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http://list.jca.apc.org/public/aml/2009-March/024646.html から転載。
[AML 25218] 村岡到:小沢献金疑惑 企業献金禁止のチャンスに転化しよう
村岡到 logos at nn.iij4u.or.jp
2009年 3月 19日 (木) 15:13:50 JST
村岡到:小沢献金疑惑 企業献金禁止のチャンスに転化しよう
『プランB』第20号=4月1日刊行、に掲載予定の原文。
「ドツボ」小沢vs「どん底」麻生 史上最低の「ドロ仕合」――この週刊誌の広告の大きな宣伝文句が、うまく政局を言い当てている(『週刊文春』三月一九日号)。
来年度予算案が衆議院で通過した四日後の三月三日、民主党代表小沢一郎氏の公設秘書大久保俊規氏が政治資金規正法違反容疑で逮捕され、政局は激震している。支持率が一八%にまで落ち込んでも麻生太郎首相は退陣するつもりも解散するつもりもないようであり、自民党内から代わりを出す動きも本格化はしないし、追及すべき野党第一党の党首が政治献金疑惑で弁明に四苦八苦している。
「政治とカネ」は積年の課題である。政治資金規正法は敗戦後早くに一九四八年に制定され、七五年に全面的に改正された。その後も改正されているが、そのたびに骨抜きと抜け穴が用意され、そこを悪用されてきた。今回の小沢氏の弁明も法律の弱点に依拠したものにすぎない。また、現在、共産党を除く諸政党は政党交付金を主要な収入源にしているが、これは、一九九四年に小選挙区比例代表並立制と一緒に制定された政党助成法によって導入された(国民一人二五〇円を基準に総額を算出、二〇〇七年には総額約三一九億円)。導入の口実の一つに企業献金への依存を減らすことが上げられていたが、自民党などは「企業献金を悪とは考えない」(麻生首相)と公言し、減らそうとは努力しない。
企業献金の全面禁止――これを当面の日本政治の主要課題に設定し、その実現のために全力をつくさなくてはいけない。これが、今回の事件が私たちに突きつけた課題である。同時に、市民がより政治に関心を抱き、政治活動に参加しやすい水路を用意し、政治の質を高めることが大切である。二世議員や見識もない人気タレントが無責任に横行する政治の劣化を防がなくてはいけない(その根底には夢ある展望の提示が不可欠だ)。
個人献金をしやすくすることも喫緊の課題である。政治献金を税額控除したり、ネット献金を認めたりしなくてはならない。同時に、これらの法律が政治活動への弾圧に利用されることがないように警戒することも不可欠である。個人情報保護の観点も考慮しなくてはいけないし、少額のカンパまで禁圧することになる規制の強化には反対しなければならない。
今回の小沢政治献金疑惑の浮上は、図らずも民主党の根本的性格をはっきりさせることになった。党首の小沢氏は、周知のように自民党田中派の中枢で育ち、田中派から分裂した竹下派の七奉行の一人に数えられ、田中角栄(一九七六年のロッキード事件で逮捕された元首相)、金丸信(一九九二年に東京佐川急便事件で党副総裁を辞任)の直系であり、金権体質は骨の髄まで徹底している。地元岩手県では「小沢王国」と言われるほど建設業界との癒着が露わであった。
問題はむしろ、民主党に期待を寄せる人びと、なかでも多くの評論家や政治的発言をする者が企業献金について重要視していなかったことを反省することが肝心である。重要視するとは、問題になった時に言及するのではなく、いつも不可欠の主要課題にするという意味である。このように書く私自身がもう三〇年も政治的発言をそれなりに続けているが、「政治資金規正法」と書くのは本稿が多分はじめてである。重要視していなかったからである。企業献金問題の重要性に気づくこともなく、日本の政治について論評したり、安易に民主党に期待したり、政界再編を待望するのは大きな誤りである。この点では、「朝日新聞」の夕刊のコラムにも書かれているように「共産党はかねて企業献金も政党交付金も受け取っていない」。この点については共産党の立場と実績は正当に評価されなくてはならない。なお、政党交付金は、悪知恵の持ち主が考案した法律のゆえに、受け取り拒否された分が他の政党に追加配分される。結果的に、共産党が他の党にカンパしていることになっている。国庫に返上するように改正すべきである。あるいは共産党は一度受け取って、その全額を社会的に認知されている公共の施策・団体にカンパしたほうがよい。
説明責任を果たしていないと世論調査で七七%に疑いを抱かせた小沢党首は、一七日の記者会見で「企業献金も団体献金も全面的に禁止すべきだ」と発言した。しかし、つづけて「公共事業受注企業からの献金禁止」について「公共事業で仕分けはできない」とも語った。新聞もテレビも後の発言については批判していない(一九日の「赤旗」の関連記事も)が、とんでもない発言である。なぜなら、「公共事業受注企業からの政治献金を全面禁止します」は、民主党の選挙公約=マニフェストだったからだ。「公共事業で仕分けはできない」というのなら、この公約はまったく空語ということになる。でたらめの公約だということだ。民主党は、この公約を二〇〇三年と〇五年衆院選でも〇四年の参院選でも掲げていた。〇二年には民主、自由、共産。社民の四野党が「公共事業受注企業からの献金禁止法案」を共同で国会に提案していた(党首が小沢氏に移った〇七年参院選でこの公約を取り下げた)。どういう思惑で、小沢氏が「企業献金も団体献金も全面的に禁止すべきだ」と発言したのか分からないが、この程度のいい加減な認識では本気とは思えない。
「国策捜査」だという批判についても触れておく必要がある。「国策捜査」という言葉は、二〇〇六年の住専(住宅金融専門会社)事件の時に生まれたというが、日常的語感では、国家権力が警察・検察を使って政治的目的によって恣意的に行う悪業という意味に理解されている。西松建設の裏金問題は昨年夏から問題になっていたのだから、小沢氏とのつながりに「確証」を得た段階で、どのタイミングで「事件」にするかは検察トップで検討されていただろうし、その判断が麻生首相にも伝わっていた可能性を否定する必要はない(それが、これだけ不人気な麻生首相の「強気」を支えているのかもしれない)。その意味では「国策捜査」と言っても良いだろう。だが、そこに重点や焦点を設定するのは的外れである。何よりも企業献金の是非という根本問題から注意をそらすからである。それゆえ、「民主党叩きの国策捜査」という非難はほとんど姿を消した。付随的に生じた、漆間巌官房副長官の「オフレコ発言」――「自民党には操作は及ばない」旨の発言――が焦点となったが、きびしい譴責に値いする。
政局の行方は誰にも分からない。昨年秋から「×月解散必至」などの大見出しがくりかえし踊っているが、いつも外れている。いずれにしても総選挙は九月までに行われることは確かであり、その結果、政界再編は不可避であろう。一党だけで安定的に過半数を占めることはないだろうから、さまざま組合わせが模索されることになる。その再編の軸の主要な柱として、企業献金の全面禁止を立てなくてはならない。言行一致は大前提である。
二大政党制に幻想をいだいたり、政界再編にいたずらに期待するのではなく、個別の課題での着実な運動の展開と政策的内実を埋めることこそが必要なのである。
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AML閉鎖、残念です。小倉氏に感謝!
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