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http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-03-14-M_1-005-1_001.html
2009年03月14日 社説
[ソマリア海賊対策]
慣らされることの怖さ
アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で政府はきょう、海上自衛隊の護衛艦2隻を派遣する。またぞろ憲法の解釈と国際貢献のあり方をめぐり、自衛隊の海外派遣に疑問符が付く。
ソマリアの海賊被害が看過できない状況は各国とも深刻に受け止めている。ソマリア沖のアデン湾はスエズ運河に通じる重要な海上交通路で、資源確保や貿易のほとんどを海上輸送に依存する日本にとっても死活問題だ。
国連が各国へ呼びかけた軍艦派遣だが、日本は海自の護衛艦で海上警備するという、いわば警察活動を国外へも広げる手法だ。
ブッシュ前大統領による「テロとの戦い」で日本は国際貢献の名の下に陸自、空自をイラクへ出した。いまもアフガニスタンでの戦闘行動を支援するためインド洋で海上給油活動を続けている。
遠いアフリカ沖での海賊対策という海上警備が今回の任務となる。自衛隊の海外派遣はハードルをまた一段低くしたという印象を抱く。
政府は海賊対処法の成立を急ぎ、派遣根拠を切り替える予定だが、国内論議が現状を後追いする。いつものパターンか、とあきらめすらあるが、慣らされることの怖さを忘れてはいけない。
新法は武器使用について、正当防衛や緊急避難の措置に加え、海賊が制止に従わない場合に船舶を停止させる「やむを得ない」手段として発砲を認める。
重装備の海賊に果たして対抗できるだろうか。
海外メディアの現地リポートは、「海賊は難破した漁船を装い、水を求めて近づいてくる。貨物船が救難のために近づくと、カラシニコフとロケットランチャーで攻撃する」と伝えている。
現地で海賊対策に当たっている諸外国が頭を抱えている問題がある。公海上での海賊船拿捕は国連海洋法条約により認められているが、海賊を“逮捕”した後に、どの国でどう裁くかという問題があり、やむなくソマリア領域で犯人を解放するケースがあるという。
海上交通の要所で国家が無法化する事態を国際社会は想定していなかった。従来警察活動であれば、当該国の警察組織が取り締まるか、問題の海域に隣接する周辺国が対処すべきだ。
政府組織の復活が本質的な課題だろう。武装した民兵に軍事力で対抗する手段はできれば避けるべきで、海自派遣は決して長期の対策であってはならない。
ソマリアは1991年の政変後、無政府状態となった。米軍は冷戦後の新任務として国連ソマリア活動に部隊を派遣。しかし93年に殺害された米兵の死体が引きずり回される映像が世界に衝撃を与えた。
軍事力の投入がなぜ失敗したのか、情勢はいまどう変わったのか、という分析がないまま、法整備を後回しにして性急に派遣するやり方には異を唱えざるを得ない。
難しく、時間はかかるかもしれないが、政府機能を失った国を復活させる国際社会の取り組みが求められる。
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