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小沢氏秘書逮捕をどう見るか(ビデオニュース・ドットコム)
http://www.asyura2.com/09/senkyo59/msg/1093.html
投稿者 外野 日時 2009 年 3 月 11 日 08:25:55: XZP4hFjFHTtWY
 


http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20090310-01-0901.html

小沢氏秘書逮捕をどう見るか
2009年3月10日 ビデオニュース・ドットコム

ニュースコメンタリー(2009年03月07日)

 民主党の小沢代表の秘書が逮捕された事件について、マスメディア上でさまざまなリーク情報が飛び交う中、最も基本的な、政治資金規正法の虚偽記載の構成要件とはどのようなもので、今回の事件は果たして本当にそれが適用可能な事案なのかなどを、神保哲生・宮台真司両キャスターが元検事の郷原信郎氏のインタビューを交えて考えた。
 
 
神保(ジャーナリスト): 小沢代表、民主党の立場としては、すべて報告しているしまったく身に覚えがないと。特に、鳩山氏は「国策捜査」、民主党が政権をとるチャンスをつぶすために、検察という権力を使って陥れるという陰謀論だとまで言っている。
 例によって、小沢氏の秘書逮捕の翌日から新聞の1面には、「関係者によると」などとして、お約束のリーク情報がさっそく乱れ飛び始めている。その主なものは、小沢氏の秘書が西松と直接やりとりをしていたというものが多い。
 普通の人がこれを見れば、「やはりそうだったのか」などと思ってしまい、逮捕は当然と考えるようになるだろう。しかし、政治資金規正法では、このような場合は、仮におカネを出しているのが西松だとわかっていても、政治団体名で寄付を受けたのであれば、政治団体名を届けることになっている。
 以前、受け取った寄付を報告書に記載をしなかった政治家が逮捕されたことはあったが、今回は、政治団体名で記載をして報告している。今のところの容疑としては、資金源が西松建設だと知りながら、政治団体名で記載をしたから虚偽報告だということだが、どうもそれでは政治資金規正法には違反したと言えないようだ。
 むしろ犯罪の構成要件とは必ずしも関係の無い情報を検察がしきりとリークしているところを見ると、検察自身がこの山には意外と不安を抱いているのではないかという気もしてくる。
 
宮台(社会学者): まず、二つ区別をしておきたい。国策捜査だという民主党幹部のリアクションは必ずしも賢明ではなかったと思う。日本のメディアやメディアに対する警察や検察のリークがどのような世論を作るのかは、十分に予想ができる。その際に、頭ごなしに国策だという言い方をすれば、大反発が生じるのは必然だ。そのため、小沢代表の対応には問題があったと思う。
 それとは別に、この件は政治資金規正法を適用できるのか。政治資金規正法は、事実上のダミー団体のようなものを通じて、一つの資金源からお金を回せるという抜け穴があることは以前から言われてきたことだ。このような抜け穴があることは、もちろん問題だ。
 
神保: しかし、これはずっと言われていたことで、あえてその穴を残したのは自民党だ。実際に多くの政治家がその穴をフルに活用している。いまさら何を言っているのかという感じもする。
 
宮台: この抜け穴を利用して多くの議員が集金をしているという事実があるので、このことを小沢代表についてだけ特殊に責めれば、法の下の平等に反した行政の扱いとなるので、当然問題にするべきことだ。
 
神保: 政治資金規正法を適用できるかについて整理したい。政治資金規正法は、政治資金の流れを透明にすることを目的とした法律だ。献金をすることでダムの受注を取ったのではないかという話が出ているが、政治資金規正法は収賄罪とは違う。直接的な因果関係があって謝礼関係があれば収賄罪に当たるが、今回はあくまでも政治資金規正法での逮捕だ。別件逮捕で、後から収賄が出てくるというのならば話は別だが、今のところそういう話にはなっていない。
 そうすると、秘書がダミーの政治団体から受け取ったということだが、郷原さんのインタビューに当てはめて考えると、ダミーとは全く実体がない団体のことを指す。しかし、政治団体は法人登記もしていないので、何があれば実体があることになるのかも、会社などとは違って、よくわからない。
 
宮台: ダミーの政治団体からの献金であるかどうかについて、受領する側の認識があるかどうかは事実上証明できない。だから、いわゆるダミーであっても合法性は揺らがないという抜け穴を意図的に作っているわけだ。
 
神保: 経団連でさえ政治団体経由で自民党に献金をしている。ダミーの政治団体とは何を意味するのか。献金をするためだけの政治団体は、政治団体としての実体が無いことになるのか。
 また、実体がないだけでは政治資金規正法を適用できない。実体がないことを秘書が知っていたことが、物的に証明できるとしたときに初めて、ぎりぎりで政治資金規正法の不実記載にあたるだろうという話だ。適用するには相当にハードルは高そうだ。
 さらに、政治資金規正法違反の場合は、訂正すればいいという場合が多いので、仮に罪に問われたとしてもせいぜいちょっとした罰金くらいだろう。はっきり言ってしまえば微罪だ。選挙前のこの時期に最大野党の党首の公設秘書を微罪で引っ張るとは、検察も思い切ったことをしたものだ。もしくは、何かまだ他に大きな山があるとしか、思えない。
 
宮台: 佐藤優氏が言っているような意味での国策、政治的な目的をベースにして検察が動くことは度々ある。あるいは、特捜はそもそもそういうふうにして動くということはよく知られていることなので、今回も政治的な目的に従ったものだというふうに考えてみるべきかもしれない。
 
神保: 検察も権力なので、われわれは疑ってみる必要はある。疑うことによって今後の捜査に注目し、納得できるものが出てきたならば、政治的目的があったと考えたのは取り越し苦労だったと思えば良いし、やはりおかしいという話になれば、何らかの政治的手当が必要になるだろう。


http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20090306-01-0901.html

理解に苦しむこの時期の小沢氏秘書の逮捕 元検事・郷原信郎氏インタビュー
2009年3月6日 ビデオニュース・ドットコム

インタビューズ(2009年03月06日)

 西松建設からの政治献金の虚偽記載容疑で民主党の小沢一郎代表の秘書が逮捕された事件について、検察OBで桐蔭横浜大学法科大学院教授の郷原信郎氏は、政治団体を経由した献金に対して政治資金規正法の虚偽記載を適用することは非常に難しいとの見通しを示した。
 長崎地検の検事時代に自ら政治資金規正法がらみの捜査に携わった経験を持つ郷原氏は、そもそも政治資金規正法は必ずしも実質的な資金の提供者を寄付者として記載することを要求していないことを指摘する。「実際は西松建設がお金を出していることが分かっていても、政治団体から寄付を受けたのであれば、政治資金収支報告書には政治団体の名前を記載しても違反にはならない。政治団体がなんら実態の無いダミー団体で、しかも寄付を受け取った側がその事実を明確に把握していたことが立証されない限り、政治資金規正法違反とは言えないが、実態の無い政治団体はたくさんある。」郷原氏はそう語り、選挙を控えて政治的な影響の大きなこの時期に、あえて野党党首の公設秘書の逮捕にまで踏み切った検察の意図に疑問を呈した。
 
 
神保: 小沢氏の秘書の逮捕をどう見るか。
 
郷原: この事件が本当に政治資金規正法に違反するのか、いくつか問題になる点があると思う。第一に、寄付をした人・団体・企業というのは、何をもって認定するのかという点だ。一般の人には、寄付者というのは資金を出した人が寄付者だと思われているかもしれないが、政治資金規制法では資金の拠出者は必ずしも寄付者とは限らない。寄付という概念は、あくまで自分で政治家や政治団体にお金を渡したり振り込んだりするという行為の主体、これが寄付者だ。それをもし誰かからお金を借りてやっているとか、誰かからお金をもらってやっているということであったとしても、そういう資金の拠出者を寄付者として書くということは、政治資金規正法は要求していない。
 
神保: つまり実体として誰が出したかでは無くて、その実際にお金を寄付するという行為を書けばいいということか。
 
郷原: そうだ。今回の場合、仮に西松建設からお金が出ていたとしても、その寄付の名義になっている政治団体が寄付行為者であれば政治資金規正法の虚偽記載にはならない。ただ問題は、その政治団体というのが全くのダミーで実在しない、存在しないペーパーのようなもので実質的な寄付者自体が西松建設であるのに、それを政治団体と記載したということだと、これは記載が違っている虚偽記載だということになる。
 問題はそう言えるかどうか。その政治団体に実体があるのかどうかというところが最大の問題になる。
 
神保: まだ実体はわからないが、会社であればペーパーカンパニーというのは、会社が本当に営業しているかどうかとか、事務所があるのかどうか等で、ある程度判断できるかもしれないが、政治団体に実体があるかどうかは何によって決まるのか、よく分からないところがある。例えば、色々な人からお金を集めて献金するためだけに政治団体を作っていても、政治団体としては実体があると言えなくもない気がする。
 政治資金規正法等で、政治団体について何がダミーで何が実体と言えるかの判断基準はあるのか。
 
郷原: 政治資金規正法上、届けられている政治団体というのはものすごい数がある。何万とあると思う。その中には実体があるのか無いのか、微妙なものが相当あると思う。企業のように企業として活動・事業活動が行われているとか社員が常勤しているとか役員がいるということが政治団体の実在の要件ではなく、政治団体に会則とか規約があって、何らかの政治団体としての活動があって、そして会計も独立しているということがあればダミーではなく、政治団体として実在していると一応言える。そういうものが全く無いペーパー政治団体のようなものであれば、これはダミーということになるが、政治団体の場合、実在しているという要件はかなり緩いと考えていい。
 
神保: 今日(09年3月5日)あたりの報道では、逮捕された被疑者が西松建設と直接取引きをしていて、お金が西松建設からきたものであることを分かっていたということがしきりに指摘されている。ただ、今のお話では、お金の大本が西松建設から来ていたかどうかはこの法律では問題ではない、ダミーであれば駄目だというお話だった。これはダミーを使って寄付した場合、寄付した側が違法であるということは分かるが、貰った側は相手がダミーかどうかはわからない場合もあるだろう。だとすると、受け取った側もその団体がダミーであることを知っていなければいけないはずだ。小沢氏の秘書が、政治団体がダミーであることを知っていたことを証明するためには、どんな証拠が必要になるか。
 
郷原: これは実在していない政治団体であるというのをはっきり書いてある文書で書いてあるのを見たとか、そういう説明を受けているということであれば認識ははっきりするが、ダミーであることの認識を立証するのはそう簡単なことではないと思う。

プロフィール

郷原 信郎 ごうはら のぶお
(桐蔭横浜大学法科大学院教授兼コンプライアンス研究センター長)
1955年島根県生まれ。1977年東京大学理学部卒業。三井鉱山勤務を経て、1980年司法試験合格。1983年検事任官。公正取引委員会事務局審査部付検事、東京地検検事、広島地検特別刑事部長、法務省法務総合研究所研究官、長崎地検次席検事、東京地検検事(八王子支部副部長)などを経て2003年より現職。著書に「思考停止社会〜「遵守」に蝕まれる日本」、「「法令遵守」が日本を滅ぼす」など。

神保 哲生 じんぼう てつお
(ビデオニュース・ドットコム代表/ビデオジャーナリスト)
コロンビア大学ジャーナリズム大学院修了。AP通信社記者を経て99年『ビデオニュース・ドットコム』を設立。著書に『ツバル-温暖化に沈む国』、『地雷リポート』など。専門は地球環境問題と国際政治。05年より立命館大学産業社会学部教授を兼務。
 
宮台 真司 みやだい しんじ
(首都大学東京教授/社会学者)
東京大学大学院博士課程修了。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授を経て現職。専門は社会システム論。博士論文は『権力の予期理論』。著書に『制服少女たちの選択』、『14歳からの社会学』、『<世界>はそもそもデタラメである』など。

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 民主党が参議院で、小沢民主党代表や逮捕された秘書をめぐる報道に「検察当局のリーク(情報漏出)は目に余り、世論操作が行われている」として、検事総長の証人喚問を考えたいと言っている。
 それに対し与党自民党は、「発言自体が司法捜査に対する政治圧力」、「検察官の独立性とか公正性の保持という観点から考えると問題がある」などと反発しているらしい。

 自民党の言い分はもっともな正論のように聞こえるが、たとえば一介の市民が逮捕され、裁判で有罪かどうかも確定していないのに、有罪に持っていこうとしている検察の言い分を、しかもその言い文に対する責任を誰もとらない形でマスコミが世の中にバラ蒔いたとしたら(というか、常日頃現におこなわれているものだ)、それでもその一介の市民は泣き寝入りしなければならないのだろうか。
 政治家といえども一人の市民であり、そういう目に見えぬ「暴力」に対しては、納得のいく説明を求める権利が──いわゆる人権があるはずである。

 今の世界的な金融危機の例をあげるまでもないことだが、世の中の事象は複雑な糸をたどり全体を形成している。
 遠いところでのイザコザと軽く見ているうちに、それは思いもよらない形で自分にも返ってくるかもしれないとも思う。
 

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