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リベラル!! リベラリスト(自由主義者) 白川勝彦Webサイト HOME
永田町徒然草 No.1109
私は自民党の中にいる時も政治とカネの問題を重要事と考えていた。自民党は金権体質から脱却しなければいずれ国民から見放されると訴えてきた。だからこそ、自民党が田中角栄元首相に席巻され田中支配といわれていた時でも、私はこれと闘ってきた。私の国会議員生活前半の10年間は、田中支配なるモノとの戦いであった。2009年3月の時点で、「政治とカネの問題で闘うこと」と「国家権力が検察や警察を使って政敵を葬る暴挙と闘うこと」のどちらが重大事なのであろうか。 政治とカネの問題の主役はふつう政治権力を握っている与党議員である場合が多かった。野党の国会議員が政治とカネに纏わる刑事事件で起訴されたこともあるが、かなりの例外事例であった。私がいま即座に思い出せる事件は、ロッキード事件(自民党議員)・撚糸工連事件(民社党議員)・大阪砂利汚職事件(公明党議員)・秘書給与詐欺事件(社民党議員)などである。私が国家公安委員長の時に問題になったのは“オレンジ共済”事件(日本新党議員)であるが、政治とカネの問題というより単純な詐欺事件であった。 政治とカネが問われる刑事事件で、国会議員らを逮捕起訴し、裁判を追行するのは検察である。検察は刑事事件として政治とカネの問題を裁判上明らかにし、その刑事責任を問うのである。事の性格上、検察官が主役にならざるを得ない。起訴された国会議員などは、被告人として検察官と闘うのである。双方は刑事訴訟法が定める厳格な手続きに則り攻撃防御を行い、裁判所はそれをみて刑事責任の有無と刑罰を決める。報道などはこの攻撃防御の様を伝えることを使命とする。国民はそれらを通じて裁判の是非を判断する。 原理原則から言えば、こうである。こうでなければならない。これまでも検察ファッショということが問題になったこともあった。検察権力の行使の行き過ぎを指摘してのことである。しかし、国民の多くがそう思ったことは少なかったのではないか。検察は辛うじてその権威と信頼を保持してきたのではないか。ところで今回はどうだろうか。刑事事件としては、結果として適切な検察権力の行使との評価を得ることはできないであろう。おそらく小沢氏の公設第一秘書を政治資金法違反被告事件として起訴することで精一杯なのではないか。 “関係者によれば”として毎日流される疑惑はいったい誰が何のために流すのであろうか。刑事事件として断罪されべきる疑惑ならば、裁判の過程で証拠として出せば良い。それが大原則である。そもそも現在報道されているような情報を検察官が証拠として提出しようと思っても弁護人から異議が出され、刑事訴訟法によって裁判所は証拠としてそのほとんどを採用しないであろう。 小沢問題の本質は、“検察や警察を使って政敵を追い落す”という卑劣な行為なのである。問題になっている刑事事件など、ほんの口実・手段に過ぎないのである。刑事事件の捜査・逮捕・勾留・起訴は、検察の独壇場である。難しい言葉で言うと“起訴独占主義”という。わが国の法律は、検察権の行使を検察官に独占させているのである。犯罪として捜査・逮捕するのも、起訴するのもしないのも、検察官に全面的に委ねられているのだ。 いま問われているのは“検察権力を使って政敵を追い落す”という卑劣な行為なのである。従って、その行為者は検察そのものである。その卑劣な行為は、着々と成果を上げつつある。まさに現在進行中の由々しき事件なのである。口実・手段としての刑事事件など刺身のツマみたいなものである。重要なことは小沢氏の疑惑なるモノを流布することなのだ。“検察権力を使って政敵を追い落す”卑劣な行為を追及しなければならない報道機関が、“関係者によれば”ということでタダで大々的に流してくれるのであるから、“検察権力を使って政敵を追い落す”ことを企んでいる首謀者にしてみれば笑いが止まらないであろう。 小沢問題の主役は検察であり、マスコミは共犯者である。しかし、この構図を分かっていながら小沢疑惑なるモノを無批判に報道するマスコミは、共犯者であっても共謀共同正犯といって正犯と看做され、実際に犯罪行為を行った正犯よりも重く罰せられることもある。“検察権力を使って政敵を追い落す”という卑劣な行為の是非を審判するのは裁判官でも裁判員でもない。1億の国民である。追い落されようとしている政敵は、もちろん小沢一郎民主党代表である。小沢一郎という政治家に対する好き嫌いはあるだろう。私だって小沢氏は好きなタイプでない。しかし、“検察権力を使って政敵を追い落す”卑劣な行為など絶対に許すことはできない。だから、こうして闘っているのである。 それでは、また。 |
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