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(回答先: 高橋洋一東洋大教授を窃盗容疑で書類送検 − 読売 (コメントつき) 投稿者 児童小説 日時 2009 年 3 月 30 日 18:04:09)
http://facta.co.jp/blog/archives/20071102000537.html
著者の名を見て、おや、と思った人は、相当な永田町・霞が関通である。彼は小泉・安倍政権の知恵袋だった財務省出身の官僚なのだ。だからこそ、安倍政権の崩壊直前、内閣府参事官の職を事実上追われる身となった。詳しくは、安倍晋三氏と同じ山口出身である元テレビ朝日政治部長の末延吉正氏(立命館大学客員教授)の手記「我が友・安倍晋三『苦悩の350日』」(月刊現代11月号)を参照。
偶然とはいえ、その当人が一月も経たないうちに、自ら設計した「改革」の手の内を示す本を出版したのだから、これは手に取らずにはいられない。小泉・安倍政権の改革とは何だったか、凡百の駄本を読むより、当事者が書いたこの一冊を読めば、それで事足りるからである。
本の帯に竹中平蔵・慶応大学教授の推薦の弁――「今後、公的金融システムに関する分析や政策論議において、本書は間違いなく改革の基本バイブルとなる」という言葉が載っているが、当然だろう。竹中氏が立て板に水で語る政策論は、高橋氏のアイデアによるところが多いからだ。
現に10月30日、竹中氏は来年、慶応大学創立150年記念で誕生する大学院システム・デザイン・マネジメント研究科とメディア・デザイン研究科の記念シンポ(司会・村井純教授)で講演して、「政治家でなく学者として」プロモーションに励んでいたが、そこで得々と語った成長万能路線は、高橋氏のライジング・タイド(上げ潮)を見事に踏襲していた。
高橋氏とはもう15年近くの付き合いだから、ここで書評を試みたい。でも、本書は小泉・安倍政権の改革アジェンダのほとんどを網羅しているのだ。財政・財投改革、郵政民営化、特殊法人改革から金融政策論まで広すぎて小生の手に余る。そこで、最後の章の「他の政策への影響」だけに絞ろう。
まず政府資産・負債管理政策。ここにめっけものの数字がある。国の貸借対照表から浮かびあがる特別会計の「見えない資産」である。これまであるあると言われてきたが、霞が関の「隠しポケット」が、本書で裸にされている。かつて塩爺、こと塩川正十郎が言った「母屋(一般会計)でおかゆ、離れ(特別会計)ですき焼き」の実態はこれなのだ。
高橋氏のデータは、05年4月27日の経済財政諮問会議で明らかにされた数字に基づいている。これは各特別会計について、継続中の事業をのぞき新規事業を行わないという前提ではじきだした資産負債差額(清算バランス)の推計額である。
それによると、特会に隠された主な「見えない資産」、つまりプラスの清算バランスは
財政融資資金特別会計53兆円(現在価値23兆円)
国有林野事業特別会計4・5兆円(同4・5兆円)
労働保険特別会計6・5兆円(同5・1兆円)
空港整備特別会計2・3兆円(同1・9兆円)
自動車損害賠償保証事業特別会計1・2兆円(同0・7兆円)
当時の奥田委員が「こんなにあるのか」とのけぞったという数字だ。道路特別会計にもこの「見えない資産」があるのに、経財諮問会議には数字を公表しなかった。新規の道路需要がそれほど増加していないことを考えると、独自財源が余剰する可能性が高く、「見えない資産」は10兆円以上あるという。
省庁はこうした特会の隠し資産を手付かずにしておいて、一般会計から国費を繰り入れている。高橋氏の指摘では、労働保険特会は資産負債差額4・2兆円は、責任準備金8・0兆円に対し50%以上あり、保険料が高すぎるおそれがある。空港整備特会も同じだ。資産負債差額が2・3兆円もあるだけに、一般会計からの繰入額も空港使用料も「ぼったくり」の可能性があるという。
高橋氏は「離れですき焼き」は計50兆円規模とみる。民主党が知ったらほくそ笑むだろう。消費税1%引き上げで税収が1兆円の増収になるが、50兆円も「隠しポケット」に抱えていながら、一銭もたくわえを崩さずに消費税引き上げが通るはずもない。
皮肉なことに、高橋氏のこの本は消費税引き上げ論を覆す決め手になるのだ。
この書評の続きは次回に書こう。金融政策論までとても手が回らない。
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