでは当たり前のことです。日本的な企業別組合ではなく産業別組合になっているからです。これは、大手企業や当局側にとって不都合だったことは想像に難くありません。
ある生コン会社2社が、一度は組合側の要請に応じて協同組合に入ることになりました。しかし、後に加入を撤回。組合側は2度にわたって会社を説得したのですが、これがなんと、「威力業務妨害」だとこじつけられました。大阪府警は、わざわざ会社側に被害届けを出すように迫ったたらしく、それに基づいて05年1月に武建一委員長が逮捕されてしまいました。
「会社と組合は直接的な労使関係がない。説得に行くのは妨害行為」だという司法判断が根拠になったといいます。でもそれは、「産業別組合」の存在も知らない無理解ではないでしょうか。
その「弾圧」の延長線上に、同年12月の戸田さん逮捕があったわけです。関生支部に対しては、最近でもこの2月12日、大阪府警により5人が逮捕されるという事件が起きています。
■無所属・少数派に対する差別的な制度
戸田さんは、小沢さんの秘書の問題についても、「断固として小沢さんは闘うべきだ」と述べました。強引な法解釈で逮捕された人の言葉だけに、重く感じられます。
また、戸田さんの逮捕の前後、関西では、西村真悟衆院議員や渡部完・宝塚市長、神戸市議(親子)の逮捕がありました。今回の最高裁による上告棄却決定の場合も、その前後に小沢秘書逮捕と阪上善秀・宝塚市長逮捕事件があって、「戸田も、政治腐敗のお仲間」という印象を植え付けられるタイミングだったそうです。
戸田さんは、政治資金制度について、「政党は企業献金を受け取れる上、政党交付金ももらえる。無所属だと、交付金はもちろん自分の所属する労組からのカンパ献金さえ受け取れない。無所属差別はひどい」と憤ります。
神戸市では「逮捕された議員への報酬を差し止めろ」という主張が市民派議員からも出されました。大阪府では、社民党の1人を除く賛成で(共産党は退席)「逮捕したら給料差し止め」条例が成立しています。
これについて戸田さんは「ご本人たちは、自分たちだけは絶対逮捕されないと思っているが、冤罪だったらどうする?」と疑問を呈し、「給与返上は条例で決めるのではなく、市民運動が個々のケースごとに議員や後援会に要求すべきだ」と言います。
■「議員報酬削減」「特権廃止」は本当に正しい?
戸田さんはまた、議員報酬の削減や「特権廃止」を主張する市民運動にも、異論を持っています。
「欧州では確かに、ボランティアで議員をやっている国も多いと言う。でも、今の日本でボランティアの兼業議員では、TVのコメンテーターみたいに『その場の思いつき程度のことしか言えない』議員を作るだけ。日常的な行政チェックや調査が全く出来ない議員になってしまう。『ボランティアで議員』を推奨する人は、欧州でうまく機能する土台や背景の違いを全然分析せずに語っているだけです」
戸田さん自身は、議会での歯に衣を着せない質問で有名です。共産党以外では唯一の野党議員(無所属)です。議会報告も頻繁に出しています。前述したように、06年8月の1審有罪や選挙直前の07年2月に控訴審が結審したにもかかわらず、07年4月の市議選で連続トップ当選を果たしています。
政務調査費問題についても、「(特に極少数派議員が)行政チェック・改善を果たすには、行政の実情を市民に知らせて世論づくりが不可欠。その公益を果たすには、という視点で経費の必要性を検討すべきだ」と指摘しました。
「議員特権廃止」をいう市民運動については、正しくは「議員の不当利得廃止」と言うべきことだ。憲法で保証された「不逮捕特権」や「議会内言論の免責特権」は当然必要な重要規定なのに、その違いや重さが分かっていない、とも指摘しました。
■中途半端な正義感で政治がよくなるのか?
戸田さんのお話を聞き、「権力による恣意的な弾圧がある」ことを、改めて実感しました。市民も市民です。中途半端に正義を振りかざしたり、一時の感情に流されると、かえって政治をだめにしかねないと感じました。議会を活性化させていく方法を、真剣に考えねばならないと、改めて思わされました。
参考サイト:
・連帯労働組合関西地区生コン支部
・RENTAI-UNION・連帯ユニオン 全日本建設運輸連帯労働組合 近畿地方本部
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