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小泉・森・中川の醜いお家騒動:上杉 隆(ジャーナリスト)
2009年3月16日(月)08:00
http://news.goo.ne.jp/article/php/politics/php-20090314-01.html?fr=rk
自民党は「高所恐怖症」
“帝国”は、自壊する。ローマ帝国しかり、江戸幕府しかり、そしていま、自民党が同じように内部崩壊の道を辿ろうとしている。
とりわけ、最大派閥の「清和研」でその傾向が顕著だ。本来、組織をまとめるはずの幹部が批判し合い、主導権を確保しようと躍起になっている。あたかも1980年代終わり、田中派の分裂前夜の様相を呈している。
「自民党は、これから高所恐怖症になっていくだろう」。前回の郵政選挙で小泉自民党が圧勝し、総裁派閥清和研がわが世の春を謳歌していたころ、加藤紘一議員がこう漏らした。「小泉チルドレン」の台頭など、あまりに勝ちすぎて高い所に上ってしまった自民党は、誰1人その下り方を知らない。これからは足が竦んだり、しがみついたりする議員が続出し、自分だけは助かろうと醜い足の引っ張り合いの結果、党内は大混乱に陥るだろうと予測したものだ。
加藤の予測は、見事に的中した。安倍、福田、麻生と政権の代わるたびに、自民党はオウンゴールを繰り返し、諦めにも似たムードが漂うようになる。安倍内閣では期待外れの結果に右往左往していた自民党議員だが、麻生内閣のいまは慣れたもので、堂々と総裁批判を繰り広げる始末だ。
自らの選んだ「総裁」を繰り返し差し替えることで延命してきた自民党だが、「高所恐怖症」を予言した加藤が主役の「加藤の乱」、その当時も党内には同じような空気が広がっていた。
2000年11月、失言続きの森首相に対して、内閣不信任案への同調を示唆するような発言をした加藤に注目が集まった。だが、このときの倒閣運動は未遂に終わる。最大の要因は「YKK」(山崎拓、加藤紘一、小泉純一郎)の一角である小泉の同調が得られなかったということだが、実際、それは当然といえば当然である。小泉はこのとき、留守の森に代わって派閥会長の任にあった。「友情と打算の産物」である「YKK」に義理立てする必要などさらさらなかったのだ。
翌2001年、森が引きずり降ろされると、清和研は同じ派閥会長の小泉を推して、以降3代の清和研政権が続く。その間、「キングメーカー」(後付けが多い)として影響力を行使してきたのが、首相の座を追われた森である。
田中派崩壊直前、元首相の田中角栄が二重権力構造と批判されながらも、少数派閥の長である中曽根康弘首相を担いで権力を維持しつづけたのと相似している。
その後の田中派の混乱、つまり派中派と批判された「創政会」の誕生などを見ると、そこに歴史の皮肉を感じるのは筆者だけだろうか。役者を代えてみれば、結局、政治権力闘争は同じような戦いの構図を繰り返しているにすぎないことに気づき、驚くばかりだ。
混乱をもたらす最大の原因
たとえばキングメーカーとして振る舞う元首相の田中と森、その政治力を駆使して派閥の主導権を奪おうとする竹下登と中川秀直、逆に派閥をありのまま維持しようとする二階堂進と町村信孝――。
あるいはまた、こんな比較も可能だ。失言続きの森首相と麻生首相、公然と反旗を翻す加藤紘一と渡辺喜美、表向きは首相を守ろうとしながらも、実際は「次」をうかがう小泉と小池百合子――。
ここに登場する政治家のほとんどは清和研所属の議員だ。つまりかつて田中派で起きたことが、現在の最大派閥である清和研でも起こっているということなのだ。
こうした最大派閥の混乱は、党全体に波及する。混乱の最大の原因は、5代に及ぶ清和研政権を作り壊してきた「首相の後見人」、森喜朗元首相だ。元首相が党内融和どころか、派閥抗争に首を突っ込み、結果、自民党全体に混乱をもたらしている。
本来ならば、元首相として日本を取り巻く厳しい国際環境の改善のために、外交などで貢献してほしいものだが、森元首相には、そうした気はさらさらないようだ。
海外では、元首相や元大統領などはその知名度と実績などから、国家への恩返しとしての貢献が期待される。米国の元大統領が、党派を問わず、外交特使として外国に飛ぶのはそのためだ。
森元首相にとっては、それはあまり好みでないらしい。代わりに眼前の内政について逐一口を挟み、悦に入っている。その振る舞いは、歴代の元首相が、基本的に「政局」には口を挟まないようにしているのと対照的である。
それに比して語り過ぎの「キングメーカー」森にパワーはない。たんに目立つ振る舞いがあるのみで、派内の若手からも公然と反論される始末だ。皮肉なことに、ほとんど口を利かない小泉が「反乱」を起こせば、それは即、大きな影響を及ぼすことになるのだ。
だがその小泉も森も、所詮清和研なのだ。中川も町村も小池も、所詮同じ派閥なのだ。外部からの攻撃に強い帝国だが、その反面、身内からの批判にはもろい。
そして、いま最大派閥の清和研が同じ道を辿ろうとしている。
(文中敬称略)
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