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2009年2月20日 (金)
「かんぽの宿」不正払下げを証明する固定資産評価
2月19日の衆議院財務金融委員会で、「かんぽの宿疑惑」に関連して、また新しい重要事実が明らかにされた。
この点に関連する重要事実は、すでに2月16日の衆議院財務金融委員会で明らかにされていた。
本ブログ2月17日付記事「「かんぽの宿」不正売却の新事実判明」に、「ラフレさいたま」の日本郵政評価額と固定資産評価基準額が明らかにされたことを記述した。
民主党の松野頼久議員の執拗な追及により、日本郵政がようやく「ラフレさいたま」の日本郵政評価額と固定資産税評価額を明らかにしたのである。
日本郵政の寺崎執行役は「ラフレさいたま」の評価金額について、
日本郵政評価額 15億6700万円
固定資産税評価基準額 85億3700万円
であることを明らかにした。
松野頼久議員が日本郵政に対して資料提出を求め、日本郵政がオリックス不動産に一括売却することを内定した全国79施設および世田谷レクセンターの日本郵政評価額および固定資産税評価基準額に関するデータを提出した。
2月19日の委員会では、民主党の川内博史議員が質問に立った。質疑によって、世田谷レクセンタープラス79施設の数値が明らかにされた。
日本郵政評価額 185億円
固定資産税評価基準額 910億円
不動産の場合、一般に不動産時価が固定資産税評価基準額の1.3倍から1.5倍程度であることが多いのではないかとの発言が鳩山総務相からあった。日本郵政がオリックス不動産に一括売却しようとしていた80施設の固定資産税評価基準額が910億円もあることが明らかにされたのだ。
世田谷レクセンターを除いても、109億円での売却は間違いなく「不当廉売」である。
日本郵政は物件の不動産鑑定を実施する際に、鑑定物件を「ホテル業を営む施設」として評価を委嘱したことを明らかにした。
川内氏は、「かんぽの宿」は日本郵政株式会社法上、「加入者福祉施設」と位置付けられており、「ホテル業」としての不動産評価額鑑定は間違っていると指摘した。
これまで繰り返し指摘してきたように、「かんぽの宿」は「加入者福祉施設」であるために、料金体系が低水準に抑制されてきた。稼働率は70%に達しており、リゾート宿泊施設としては非常に高い稼働率を実現してきている。
「赤字」の大きな原因が「減価償却費」にあるのではないかと指摘してきたが、山崎行太郎氏がブログで、日本郵政公社元常務理事の稲村公望氏の説明を紹介している。
稲村氏はすでに週刊誌でも実名告発しているが、「日本郵政公社時代に、会計基準見直しで減価償却期間を60年から25年に短縮したため、帳簿上、年度ごとの赤字額が増大」したのだという。
資産価格が大幅に圧縮されてしまえば、新たに施設を購入した事業者の減価償却費は大幅に減少することになる。財務データの詳細を確認する必要があるが、「年間40億円の赤字」を鵜呑みにすることはできない。実体上の赤字は驚くほど小さい可能性がある。
日本郵政はこれまで、「事業の巨額赤字」と「雇用の維持」が低価格売却の理由であると主張し続けてきた。「3200人の雇用維持」と「事業の継続」が大きな重荷になり、入札辞退者が続出したと説明してきた。
日本経済新聞を筆頭に、日本郵政サイドの説明を強調する人々が依然として存在する。これらの人々は、皆が類似した説明を示しており、何らかの利害を共有する勢力であると判断される。
これらの人々の説明に説得力があれば別だが、いずれのケースも事実誤認がはなはだしく、日本郵政サイドの公式説明をなぞらえているだけに過ぎない。
国民新党の亀井亜紀子議員は、「ラフレさいたま」の正規職員数がたったの5人であることをブログに記述されている。
「雇用の維持」、「事業の継続」が強調されてきたが、オリックス不動産の場合、「雇用維持義務の期間」は1年、「転売規制」は2年しか付けられていなかった。この条件が入札への参加を希望した事業者によって異なっていたことも明るみに出始めており、すべてが「でたらめ」との印象が強い。
本当に3200人の雇用維持が義務付けられていたのか、また、雇用条件の見直しも認められていなかったのか、詳細な事実を明らかにする必要がある。
日本郵政公社は2007年3月に「かんぽの宿」などの売却を実施している。これまでに廃止や売却した施設の場合、雇用維持をどのようにクリアしたのかの検証も必要だ。
「かんぽの宿」は、老人福祉施設に改装して利用することも可能である。現に1万円で売却された鳥取県岩美町の「かんぽの宿」は老人福祉施設として再利用されている。
固定資産税評価額が800−900億円の施設を100億円で売却することを正当化する理屈は存在しない。過去の政府保有資産が安値売却されたことを安値売却の正当性の根拠とする見解が存在するが、これは、過去の事例が正当なのではなく、過去の事例においても、「不当廉売」、「不正廉売」が横行していたことを意味するだけである。
「雇用維持条件」と「転売規制」を明確に定めて、「一般競争入札」を実施していれば、そもそも問題は発生していない。そのような透明性の高い一般競争入札を実施していれば、6億−7億円などの法外な手数料も発生しない。
また、米国投資銀行ベア・スターンズ社の経営危機が表面化して、米国の金融危機が本格的な危機に突入したのは昨年3月である。米国の金融危機が世界に波及するなかで、売却期限である2012年まで4年もの時間的猶予のある「かんぽの宿」売却が性急に強行されたことも理解しがたい。
「ラフレさいたま」だけで100億円程度の不動産時価が得られ、首都圏9箇所の社宅土地の時価評価が47億円である。これらを含む全国70の「かんぽの宿」と社宅9箇所の合計が109億円で売却されることを、無理やり正当化しようとする発言者は、そのことをもって、私は公正な発言者でないと判断する。
小泉竹中一家に括られる人々やマスメディアが懸命に、この、まったく説得力を持たない主張を訴えるが、この奇怪極まる主張を展開する人々は、何らかの形で小泉竹中一家=外資勢力とつながりを持つとしか判断できない。
2月18日の衆議院予算委員会で、公明党の大口善徳議員が質問に立ち、さらに新たな事実が発覚した。
「かんぽの宿」の売却契約が進んでいた08年10月末から12月下旬にかけて、日本郵政が地上デジタル放送に対応した液晶テレビ3447台や超低温冷凍庫など、合計3億5千万円分を購入していたことが明らかになった。
竹中平蔵氏は自著のなかで、「民営化」について次のように述べている。
「辞書によると、民営化とは、「民間の経営に任せること」とある。文字通り郵政民営化とは、郵政の経営を民間に任せることであり、政府はそれが可能なように、また効率的に行われるように枠組みを作ることである。これで、西川氏に、経営のすべて、民営化のすべてが委ねられることになった。」
(『構造改革の真実』239ページ、太字は植草による)
2007年10月1日に正式発足した日本郵政株式会社社長に西川善文氏が就いた。竹中氏は、これ以後は、日本郵政のすべてを西川氏の采配で決定できると勘違いしたのだろう。竹中氏と西川氏が通じていれば、竹中氏の意向を日本郵政の経営に反映させることも出来る。
竹中氏は1月19日の産経新聞に投稿した稚拙な反論のなかで、
「そもそも民営化とは、民間の判断に任せることであり、経営判断の問題に政治が口出しすること、しかも機会費用の概念を理解しない政治家が介入することは、根本的に誤っている。」
と記述したが、この判断が根本的に誤っている。
日本郵政株式を100%政府が保有している間は、日本郵政は「民間会社」ではなく、「国営会社」なのだ。「国営会社」である以上、資産売却等に対する国民と国会、行政による監視が不可欠である。
日本郵政の巨大事業、資産売却に対する国会、行政、国民の監視を制度的に保証する制度改正が不可欠だ。「郵政民営化見直し」は「郵政民営化法」第19条が定めている「法定事項」である。「郵政民営化見直し」に強烈に反対する小泉元首相などは、「郵政民営化法」に対する基礎知識を欠いていると考えられる。法律を勉強し直す必要があると思われる。
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