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http://www.iwanami.co.jp/sekai/2009/03/pscript.html
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「戦後最悪」(IMF) となった経済状況の中で、大量失業時代が始まった。 今年3月末までに、製造業の派遣、請負労働者約40万人が職を失う可能性があるという。現在製造業で働く派遣・請負労働者の4割に当たる数である。 自動車業界や電機業界などは、次々と非正規労働者を減らし、あるいはゼロにすると言い始めた。リストラの波は、やがて非正規から正規労働者に及ぶ。続々と零れ落ちていく失業者が、奈落の底に沈まぬよう、生存と生活を保障する社会的仕組み(セイフティ・ネット)が働かなければならない。 雇用崩壊が通常の規模を超えたものになる予測があれば、政治や行政はその非常事態に備えて、安全網を強く、広く、また二重三重にしておかなければならない。それはなされているか。 失業のためのセイフティ・ネットの第一は、失業保険(雇用保険)である。 もともと日本の失業保険は、給付額においても給付期間においても、OECD諸国の中で「最低」と位置付けられる手薄さだ。一年間しか支給がなく (ほとんどの国は3年間、半数ほどは4,5年目も支給)、支給額も低い。失業前の賃金と比較した置き換え率の総合平均は10%、アメリカでさえ12%、最高のデンマークは71%である (橘木俊詔『セイフティ・ネットの経済学』)。 しかも、その失業保険の給付さえ受けられない失業者が多い。いま焦点になっている派遣などの非正規労働者は、ほとんど雇用保険に加入していない。 そして残された最後のセイフティ・ネットというべき生活保護制度も、失業者を保護しない。制度を利用できる人のわずか16〜20%にしか、適用されていないのだ (本号 宇都宮健児氏)。何とお粗末で酷薄な安全網だろう。 では、今回の補正予算で政府は失業保険について何をしたか。これから失業の大津波が来ると分かっていながら、雇用保険料を賃金の1.2%から0.8%に引き下げたのである。月額賃金40万円の人で月800円ほどの負担減だ (労使折半)。 意味のない程低い額のバラマキで「景気対策の柱」と強弁するのは、評判の悪い定額給付金と同じだ。背景には、所謂「戦後最長景気」で失業者が減り、5兆円以上の余剰金(積立金)が生まれたことがある。 しかしその「景気」もとっくに終わり、膨大な失業者が出てくると予想されるいま、なぜ負担引き下げなのか。新たな失業に備え、あるいは薄すぎる給付を手厚くするべきではないのか。「合理的説明がつかない」と、雇用保険制度を検討する年末の労働政策審議会で、労働組合側が猛反対したのも当然である。 報じられるところによれば、ここには失業保険に拠出される年約1600億円の国庫負担を廃止したい財務省の思惑があるという。大局を見誤り、事態の深刻さを認識していないと言わざるをえない。 不況の中で、積立金が4兆7500億円(1993)から4000億円(2002)に減り、保険料が年々引き上げられたのはつい最近のことである。 失業の痛み、貧困の痛みは、その人たちだけでなく、社会全体が連帯して負担しなければならない。「全体の奉仕者」(憲法15条)である公務員は、その負担を率先して考え、引き受けるのが当然だ。省益に凝り固まり天下り先確保にしか関心のない官僚たちは、党益しか関心がない麻生政権とともに去ってもらいたい。 |
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