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外需に頼らず、内需依存経済を作るために、お年寄りが持っている預貯金を安心して使ってもらえるように介護施設を充実し、介護報酬を上げるべきだという議論がある。
確かに、ある程度、そう言った面があり、お年寄りが持っている資産を、今よりももう少し多く買い物に向かわせる必要がある。しかし、だからと言って、これによって内需依存経済になるかと言ったら、そうだとはとても言えない。理由が以下のとおりだ。
1.日本はエネルギーや産業資源、食料などの自給率が大変に低い。石油もウランも、ほぼ全てを輸入に頼っているのが現状だ。だから、これらの輸入代金を輸出によって稼がないと、日本は赤字国家になってしまう。つまり、内需依存国家になるためには、まず、石油やLNGなどのエネルギーや鉄などの産業資源、そして何よりも食料の外国依存を止めなければいけない。この点を議論しないで、単に、貯蓄を使えばいいというのはあまりに近視眼的だ。
2.日本の民間部門には1500兆円の流動資産があると言われる。しかし、今話題になっている給付金、2兆円あっても国民一人あたりの金額は2万円ほどだ。日本の人口はだいたい1億2千8百万人ほどだから、1500兆円を全員で分けると、一人あたり1700万円ほどだ。現実には、1500兆円を全て使えるわけは無いから、500兆円が消費に回るとすると、国民一人あたり、600万円ほどだ。つまり、年200万使うとしてたったの3年で、500兆円は使われてしまう。もっとも、商品やサービスを提供した方も同じ国民で、彼らの懐が潤うので、500兆円が丸々なくなるわけではない。
3.では、エネルギー資源や食料などの輸入にいくらかかっているかと言うと、日本の輸入総額はおよそ毎年40兆円から70兆円ほどだ。つまり、高齢者の貯蓄が500兆円あるとして、それで輸入をまかなうとして、7年程しか持たないことになる。これも、当然、輸出がされるので、単純に7年で貿易赤字になるわけではない。
ただ、以上のように、日本の現状では、どうしても貿易立国しか、生きる道はないのだ。その理由はエネルギーや産業資源、食料などの面で自立が出来ていないからに他ならない。だから、もし、内需依存経済を目指すのなら、そう言った面での輸入依存をしなくて済むような産業構造の組換えをしなくてはいけない。つまり、1500兆円の流動資産を使うのなら、何よりも、まず最初に、産業構造の組替え、それも、輸入をしなくて済むような産業構造の組替えに使うべきなのだ。
国会での論戦を聞いていると、以上のようなごく当たり前の視点が全く取られていないことにがっかりしてしまう。
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