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形式と実質、小沢民主党代表の公設秘書逮捕劇への疑問
http://www.asyura2.com/09/senkyo59/msg/663.html
投稿者 taked4700 日時 2009 年 3 月 05 日 10:08:10: 9XFNe/BiX575U
 

小沢民主党代表公設秘書逮捕についての疑問がある。今回の逮捕は、政治団体からの献金が実質的に西松建設から出たものであり、それを知って秘書の方が受け取っていたのなら政治資金規正法違反になると言うものだ。

 しかし、2000年の政治資金規正法改正で、議員個人の資金管理団体への企業献金が禁止され、政党支部ならOKとなったのに伴い、ほとんど全ての自民党議員は、自分の地元に自民党支部を作ったのだ。このことは当時、かなりマスコミに載り、自分も、記憶に残っている。多分、民主党議員も、公明党議員も同様だろう。

そうであれば、政党支部への献金も、政党支部自体が各議員個人の財布になっていれば、実質、議員個人への献金になる。そして、ほぼ全ての自民党議員は、自分の地元に政党支部を持っている。よって、こちらも政治資金規正法違反にしないと、バランスが取れないと考えるが、間違っているだろうか?

 例えば、次のような新聞記事が今でもインターネット上には残っている。

以下http://www1.atwiki.jp/dunpoo/pages/779.htmlより引用:

2005年12月23日10時29分 朝日新聞
 業界や職場を単位に設立された自民党支部が、政治家個人への献金窓口になっている実態が、04年分の政治資金収支報告書の全国集計でわかった。企業や団体から献金を受けられる政党支部は政治家の「第2の財布」と言われるが、さらに他の支部を傘下に置けば「第3の財布」を手にできる。事実上、党の看板を掲げた個人の政治団体といえ、資金の透明化と政党政治の実現を目的に企業団体献金の受け皿を絞り込んできた流れに矛盾する動きだ。

 「自民党京都府明風支部」は、伊吹文明氏(京都1区)への企業団体からの献金の受け皿となっている。

 収支報告書などによると、所在地は伊吹氏が代表を務める「自民党京都府第1選挙区支部」と同じで、会計責任者は秘書が務める。04年は企業団体から4285万円の献金を受け、伊吹氏の後援会の「明友会」に2000万円、「新京都政経会」に220万円を寄付していた。

 伊吹事務所によると、明風支部はもともと地元企業などがつくる別の名前の支部だった。00年に施行された改正政治資金規正法で資金管理団体「明風会」への企業献金が禁止されたのに伴い、名称を変更した。

以上引用終わり

また、次のような記事もある。

以下http://members.at.infoseek.co.jp/netplane/kenkinhuhai.htmlより引用:

薬局企業関連から献金
―関連業界政治団体から受け取らないはずが…―
―親族が代表取締役 4年間で252万円―
(『しんぶん赤旗』H16.8.5)

 公明党の坂口力厚生労働相の親族が代表取締役を務める調剤薬局チェーン会社と関係企業から、同相の政党支部や後援会に2002年までの4年間で計252万9千円が献金されていたことがわかりました。厚生行政にかかわる企業から多額献金をうけていたわけで、厚労大臣在任中は関連業界政治団体から献金を受け取らないとした自身の国会答弁からみてもその姿勢が問われます。
 献金している企業は調剤薬局チェーン「メディカル一光」(津市)。坂口厚労相の異母弟の南野利久氏が代表取締役を務めています。
 政治資金収支報告書によると、同社は坂口氏が代表の公明党衆議院比例区東海第2総支部と「坂口力後援会」に、4年間で計72万9千円を献金していました。同じく南野氏が代表だった株式会社「オリエンタルコーポレーション」(同)も2002年、180万円を献金しています。
 また、医療法人「永仁会」からも坂口氏に4年間で488万円の献金がありました。永仁会は民間の信用調査によるとメディカル一光社との取引関係があり、同支部の政治資金収支報告書で、メディカル一光社、オリエンタル社と同一の所在地として記載されています(坂口事務所は「誤記載」と説明)。
 坂口力後援会と東海第2総支部は、津市内のメディカル一光社所有ビルに置かれていました。同ビルの1階には永仁会も入居。入り口には永仁会や外国語学校などが看板を出しており、坂口事務所の看板もビルの側面にありました。
 メディカル一光社の株主には後発医薬品メーカー大手の沢井製薬(大阪市)の名前も。
 坂口厚労相はかつて2001年11月の衆院厚生労働委員会で、医師会、医師連盟からの献金受け取りを自粛すべきではないかと問われ、「その通りだと思う」「政治連盟からの献金は、この大臣に就任中はどんな形であれ受けない」と表明しました。この答弁の趣旨からいえば、関連企業献金も自粛するはずですが、同議員事務所は本紙に「業界団体(からの献金)ではなく、昔からのつきあい。不適切とは思っていない。メディカル一光のビルには賃貸契約を結んで入っている」と答えました。
 また、同相は、日本歯科医師連盟、三重県歯科医師連盟から、2002年に130万円(60万円を返還と表明)のパーティー券代を受け取っています。坂口事務所は「パーティー券で、献金にあたらず、答弁と矛盾しない」としています。
 医療法人や調剤薬局などの医薬業界の収入はおもに、税金と健康保険料を原資とする医療保険財政でまかなわれています。

以上引用終わり

更には、次のように小泉元首相についての記事もある。ただし、これはマスコミに載ったかどうかは不明。ただ、「国内月刊誌に掲載済み」とうたっている。
以下http://wwwc.dcns.ne.jp/~rieu/koizumi.htmlから引用:

《宰相小泉の政治資金報告を解析する》                      

 宰相小泉純一郎に政治資金を納入する個人、業者はまさに多彩だ。町会議員なみのその獲得手法には呆然とさせられる。むろん、大企業本体からの献金も当然あるはずだが、業界関連政治団体をとうしての迂回の背後に大半の社名はみごとに隠されている。わずかに月島機械などの名があがるだけだ。集めた資金の政治活動、組織活動での使途も細目は一切不明だ。 党改革を唱える内閣首班の個人的政治資金報告の内容ですら、このありさまである。日本の民主主義の先行きには依然、暗澹とせざるをえない。

 さすがに又二郎以降、三代続いた衆議院議員の家系だけのことはある。小泉純一郎の政治資金処理は、そつのなさを伺わせる。献金した個別企業の名称も、むろん大半は不明だ。政治活動、組織活動への具体的使途もどうよう。といって、所詮は政党助成法(政党交付金の根拠法)、政治資金規正法のまさにザル法たるゆえんを、小泉の実姉、実弟、義弟、ヴェテラン秘書がたくみに利用しているだけのことに過ぎぬが。とまれ、この事実一つをとっても、小泉の首相としての鼎の軽重は問われるはずだ。

《政治資金総額は年間一億五〇〇〇万円?》

 小泉純一郎を代表とする政治資金団体は二団体ある。《東泉会》と《自民党神奈川県第一一選挙区支部》だ。前者の二〇〇三年度(二〇〇四年は未公表)収入総額は約五五八四万円。後者は約三九八三万円であり総計九五六七万円。このほかに、自民党本部からの政治活動費(小泉については数年来の平均は三〇〇〇万円程度)もあり、勤続二五年を超えた国会議員としての上乗せをふくめた文書通信交通費が一五六〇万円、立法事務費七八〇万円がある。小泉の政治活動費は公式数字だけでも、少なくとも年一億五〇〇〇万円を超すと推定できる。といって、自民党の領袖としては、必ずしも高額ではあるまい。

 政治資金規正法は政治家に、その政治家が代表となっている政治団体のいずれかを本人用の政治資金管理団体、つまり完全に個人用の資金として指定できるよう規定しているが、小泉のばあい、この《東泉会》がそうだ。それにもかかわらず、《東泉会》は企業献金を対象としていない。個人献金と政治団体(さまざまな業界が政治資金配布のために設立し、総務省に届け出ている政治団体。政治資金規正法上では政党、政治資金団体以外の政治団体とされる)からの献金、そしてパーティー収入の受け皿だ。他方、《自由民主党神奈川県第一一支部》は形式的には党支部だが、小泉が代表、義弟が事務担当。実態は小泉個人の政治団体であり、事務所も《東泉会》と同一である。この組織は、企業献金、自民党本部からの配布金の受け皿で、個人献金、政治団体からの献金はとるにたらない。小泉がなぜこのような分割措置を講じているかは後述する。

 《東泉会》の会計責任者は小泉の実姉で政策秘書として登録されている小泉信子。首相政務秘書官、三〇年来の小泉の政治秘書飯島勲が事務を担当し、事務所は神奈川県横須賀市の小泉の広壮な自宅におかれている。

 各年度で収入のばらつきがあるので、小泉が首相に就任した二〇〇一年(暦年)以降の三年間(二〇〇四年度、つまり昨年分は未公表)をみると、総収入は一億六一〇六万円。年間平均五〇〇〇万円程度で、自民党領袖の政治資金管理団体としては、驚くほど小額だ。つまり、小泉が政治資金獲得能力を駆使し、自らの派閥を運営しつつ、派閥間の合従連衡で政権をとるという存在から程遠い事実がここにも窺える。資金面での森派の運営に関しても依然、基本的に森喜朗ほかに依存しており、それだけに国会議員レヴェルでの党内基盤が弱いのも当然だろう。畢竟、政権の維持には党内下部の気配を絶えずうかがいつつ、個人的人気の再生産に依拠することを余儀なくされている。靖国問題でのあの固陋さの背景にも、自民党内最大団体の一つ恩政連(軍人恩給受給者による政治団体、同一七万人)日本遺族政治連盟(自民党党員数一四万人)の存在がある。大衆的人気を喪えば、政権が確実に崩壊する事実を何よりも当人が認識しているはずだ。

 もっとも小泉の、総選挙での得票率は、七〇%を超えている、もとより、地元政界への資金面でのてこ入れ強化も不要だ。この面では陣笠政治家と異なり集金能力を気にせずにすむ。

 さて、上述のように、企業献金の欠落が《東泉会》の特徴となっているが、首相就任三年目の二〇〇三年をみても、収入構成は、個人献金(二九・九%)、政治団体献金(二四・二%)、パーティー(収入四五%)のみである。それ以外に収入はない。

 政治団体からの献金をみよう。かつて厚生大臣を二度経験(一九八八年竹下内閣、一九九六年第二次橋本内閣)、党の医療基本問題調査会長もつとめただけに、財務省の子飼と評されつつも、この首相は森派の源流岸派以来の脈々たる流れをうけつぐ厚生族の主要人物でもある。 

《東泉会》への献金団体もそれを反映し、中心は厚生利権関連。健康保険政治連盟四〇〇万円、日本薬業政治連盟三〇〇万円、製薬産業政治連盟四〇〇万円、横須賀医師連盟五〇万円などがおもで、年によっては、日本医師会関連の日本医師連盟、日本病院会政治連盟などの高額の献金が加わる。健康保険政治連盟(健康保険問題で医師会に対峙する健保連の政治団体)は継続的に献金しているが、日本医師会、歯科医師会関連は二〇〇一年以降計上されていない。

 パーティー関連収入では、小泉の組織する福泉会モーニング・セミナーが七回開催され、収益は一七七八万円(一回につき二一六万円から三二二万円)。その懇親会が七八二万円で、計二五六〇万円。かかった経費は五三三万三九一九円だから利益は大きい。むろんこれらの会場は、あの堤義明の経営する西部グループの赤坂プリンス・ホテルだ。小泉は首相就任後二五〇回以上そこを利用したとの報道も記憶に新しい。

 堤義明と森派とのつながりは数一〇年来で、森派の前身、福田派(小泉は当初福田赳夫秘書)愛用の料亭は、西部グループの弁慶橋清水だったし、かつて福田派が堤義明に参院選立候補を慫慂したこともある。また、首相就任以前は、赤坂プリンス・ホテルでのパーティー開催は実質的に無料だった。手口は簡単で《東泉会》が発行していた機関誌《泉》へのプリンス・ホテルの広告掲載だ。この小雑誌の広告収入は年一四〇〇万円万から二四〇〇万円程度で、他社は申し訳程度の小広告だが、プリンス・ホテルは全面広告。この広告費の相当部分がプリンス・ホテルに由来していたのは自明だ。国会で問題視されるのを慮ってか、さすがに首相就任後はこの雑誌の発行を自粛している。

《東泉会》への個人献金者は一五〇万円から六万円まで二九名程度。五万円以下の献金については、献金者の名はあきらかにならない。ここでも小泉の実利的性格が如実にあらわれている。

 例をあげよう。二〇〇三年末に死去するまで、積年来、《東泉会》に毎月六万円づつ献金している弁理士がいた。小泉との関係は謎とされていたが、実は今回の明輪スキャンダルにからんだ内外特許事務所の所長である。

 明輪スキャンダルについては、読者も記憶に新しいと思う。小泉の飯島秘書が二〇〇〇年に、廃棄タイヤ処理業明輪の渋谷吉久社長に長男の就職斡旋を依頼した。同社長はみずからが、理事長をつとめる日本資源再生事業振興協同組合にこの長男を事務局長代理として採用。今度は、この社長が飯島秘書に廃タイヤ処理に関わるプラント事業への補助金獲得の支援を依頼。二〇〇二年七月にNEDO(新エネルギー・産業技術開発機構)から一億八〇〇万円の補助金を獲得、そして、この社長は、《東泉会》に、同年一〇〇万円、翌年五〇万円を献金。

 この補助金獲得にあたりまず明輪は、特許を申請したが、その手続きを担当したのが、上記の弁理士だ。顧客紹介の便宜をはかったのだから、その謝礼をとでもいう、政治献金だろうか。

 都内千代田区にSという印刷会社がある。小泉が代表をつとめる前述の《自民党神奈川県第一一支部》はこの企業に、選挙ポスター、演説会看板、ビラ、名刺そのほかの印刷を二百万円弱程度発注し、その経営者Sも《東泉会》に三〇万円を献金している。山一証券の清算に関係した女性弁護士も一〇万円を献金しているがこれも業務斡旋に関連するのだろうか。

 上記の産廃関連、弁理士、印刷業者、弁護士以外にも、葬祭業者、砕石業者、神奈川県川崎市内のある自民党支部長、川崎市のタクシー業界関連者のそれぞれ一〇〇万円、などがめにつく。また小口では、料理屋の経営者、カイロプラクティック経営者、税理士などの一〇万円から三〇万円の献金。実にこまめに集めているのには驚かされるが、これらもなんらかの便宜の供与が動機になっているのだろうか。疑問をいだかずにはいられない。

 小泉家の女婿、小泉純一郎の父小泉純也は、戦後中道政党だった改進党(三木―河本―海部−高村派の源流)から立候補したが、岸信介の右派政党日本再建連盟の推薦もうけ初当選している。要するにイデオロギーなどどうでもよいわけで、こうした実利的感覚を息子純一郎も政治資金獲得面では発揮しているようだ。

 個人献金者には、本人名義で《東泉会》に献金、経営する企業名義で《自民党神奈川県第一一選挙区支部》に献金という例も少なくない。たとえば米穀業者ムラセの経営者が一〇〇万円、田中石材土木業者の経営者が五〇万円といったぐあいだ。

《多額の経常費用、それ以外の使途は皆目不明》

《東泉会》の同時期の総支出は一億八四四〇万二〇〇〇円。年平均六〇〇〇万円程度だ。支出が収入を上回るが以前からの繰越金七九五二万九〇〇〇円があるから、残高一五五四万六〇〇〇円の黒字である。

 総支出のうち経常経費つまり人件費、消耗品費、事務所費などが二五一二万円と総額の四三%を占めている。奇異なのは小泉の自宅を使用しているのに事務所費三四二万六一九八円を計上している事実だ。しかも、それならば当然あるはずの光熱水費は零だ。小泉は自宅の一部を《東泉会》の事務室として貸し家賃収入をえつつ、光熱水費は提供しているのだろうか。

 総支出で経常経費につぐのが寄付二二〇三万円で、支出総額の三七%。そのほとんどは小泉の実弟が主催する政治団体《小泉純一郎同志会》に流れている。ついで前出のパーティ開催費が五三三万三〇一九円(九%)。さらに、調査研究費を四〇八万八八〇〇円(七%)計上しているが、使途詳細はもとより不明だ。

 要するに小泉がその資金管理団体に指定している《東泉会》の主要機能は小泉の実弟の主宰する政治団体への資金移転で、わずか七%を調査研究費名目で支出しているに過ぎない。

《小泉純一郎同志会》もいかにも奇妙な政治団体である。すでに述べたが代表および会計責任者は小泉の実弟小泉正也。事務担当は鍋倉正樹、つまり小泉の義弟にして第一公設秘書だ。所在地は、横須賀市役所から一〇〇メートル程度国道一六号線にも隣接するコンクリート打ちはなしの瀟洒なビルの三階。《自民党神奈川県第一一支部》と同一である。

 二〇〇三年度の実質収入総額一九〇二万四〇〇〇円のうち、《東泉会》からの移転が一九〇〇万円。つまり資金面では完璧に《東泉会》依存し、経常費用が支出の大半を占めている。この経常費の内容は小泉正也の報酬と思われる人件費九二四万円(四九・六%)がおもで、ほかは自民党神奈川県第一一支部と同居しながら事務所費を五〇五万円(二六・五%)計上している。経常費以外では一応組織活動費一〇〇万八七〇五円(五%)、調査研究費一七八万円(九%)をあげてはいるが、使途の内容は一切不明だ。

「実質的には、あの組織は、東泉会の一部門なんですよ……」と地元政界の関係者は説明する。「……正也さんは兄貴のかわりに冠婚葬祭その他に顔を出したり、地元のさまざまな要請を容れたり、仲介するのが仕事のようなもの。人件費はおそらく、彼の給料でしょう。組織活動費というのは、ベンツのガソリン代とか、香典・祝儀じゃないんかね。何を調査研究しているかはわからんが、調査研究費の使途も似たようなものではないかな。」《東泉会》と《小泉純一郎同志会》の支出内容を連結してみよう。人件費(二八六六万円)の四八・五%はじめ経常費(四〇九六万円)だけで総支出の六九%。パーティー開催(五三三万円)が九・九%。これだけで七八・九%を占めている。

 つまり八割が組織維持と政治資金獲得の原資であり、残りを調査研究費(五八六万円)九・九%と組織活動費(一〇〇万八〇〇〇円)五・九%に分けているだけだ。反復するが、それらの使途は、一切不明で、小泉自身国会で、「政治資金規正法上、記載の必要がない」と答弁している。

 驚かされるのは、政治家でありながら過去五年にわたり選挙費用をゼロ申告している事実だ。これではこの《東泉会》たるや、三年間で、一億六〇〇〇万円もの政治資金を集めながら、単に小泉の実姉、実弟、義弟に金を流す組織とみられてもおかしくはあるまい。もっとも、政治資金規正法上、人件費、事務所費などへの支出は領収書の提出を必要としない。したがって小泉の計上している人件費、事務所費の支出内容の真偽のほども不明である。

《自民党神奈川県第一一選挙区支部》

 自民党は神奈川県でもおびただしい支部を組織している。一八の衆議院各選挙区、参議院各選挙区ばかりか自治体関連議会レヴェル、つまり市町村支部にしても大都市では区単位に組織され、さらに歯科医師会、自動車販売、自動車流通、ガソリンスタンド、タクシー業界など各業界を網羅している。医療、薬剤師、税理士、はじめ理容業、ビルメンテナンスにいたるまでさまざまな業界団体の組織する政治資金団体にせよ、たとえ看護婦(看護連盟支部)、郵便局長(大樹支部)のような党支部を組織していなくても、政治資金の面では、実質的に自民党支部としてさしつかえない。ちなみに昨年の総裁選時、神奈川県の党員数は五万三六八三人に達していた。

 小泉が代表をつとめる《自民党神奈川第一一選挙区支部》は党支部とはいえ党費収入は皆無。事務担当は《小泉純一郎同志会》と同じく、小泉の義弟かつ公設第一議員秘書の鍋倉正樹だ。

 この支部が小泉が総理に就任した二〇〇一年以降3年間で獲得した政治資金は、実質で九七五四万円、そのうち自民党本部からの交付金(6400万円)が六六%を占め、企業献金(二四〇〇万円)が二九%。個人献金、政治団体は二%にもみたない(各一八五万円、と一九五万円)。このところ、パーティー収入は計上されていない。要するに、自民党本部と企業献金に特化している組織だ。

「小泉にしても政治献金全部を個人の政治資金管理団体に集中させたいのは、やまやまだろう。だが、本部からの交付金をそこに入れれば、地元選出の県会議員も、市会議員も黙ってはいまい。……」と地元政界関係者は説明する。「またある企業がそこに献金したとしよう。すぐ、あの企業は小泉系列と認識され、大企業なら、自民党の他派閥から嫌がらせをうけかねないし、株主も不満をいだきかねない。自民党支部への献金なら、まだ形がつく。それでやむなく法人は、党支部経由でとしているわけだ。もっとも、政府や自治体から補助金をうけている企業、赤字企業は政治献金を禁止されている。献金はその企業の関係者の個人名義でやるしかない。」

 要するに企業献金を党支部にというのはやむをえずそうしているだけでほかの政治家同様、小泉にしても、党総裁とはいえ口座が二つ必要なわけだ。

 党支部への個人献金は、それゆえこの数年で数名程度にすぎず、前出の石材土木業の経営者が五〇万円(二〇〇二年)、互助会方式の葬儀屋からはじめた冠婚葬祭業者の五〇万円(二〇〇三年)といったところが主だ。

 企業献金は、この石材土木業者の関連企業の〇二年度、〇三年度の二五〇万円。月島機械の〇一年度一二〇万円、〇三年度一〇〇万円などが目につく。どういうわけか、食品関連業者の献金も多い。冷凍海老や、鮮魚の輸入・流通業者海老正(本社東京)、鶏卵生産大手のイセ食品(本社東京)、米穀・食品販売のむらせ(本社横須賀)が〇三年度に一〇〇万円ずつ。ムラセは三浦半島内部の小中高校の学校給食市場にくいこんでいるようだから、あるいはこれら業者のための小泉事務所の口利きでもあったのだろうか。とまれ一〇〇万円を超す企業献金は、以上のみ。小泉の実弟正也、義弟鍋倉正樹が経営し、秘書の飯島勲が監査役をつとめていたコンステレーション社のスキャンダルに関連した日立金属の名前は出ていない。

 支出総額は二九五三万円である。例に漏れずここでも人件費(総額の二四・九%)はじめ、経常経費(一八四七万五二九六円)が六二・九%を占める。以下宣伝事業費(ポスター、ちらしなどの印刷)(三七八万八五四七円)一二・九%。これはいうまでもなく、〇三年秋の選挙運動関連支出で、それについては、党支部の会計ですませるのが小泉の手法のようである。使途があきらかなのは、ここまでである。調査研究費(三六五万八二〇〇円)一二・四%、組織活動費(三四三万一〇六〇円)一一・六%とつづくが、組織活動費はもとより、調査研究費にしても横浜市戸塚のワイ・エス・ティーなる企業への移転(二〇〇万円)以外は使途不明だ。このワイ・エス・ティーは、世論調査をうけもつとのことだが、実態は不明だ。

 《東泉会》、そしてこの支部といい、こんなものが自民党の改革を唱える党総裁の政治資金報告とあっては、党改革というその主張はまさに空虚に映る。自民党をつぶせというならば、何よりもまず、自己の内部の自民党的体質、とりもなおさず金権体質をつぶすことが前提となろう。小泉の政治資金報告は、そうした主張の空虚さをみごとに物語るものに他ならない。

《党本部からは三〇〇〇万円の活動費》

 小泉の政治資金には、このほかにも自民党の政治資金団体《国民政治協会》からの政治活動費名目での直接の支給のあることは上述した。《国民政治協会》は周知のように、政府予算からの政党交付金、個人献金、企業献金、さまざまな政治団体からの献金の受け皿で、二〇〇三年の総収入は三九億八〇〇〇万円。約半分が政党交付金だ。この《国民政治協会》関連の政治資金の流れについては、たえずマスコミが報道しているので細部には触れない。しかし、注意しなければならないのは大企業が業界の政治団体、そしてこの《国民政治協会》を迂回させて、特定政治家への迂回献金に利用している実態である。そうした献金があると、党本部が二〇%を控除し、二ヶ月ごとに清算した残額がその議員にわたる。しかし、一旦濾過されており、単に党本部からの交付金となり献金企業の名は浮かび上がらない。小泉については、もとよりどの大企業がどれだけの資金を提供しているかは不明だが、「いずれ、厚生利権か大蔵利権関連」と地元政界での衆目は一致している。

 《国民政治協会》が二〇〇三年度に政策活動費を支給した主な政治家は、安倍晋三(七億六五〇〇万円、当時の党幹事長、森派)、山崎拓(七億二八〇〇万円、当時党副総裁、山崎派)、額賀福志郎(二億一五六〇万円、当時党政調会長、橋本派)などで小泉は上位一〇指にもはいらない。これは総選挙という特殊状況の結果で、それらのほとんどは選挙活動に使われたものと推定される。ばらつきを排除するために、それ以前の三年間を平均すると政策活動費の小泉への支給は、三〇〇〇万円程度。これは森派の資金管理や選挙活動にまわされている公算が大きい。一応、森喜朗の総理時代に森派つまり清和政策研究会の会長を務めた人物である。小泉とて、この派閥の運営に資金を投入しないわけにはゆくまい。しかし、小泉の資金管理団体には少なくとも表面上は、森派への上納金支出の形跡がない。

 これらのほかにも、飲食費の企業へのつけまわしも、考慮にいれるべきかもしれない。自民党有力政治家の料亭での飲食費を企業が肩代わりするのは一般化しているからだ。しかし、小泉について、この面でのスポンサーは大平正芳にとっての古河電工ほどめだつ存在はない。
とまれ、その政治資金を見る限り、小泉はなんら変人でもない。単に老練な保守政治家に過ぎぬとすべきだろう。(二〇〇五年七月公表済み)
 

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