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横浜事件
2009/02/21
反省は判決でこそ示して
第二次大戦中に起きた最大の言論弾圧事件とされる横浜事件。その四度目の再審請求に基づく裁判の初公判が横浜地裁であった。
遺族らが無罪を主張したのに対し、検察側は裁判を打ち切る免訴を求めて結審、判決は三月下旬に言い渡される。
裁判長が訴訟記録の紛失を挙げ、当時の司法の責任に触れた点は評価したい。ただ地裁が昨年秋に再審を始めると決めた際、それまでの判決が認めた元被告に不利な事実を疑問視していたことも忘れないでほしい。
三度目の再審請求を受けた判決で免訴が確定しているから今回も同じというのでは、重ねて裁判をやり直した意味がない。過去の司法に過ちがあったとすれば、それと今どう向き合うのか。判決で反省の姿勢をはっきり示すべきではないか。開かれた、信頼に足る司法の姿をぜひみせてほしい。
横浜事件では、共産党再建の謀議にかかわったとして大勢の編集者らが治安維持法違反の疑いで逮捕・起訴され、短期間のうちに有罪判決を受けた。取り調べの過程で死亡する者も出た。
初公判で元被告の遺族や弁護側は、事件は捏造(ねつぞう)されたとの主張に基づいて真相の解明を訴えた。一方、検察は有罪の根拠となった法律が廃止されたなどとして、元被告の罪を問わず裁判そのものを終わりにする免訴を求めた。
事件をめぐる裁判は、最初の再審請求から二十五年近くになる。四年前に初めて再審の訴えがかなった裁判では、昨年春に最高裁で免訴が確定した。だから今度も免訴との見方がなされているが、長年元被告の無罪を訴え続けてきた遺族の心情を考えれば、罪の有無を判断しないような、あやふやな裁判の終わり方が繰り返されていいとは思えない。
遺族の一人は、元被告が訴えたかったのは個人の名誉回復よりむしろ事件がでっち上げられた背景の究明にあったと話している。かつての司法がそれに加担していたとすれば、最も必要な信頼の礎が大きく揺らぐことになる。それでも地裁には来月の判決に向けて裁判をやり直すと決めた時の理由を思い起こしてもらいたい。
初公判で裁判長は、当時の裁判記録の大半がなくなっていることについて、裁判所が不都合な事実を隠そうとした可能性が高いと述べたが、再審決定時には被告を有罪とした手続きが拙速だったとも批判している。さらに共産主義の宣伝とみなされた社会評論家の論文には指摘されるような点はうかがえず、編集者らの会合を謀議とする見方にも否定的だった。
司法すらが戦争遂行に一丸となった時代の波に押し流されていたのではないか。横浜事件は司法のありようを問い掛けている。再審判決の意義は、そうした疑念にどこまで真剣に相対するか、だ。
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