政権交代する前に取るものは取る。ヒラリーさんのキツイ笑顔外交――『辻元清美の永田町航海記73』(週刊金曜日2009.2.27号) 二月二二日、地元高槻市内のある自治会の文化祭に伺った。俳句を出展していた女性たちは「もう限界。政治を変えて。恥ずかしい」と口々に。中川昭一前財務相の醜態に怒り呆れているのはもちろん、「今頃出てきて何を言ってるの」と小泉批判も多い。 先週号で「久々に小泉節」と持ち上げるマスコミや、この期におよんでも小泉人気の幻想に恐れをなしている議員たちに懸念を表明したが、庶民は「健全」や。ちゃんと見てはる。 それにしても、安倍晋三元総理しかり中川前財務相しかり。「愛国心」「規律ある教育」「美しい国」「改憲、改憲」と旗を振ってきた仲良しグループ。麻生太郎総理もこの手の人だ。「愛国心」を振り回す人が、総理大臣の仕事を放り出したり、酩酊会見をしたり。率先して日本に「恥」をかかせている。「国家」を声高に叫んで「国家」にすがりたい人たちの正体見たり。「国家・国民のため」と連発すれば何かした気になって、「国民」が見えなくなっているのでは。 空虚な政権が空回りしている間に、またしてもアメリカにまんまとやられている。ヒラリー・クリントン米国務長官がキツイ笑顔を振りまいてやって来た。先行きの怪しい麻生総理をオバマ大統領が最初の外国首脳として迎えるという。「日米関係重視の現れ」と喜ぶ人たちのなんと鈍感なことよ。フラフラ政権だからヒラリーは来た。体をなさない政権だから一番最初に迎え入れると私は読んでいる。 二四日のワシントンでの日米首脳会談に先立ち、一七日中曾根弘文外相とクリントン国務長官の間で、在日米軍のグアム移転に関する「グアム協定」を唐突に署名。これで米海兵隊のグアム移転に伴う日本の負担五四〇〇億円が決められたも同然。しかも米軍の基地関連建設のためにも日本の国民の税金を使うという中身で大問題だ。金づるだけは確保というアメリカの意図が見え見え。これからもオバマ政権はなりふりかまわず日本に要求を突きつけてくる可能性大。 アメリカにも言うことは言う野党が政権を取ると踏んでいるのだろう。そうなると日本に無理をねじ込めない。無理=マネー。麻生酩酊政権なら、オバマ人気のおこぼれ頂戴で支持率上げたい一心から何でもガブ飲みしそう。だから、野党が政権を取る前に色々約束させてしまえ、とアメリカは外交を仕掛けてきているようだ。「世界一位と二位の経済大国が話し合うんだ」なんて麻生総理の豪語は、あまりにも無邪気。足元を見られているだけ。 「飛んで火にいる夏の虫」の麻生総理はワシントンへ。現政権は経済だけでなく外交も仕切る資格を失っている。 すべての元凶は選挙回避につきる。とにかく、解散・総選挙に追い込むことが、日本再生のスタートラインだ。明日二三日は予算委員会で与謝野馨大臣と中曾根大臣との論戦に立つ。新大阪の駅でこの原稿を書き終えたら東京へ向かう。
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