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西松建設の裏ガネづくりと政治献金問題 同じ穴の狢の「バトル」=地検、メディアともに利用されない知恵と勇気を(JCJ)
http://www.asyura2.com/09/senkyo59/msg/796.html
投稿者 ダイナモ 日時 2009 年 3 月 07 日 12:56:02: mY9T/8MdR98ug
 

http://jcj-daily.seesaa.net/article/115210659.html#more

 与野党を超えた西松建設の政治献金問題で、3日、東京地検特捜部は民主党小沢代公設第一秘書を逮捕した。国会本会議中の逮捕劇に対しては、「国策捜査」との批判が出ている。それにしても、いったい何のための「政党助成金」制度なのか。与野党をこえた「政治とカネ」どろどろの問題にはあきれかえるばかりだ。(JCJふらっしゅ「Y記者のニュースの検証」DailyJCJ版)

 防衛省の汚職事件でも逮捕立件は前事務次官や防衛フィクサーにとどまり、政治家には及ばなかった東京地検。西松建設の悪質な裏金づくりと違法な政治献金については、どこまで政治家に迫れるのか。小沢氏周辺だけにとどまったり、逮捕だけで立件にいたらなければ、まさしく「国策捜査」との批判を浴びることになるだろう。この時期にこの問題に踏み込んだ以上、与野党超えた対象者のがん首をずらりと並べてほしいところである。
 さらにメディアはこの問題の報道について、「国策報道」と呼ばれることがないよう、目先の動きだけに浮き足立つことなく、政治資金の問題を構造的、歴史的、立体的に実像を描き出していく必要があろう。

 なお、小沢氏は4日の記者会見で、「私自身は何らやましいことはないし、私の秘書の行った行為は政治資金規正法にのっとって適法に届け出ている。私としては、それでどうこうということは考えていない」と強気の姿勢を示している。

 民主党に打撃かと報じられるなか、初めて「起死回生」のチャンスを手にした麻生首相、「総選挙、関係ない」とはき捨てて「国策捜査」を否定する発言。
 それは知らないが、今年秋までに必ず実施される総選挙は、「自民党対民主党」ではない。いまおきていること、いま注目すべきことは、自公政治対国民、その激突とその次に生まれる時代なのである。

 西松建設からの現金提供に絡んで、村井・長野県知事の元公設第1秘書で元県参事が、東京地検特捜部から聴取を受け、その後自殺した。知事は4日の一般質問で「(右近氏の)参考人聴取が事実であったとしても、直ちに私の責任が問われると思わない」(信濃毎日新聞)と述べた。西松建設関係者は、特捜部の調べに対し、知事周辺に現金を提供したと供述しているという。

 西松建設側の献金やパーティー券購入など資金提供先には、自民党の森喜朗元首相や二階俊博経済産業相、加納時男国土交通副大臣、山口俊一首相補佐官らが含まれている(→共同通信)。

 NHKニュースによると、二階経済産業大臣が会長を務める自民党・二階派は、西松建設のOBが代表を務めていた政治団体から派閥のパーティー券代として受け取った830万円余りについて「手続き的にかしはないが、道義的な観点がある」として返還することを決めたという。
 また、加納国土交通副大臣も、西松建設のOBが代表を務めていた政治団体からパーティー券代として受け取った200万円について「社会通念上、いかがなものかと感じ、返却することにした」と述べ、全額返還する考えを明らかにしている。

 こうした動きと連動しているのかどうか、共同通信は政府高官が5日、西松建設の巨額献金事件の捜査について「自民党議員に波及する可能性はないと思う」との認識を示したと報じている。記事は、「政府高官が政治家の絡む事件で捜査の見通しに言及するのは異例。捜査の中立、公正を確保する観点から批判も予想され、波紋を広げそうだ」と指摘している。そのとおりだろう。この事例で、この発言。政府のいわゆる「高官」筋の発言としては、かなり異例の部類に属する。奇妙を通り越したものといえる。問題発言というだけでなく、そのバックグラウンド、このタイミングでの発言の真意、ねらいが気になる。

 西松建設がダミーのOB政治団体を使った献金システムを作り出したのは1995年ごろとされている。それ以降、「小沢一郎民主党代表側との間で毎年2500万円前後を献金するよう調整していた」(共同通信)との報道もある。共同通信は、関係者の話として、ここ数年は年2500万円の“ノルマ”のうち、約1500万円はダミーとされる両団体から小沢代表側の3団体に分散して献金、残り約1000万円は下請け企業から第4区総支部などに献金させるようにしていたとされることを伝えている。

 ダミーの団体は、西松建設OBを代表とした新政治問題研究会(95年設立)と未来産業研究会(99年設立)だったという。新政治問題研究会(新政研)から献金を受けた自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協)や複数の政治家の政治資金収支報告書に、新政研の住所として東京都港区の西松建設本社住所が記載されていたことも5日、分かったという(同)。

 「自民党議員に波及する可能性はないと思う」と語った前述の政府高官は、(自民党議員の場合)「あの金額で違法性の認識を出すのは難しい。請求書でもあれば傍証の1つになるが、それだけで立件はないと思う」と語ったという。
 逮捕された小沢氏の公設第一秘書は、西松建設に対して陸山会から請求書を送付していたという情報(読売新聞のスクープともテレビはリアルタイムで大きく取り上げたりした)も出、東京地検特捜部は既にその「請求書を押収」 しており、「公設第一秘書は、西松建設がダミーの政治団体を使った企業献金であることを知っていた証拠とみて調べを進めているものと思われる」などの報道が、世間を揺るがしたが、その「請求書」は実はなく、秘書側から「直接要求した」という情報も出ている(→TBS)。

 実に分かりにくい。
 小沢氏の公設第一秘書は、政治資金規正法違反容疑で逮捕されている。裁判所は10日間の勾留を認めたとの情報もある。

 かなりの具体的な情報が、西松建設筋から出ているような感じだ。西松建設は「完オチ」しているといえそうだが、「政治資金規正法違反」だけであれば、「金額」の多寡の差だけで自民党筋が「返金」して助かるという状況は許されない。地検特捜部は当然それを意識して、国会本会議中のこの時期に小沢氏の公設第一秘書逮捕に踏み切ったものと考えるのが筋であろうから、となると狙いは、長年、高額にわたる「違法献金」の「見返り」の立証ということになるだろう。

 小沢代表は4日、党本部で会見を開き、「政治資金管理団体で献金を受けた。当然のことと受け止めている。これが企業献金という認識に立っていたとすれば、政党支部で受けていればなんの問題もない」と違法性の認識を否定した。
 発言を毎日新聞の 「会見詳報」でふりかえると、そのポイントは次の三点となるだろう。

1)「政治団体からの献金か、あるいは企業からの献金か、その認識の違いを根拠にし、企業からの献金を認識したうえで虚偽の記載をしたと、こういう検察のいいぶんのようであります。このような、この種の問題で、今まで逮捕、強制捜査というようなやりかたをした例はまったくなかったと思います。まさに、検察の強制捜査の、今回は普通の従来からのやりかたを超えた異常な手法であったと思っております。」

→企業献金と分かっていながら、政治団体からの献金として処理をした可能性を検察は問題にしているが、小沢氏は「この種の問題で、今まで逮捕、強制捜査というようなやりかたをした例はまったくなかった」はずと指摘。

2)「西松建設そのものからの企業献金だという認識にたっているとすれば政党支部は企業献金を受けることは許されておりますので、そういう企業献金という認識にたっていたとすれば、政党支部で受領すればなんの問題も起きなかったわけでありまして、私どもの資金管理団体の担当者はそれは政治団体からの寄付という認識のもとであったから、政治資金管理団体で受領したということであったと報告を受けて」いた。

→小沢氏は、「企業献金であれば政党支部で受領したはず、政治団体からの寄付という認識のもとで政治資金管理団体で受領していた」という事務的な話であると指摘。

3)「その献金が何らかの形で私や私の秘書が相手方に対してまして、便宜を供与したとかあるいは何らかの利益を与える行為をともなっていたということがあるとするならば、それは私は甘んじて捜査を受けます。しかしながら、私も私の秘書もまったくそういう事実はありません。従いまして、今申し上げましたように、今回の強制捜査についてはその公正さについて、納得がいかない、疑いをいだかざろうえないというのが私の現時点での認識でございます。」

→小沢氏は、便宜供与や利益供与があれば甘んじて捜査を受けるが、そういう事実はない、と断言。

 つまり、会見での小沢発言のうち、上記3番目の立証を地検はねらっている、あるいはそれを義務付けられることになるといってもいいだろう。

 東京新聞は、5日付の社説 「小沢氏の反論 問われる党の危機対応は」で、以下を指摘した。

1)小沢氏の反論は、献金が政治団体からであってその出所は関知しない、企業献金であれば自身の資金管理団体でなく法に触れない政党支部などの政治団体で受けた、としている。
2)だが、逮捕された秘書が政治団体の実体は西松建設であると認識しなかったというのはいかにも不自然だ。
3)西松と小沢氏側との深い関係が指摘される。検察の具体材料が判明するたびに小沢氏は一層詳細な説明責任を果たさねばなるまい。
4)不透明感を晴らしておくべき問題は、政治的バランスを保つ上で検察側が捜査の必要を否定していない他の実力者にもある。
5)二階俊博経済産業相のグループや森喜朗元首相ら西松側からの献金が明らかな政治家は、進んで潔白を証明するのが望ましい。小沢氏の「不公正な権力行使」批判を否定するには、それが一番の近道だ。

 上記の1)から3)は、地検と小沢氏にかかわる部分。4)、5)は、小沢氏の古巣・自民党で、小沢氏同様、いつ地検に「政治資金規正法違反」で秘書などが逮捕されてもおかしくない人々に関係する部分だ。

 冒頭でふれたように、二階経済産業大臣、加納国土交通副大臣ともに、まずは「返金」を表明したわけで、東京新聞社説のいう「進んで潔白」を証明するための第一歩というよりも、ほおかむりして遁走するための第一歩といえるのではないだろうか。そもそもが、西松建設の公共工事の受注をねらった献金、そして小沢氏の第一秘書の件も含めて、極めて「自民党的」としかいいようがないゼネコンと政治の癒着、政官業の談合・癒着構造が、依然として残っていることに憤りを感じる。

 東京地検はこの微妙な時期にあえて、この極めて「自民党的」なゼネコン汚職問題に踏み込んだ以上、徹底して膿を出し切ってほしいとおもう。長野の件も同様だ。

 多寡の差だけで、秘書逮捕とそうでない政治家がわかれ、「はい、それで以上終わり」では、「国策捜査」のそしりは免れまい。「目くそ」に「鼻くそ」を笑わせて終わるようなことが万一あれば、それこそ政治の劣化・崩壊にとどまらず、司法・検察までが独立性を失い、劣化・崩壊かと信用を落とすことになりかねない。

 それは北海道新聞5日付社説が、「西松建設の献金疑惑をめぐっては、自民党の閣僚経験者らの政治団体も献金を受けていたことが指摘されてきた。特捜部は疑惑の全容を明らかにすべきだ」と求めるとおりだろう。

 検察と真っ向対決姿勢を示した小沢氏側は、朝日新聞5日付社説が指摘するとおり、「小沢氏は退路を断った。今後の捜査で説明と矛盾する事実が明らかになれば、小沢氏の政治生命にも跳ね返ってきかねない」という状況に追い込まれている。その分だけ、地検にのしかかるプレッシャーも大きいはずだ。
 気になるのは、西松建設が「完オチ」しているらしい状況と、同社との関係が指摘されている自民党の森喜朗元首相や二階俊博経済産業相、加納時男国土交通副大臣、山口俊一首相補佐官らの「関係」だ。

 彼らは小沢氏の「自民党時代」からのゼネコン政治の実態について、相当ディープな部分まで知り尽くしているともいえる。同じ穴の狢として長年やっていたのだから当然だ。西松建設「筋」から出ている情報、あるいは献金ルートとその「要請」の件などをめぐって情報戦が繰り広げられた可能性もないとはいえないだろう。まさかこの騒ぎ、「給付金」などについて麻生政権を批判する声を押さえ込むために、自民党筋が窮地に陥った西松建設をつかって情報をリークさせ、検察を動かしメディアを動かすために仕組まれた、最後の「自民党劇場」ではあるまいな。そんな疑念も晴らしきれない、おかしな情報や動きが飛び交っている。

 日本の政治の汚点であるゼネコン汚職。「国策捜査」も「国策報道」もごめんである。
 地検もメディアも、その同じ穴の狢同士が、時代の大きな転換期に、互いを引きずり落とそうと相争う醜いバトルに巻き込まれ、知らないうちに利用されていたなどということがないよう、重々留意してかかる必要があろう。特にヒトケタ支持にまで陥り、操縦不能になっている麻生内閣。表面的な表情と異なり、自民党の断末魔のあがきは深刻の域を通り越している可能性もある。
 「給付金」が国民に対する「アメ」のつもりなら、どこかでだれかに対する「ムチ」を繰り出していておかしくないのが、21世紀にはいってからの自民党のやり方であることも忘れるわけにはいかないだろう。

(JCJふらっしゅ「Y記者のニュースの検証」 DailyJCJ版=小鷲順造)

 

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