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2009年3月10日 (火)
徹底追及「郵政民営化・かんぽの宿の闇を暴く」
3月5日、阿佐ヶ谷のロフトAで『かんぽの宿と郵政民営化の闇』と題するトーク・ライブが行われた。社会民主党の保坂展人議員が主催され、国民新党の長谷川憲正議員と私がトークゲストとして招かれた。貴重な会合にお招きいただいたことに対して、この場を借りて感謝申し上げたい。
会場は満員の盛況で、この問題に関する関心の高さを改めて知った。社会民主党Official Webに「徹底追及郵政民営化・かんぽの宿」のタイトルで、この会の模様を掲載してくださっているので、ぜひご高覧賜りたい。また、同サイトでは拙著『知られざる真実−勾留地にて−』も紹介くださっている。重ねて感謝申し上げる。
ライブ・トークでは、国民新党の長谷川憲正議員が同日午後の衆議院予算委員会で「かんぽの宿」問題を追及された直後であり、臨場感あふれるお話をうかがうことが出来た。
すでに本ブログで第一報をお伝えしたが、「日録(不定期)」様が当日の模様を早々にブログにアップしてくださった。また、「チラシの裏」様、「ヒロさん日記」様がトーク・ライブについて、大変ありがたい記事を掲載くださった。心よりお礼申し上げたい。身に余る温かなお言葉を賜り心から感謝申し上げます。
また、「YAMACHANの@飛騨民主ブル新聞」様、「社民党 京都府 副主席 野崎靖仁 語録」様、「喜八ログ」様、「クマのプーさん ブログ」様をはじめ、多くの皆様がこのトーク・ライブを取り上げて記事を掲載くださっている。すべてをご紹介できず、申し訳ないが深く感謝申し上げる。
当日のトーク・ライブの模様は社会民主党のOfficial Web様が順次、動画をアップしてくださる見込みだが、「らくちんランプ」主宰者のスパイラルドラゴン様がニコニコ動画にトーク・ライブのすべてをアップしてくださっているのでご案内申し上げる。また、「不定期更新思索日記(時々戯れ)」様が動画を貼り付けておられるのでご紹介させていただく。
国民新党の長谷川憲正氏は旧郵政省勤務ののち、外交官に転じられ、フィンランド大使などを歴任されてから国会議員に就任された方である。長谷川議員は海外では郵政三事業にあたる事業の運営が株式会社形態に移行しても、政府が株式を保有し、事業が国民のために実施されることを監視している点を強調された。
「郵政民営化」の見直し論議が活発化しているが、2005年9月の「狂気の郵政民営化選挙」の結果成立した「郵政民営化法」には「3年ごとの総合的な見直し」が明記されている。「小泉竹中一家」が慌てふためいて「郵政民営化見直し」を阻止するための言動を示しているが、「郵政民営化を総合的に見直す」ことは法定事項であることを忘れてはならない。
「かんぽの宿」疑惑の核心は以下の点にある。
@「日本郵政株式会社法案」決定直前に「かんぽの宿」売却規定がすべり込むように盛り込まれた。この法案化を指示したのは竹中平蔵担当相(当時)であったことが国会答弁で確認されている。理由は「本業でない=コア業務でない」ことだと竹中氏は著書に明記している。
A竹中氏はその後、東京駅前郵便局の再開発など、日本郵政が不動産事業に本格進出することを奨励する発言を示している。「不動産事業」は「本業=コア業務」ではない。駅前ビル事業の奨励と「かんぽの宿」売却とは完全に矛盾する。
B「かんぽの宿」79施設は2400億円の資金を投入して取得された貴重な国民資産である。79施設の固定資産税評価額は857億円である。一般に不動産の実勢売買価格は固定資産税評価額の1.3倍から1.5倍と言われている。「かんぽの宿」79施設は1000億円程度で売却されるのが順当と考えられるが、これがオリックス不動産に109億円で売却されることが決定された。
C日本郵政は「かんぽの宿」売却を当初、「一般競争入札」によるものと説明したと見られるが、実際の売却先決定プロセスを見ると、事実上の「随意契約」であることが判明した。
D日本郵政で「かんぽの宿」売却担当の責任者は横山邦男専務執行役と伊藤和博執行役であるが、横山氏は三井住友銀行から、伊藤氏はオリックスが出資する不動産会社「ザイマックス社」から西川義文社長が引き抜いた人物である。「かんぽの宿」売却決定は西川社長直轄の特命チームで行われた。
E「かんぽの宿」安値売却の根拠は、「かんぽの宿」の収支が赤字であることを背景とする、政府の財産評価委員会による著しく低い簿価決定にあるとされる。しかし、赤字は「かんぽの宿」が加入者福祉施設であることと巨額の原価償却負担が原因であり、この赤字を前提とした資産価値評価は適正でない。政府の財産評価委員会で資産価値鑑定の中心的役割を果たしたと考えられる奥田かつ枝委員はオリックス関係者であることが判明した。
F今回の一括売却以前に日本郵政公社が「かんぽの宿」等の売却が実施されているが、このなかに1万円売却が6000万円転売事例や1000円売却が4900万円転売事例などが多数含まれている。これらの資産売却の全容解明も求められている。
これらの疑惑が存在しており、国会で疑惑追及が進められているものの、全容解明には程遠いのが現状である。
竹中平蔵氏は宮内義彦氏が郵政民営化のプロセスには一切関与していないと発言しているが、そうではないとの証拠が残されている。
宮内義彦氏は小泉政権時代、総合規制改革会議議長を務めていた。総合規制改革会議は政府の行政改革推進本部に設置された政府機関である。一方、「郵政民営化」について、竹中平蔵氏が小泉元首相から経済財政諮問会議での論議を指示されたのは、竹中氏の著書によると2003年6月25日である。2003年9月に総選挙が実施され、10月3日の経済財政諮問会議で「郵政民営化」が諮問会議の正式議題に設定された。
この経済財政諮問会議の直後にあたる2003年10月7日に開かれたのが2003年度第5回総合規制改革会議である。この会議冒頭に金子一義行政改革担当相が以下に示す発言を示している。
「本年夏以降、総合規制改革会議の委員の間では、郵政三事業の民営化などについて同会議で取り扱うべきとの議論があったと聞いている。一方、ご存知のとおり小泉総理からは、本件を経済財政諮問会議において集中的に取扱うこととし、そのとりまとめを竹中大臣にお願いしたいとの指示が公式にあった。
そこで、こちらの会議との関係について、先週の閣議終了後、小泉総理と相談させていただいたが、総理は総合規制改革会議でそのような議論があったことについては、石原前大臣からも聞いていたとのことである。しかし、2箇所で検討を行うよりは1箇所に集中して、来年の秋までに基本方針をまとめるというスケジュール感をもって取り組んでいきたいので、経済財政諮問会議で一元的に検討させたいとのことであった。委員の皆様には何とぞご理解願いたい。」
金子行革相の発言を受けて、宮内義彦議長が次のように発言した。
「当会議と経済財政諮問会議とは、引き続きできる限り連携を保っていくことを考えているので、同会議から本件についていろいろな検討依頼がされることも想定できるのではないかと思うが、大臣が話された事情のとおり、当面、アクションプランの追加項目からは外すこととしたものである。」
つまり、郵政民営化論議は経済財政諮問会議に一元化されることになったが、総合規制改革会議でも「郵政民営化」は論議されてきたのだ。さらに、2003年10月以降も、宮内義彦氏は総合規制改革会議と経済財政諮問会議とは「引き続きできる限り連携を保っていく」ことを明言しているのだ。宮内氏も「郵政民営化」について政府関係機関で論議した実績を有しており、竹中氏の発言は事実と異なっている。
「かんぽの宿」疑惑の核心は、国民の貴重な財産が、一部の特定関係者によって「私物化されている」のではないかとの点にある。
竹中氏は2007年10月1日に日本郵政株式会社が発足したことをもって「民営化」が実現したと判断しているようだ。竹中氏の考え方を端的に示しているのが、竹中氏の著書『構造改革の真実』239ページの以下の記述だ。
「辞書によると、民営化とは「民間の経営に任せること」とある。文字通り郵政民営化とは、郵政の経営を民間に任せることであり、政府はそれが可能なように、また効率的に行われるように枠組みを作ることである。これで西川氏に、経営のすべて、民営化のすべてが委ねられることになった。」
「民営化」された日本郵政の経営に、政治も行政も国民も、一切口を出すな、というのが竹中氏の主張のようである。竹中氏は株式会社経営に移行したのだから、西川善文社長の一存で、すべてを決定できると勘違いしているのだ。
しかし、「かんぽの宿」一括売却のような行動が全面的に展開されたのでは国民の貴重な資産はぼろぼろにされる。「かんぽの宿」問題は国民に対する重大な背任行為である。重大な背任行為の疑いが生じた以上、日本郵政の経営の現状を全面的にチェックすることが不可欠だ。
「かんぽの宿」疑惑が拡大すると、小泉元首相が「笑っちゃうくらいあきれている」と「笑っちゃうような」発言を示し、マスメディア報道が小泉元首相発言に集中した。その後は、小沢一郎民主党代表に対する「国策捜査」疑惑が表面化し、マスメディア報道は西松建設問題一色になった。
小泉元首相が「政局から手を引く」発言を示したと同時に、鳩山総務相の日本郵政に対する態度が急激に軟化したように見える。鳩山総務相は自民党内「小泉竹中一家」による倒閣運動をけん制するために「かんぽの宿疑惑」を取り上げたと考えられなくもない。
テレビ朝日、日本経済新聞は相変わらず、「郵政民営化」推進活動を展開し、テレビ朝日はクイズ番組「パネルクイズアタック25」、「徹子の部屋」に竹中平蔵氏を登場させる異様な対応を示している。
「かんぽの宿疑惑」を闇に葬ってはならない。田中真紀子議員が示唆したように、政局の裏側にCIAと「小泉竹中一家」の連携が蠢(うごめ)いているように見える。ネットから真実を追求し、国会で野党勢力が問題の核心を追及してゆかなければならない。民主、社民、国民新党による「かんぽの宿」追及チームの一段の活躍が強く望まれる。
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