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日本経済が谷底へ転落した。内閣府が2月16日に発表した昨年10−12月期の実質GDP(国内総生産)の速報値は、前期比の年率換算でマイナス12.7%だった。 輸出が前期比13.9%と過去最大の減少を記録したほか、個人消費や企業の設備投資も振るわなかった。 アメリカ発の金融危機・世界不況は、各国の経済に甚大な損害を与えている。たとえば昨年10−12月期のGDPをみると、アメリカは3.8%、ドイツは8.5%、フランスは4.8%、イギリスも6%の、いずれもマイナス成長に落ち込んでいる。 ○数字上は日本が最も厳しい だが日本の転落ぶりは、これら欧米諸国よりもはるかに深い。この数字から見るかぎり、日本の不況は世界で最も厳しいことになる。与謝野経済財政相は「戦後最大の危機だ」とコメントしたが、担当大臣がこんな評論家みたいな発言をしている場合ではあるまい。 事態はGDPの実額をみると、もっとよく分かる。昨年10−12月期の実質GDPは、年率で約540兆3900億円。1年前の07年10−12月期に比べると、26兆円以上も減少した。日本経済は02年初めから07年末にかけて景気の回復を続けたが、この間のGDP増加額は65兆円あまり。その3分の1 以上が、この1年間で失われたことになる。 さらに重大なのは、ことしの1−3月期も続けて2ケタの落ち込みになると予測されていることである。仮にそうなったら、国民の財産はさらに蝕まれ、失業や倒産の増加を招く。しかも世界のなかで、日本は経済が最も弱々しい国という評価が定着してしまう危険性さえはらんでいる。 日本の経済が悪化したのは、国際的な金融バブルが崩壊したためで避けがたいことではあった。しかしサブプライム事件の影響が軽微だった日本経済を、世界で最も深刻な不況国に転落させた犯人は、日本の“政治”だと断定せざるをえない。 アメリカでは先週、いろいろ問題はあるにしても金融安定化策がまとまった。またオバマ大統領は17日、総額7870億ドル(約72兆5000億円)の景気対策法案に署名する。ヨーロッパ諸国も、近く追加の景気対策を成立させる見通しだ。 ○日本は与野党ともに前進努力が見えない 日本の状況は全くひどい。景気対策としての財政支出は、まだ1円たりとも実行されていない。2008年度の第2次補正予算は、予算そのものは成立したが支出関連法案が宙に浮いたままである。これでは2ケタのマイナス成長が2四半期続くのも、むしろ当然だ。 政府・与党は「ねじれ国会で仕方がない」と弁解するかもしれない。だが与党は野党の言い分に耳を貸さない。オバマ民主党は上下両院で優勢な議員数を確保しながら、共和党に対して大きく譲歩した。政権が誕生して1か月もたたないのに、実質的に大きく前進できたのはこのためである。 日本の民主党も政権欲に走りすぎて、国民のことを忘れてしまったかのようだ。もう少し妥協することによって、景気を早く回復させようといった意欲が全く感じられない。こんな党利党略ばかりでいると、有権者もしらけてしまうだろう。 自民党は2ケタのマイナス成長に驚き、09年度の追加補正を考え始めたという。だが、やることがとにかく遅すぎる。もっと経済の動きを早くから察知し、野党に協力を呼びかけてほしい。対策の立案段階から、与野党で協議を始めたらどうか。 とにかく三流の政治が、経済も三流に引きずり降ろすことだけは止めてもらいたい。新聞もこの点については、もっと批判すべきではないのか。 |
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